自分らしく生きるというのは、言葉で書くのは簡単ですが、実践するのは難しいものです。
そして、自分らしく生きることが出来ないことを、周りの人のせいにしてしまう。
例えば、皆がやってるから、自分もやるとか。
そしてそれは、考えれば考えるほどわからなくなってくるような、深い問題です。
「自分らしく」ということにとらわれすぎて、逆に苦しんでしまう。
皆そうなんだ。
だけど。
君となら、一緒に悩んで乗り越えていける。
最後の一文は実際には書かれていませんが、つまりはそういうことなんだと思います。
本当の自分とは違う「自分らしさ」は、周囲の目を気にして作った幻の自分です。
素の自分は、一人でいるのが好きで引っ込み思案なのかもしれません。
しかし周囲に合わせるように、仲間と一緒に出掛けたり騒いでいるということもあるでしょう。
本当の自分とは違う、表向きの自分…。
そのギャップに苦しんでいるのはきっと一人ではありません。
彼の恋した女性も、自分らしく生きていないことに悩んでいたのでしょうか。
彼はここでも寄り添うように、自分も同じなんだと告げています。
これからも色々ある
超えるべきもの
どれほど分かり合える同志でも
孤独な夜はやってくるんだよ
Oh darlin このわだかまり
きっと消せはしないだろう oh
いろんな事を踏み台にしてきたけど
失くしちゃいけない物がやっと見つかった気がする
出典: 名もなき詩/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
2番にはいると、恋人へ愛のメッセージを語りかけるように歌われているのが特徴です。
Bメロでも、恋人へ語りかけているように歌われています。
誰にでも孤独はやってくるんだよ、と歌われていますね。
そういうものだよ、と。
「失くしちゃいけない物」は、1番で書かれていた「大切な物」と、同じ物ではないでしょうか。
つまり、恋人への「愛」であり、恋人自身のことであるとも言えます。
ここでは理想の愛と、現実の愛の違いをはっきりとさせています。
彼は本気で彼女とずっと一緒に過ごしたいと思っているのです。
だからこそ、一時的に燃え上がる愛を語るのではなく、長く一緒に過ごす為の愛を語っているのでしょう。
どんなに好きでもどんなに分かり合えても、人は孤独を感じる時が来る。
その時に感じる違和感はきっと消せないけれど、付き合っていたらそんなこともあるんだ。
彼はそれでも一緒にいて欲しい、それもまた一緒に乗り越えて欲しいと思っています。
なぜ君を好きなのか
君の仕草が滑稽なほど
優しい気持ちになれるんだよ
Oh darlin 夢物語
逢う度に聞かせてくれ
出典: 名もなき詩/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
愛のメッセージは続きます。
君の変な仕草でなごんだり。
あそこに家を立ててとか、子供は何人いてとか、おばあちゃんになったら一緒にこういうことをしてとか。
そんなことを聞かせてくれてくれたり。
そういう些細なことが幸せなんだ、ということなのだと思います。
愛はきっと奪うでも与えるでもなくて
気が付けばそこにある物
街の風に吹かれて唄いながら
妙なプライドは捨ててしまえばいい
そこからはじまるさ
出典: 名もなき詩/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
上でも書いたような、何気ない会話とか日常の中に、いつの間にか愛はあった。
愛は、人から奪うものでもなく、人に与えるものでもない。
愛とは、気づいたら、いたるところにあるような、そんなものなのだ。
少し哲学的になかんじもしますが、そういった解釈ができると思います。
4行目の「妙なプライド」というのは、何を指しているのでしょうか。
曲のテーマにそって考えるなら、「自分らしく生きる」ということと考えることができます。
これも、人によっていろいろと当てはまるものが違うと思いますが…。
とにかく、そんなものは一旦捨てて、もっと気楽に、新しく始めたらいいんだ、と歌われています。
主人公の場合は、二人で一緒に始めよう、というメッセージも込められているのでしょう。
恋に一歩踏み出そう
前に進もう
絶望、失望( Down )
何をくすぶってんだ
愛、自由、希望、夢
足元をごらんよきっと転がってるさ
出典: 名もなき詩/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
このパートは、主人公の愛の歓びに満ちたメッセージのように感じます。
曲調もそういうふうに感じませんか?
何暗くなってんだよ!
愛も自由も希望も夢もそこらじゅうにあるのに!と。
直前のサビの歌詞とも通じるものがありますね。
彼女は何かにつまずき、一歩前に出ることを恐れているのではないでしょうか。
もしかしたら、それは恋でのつまずきかもしれません。
もう辛い思いをしたくない、だからこのままでいい…そんな生き方を感じます。
しかし彼は、恐れずにどんどん未来へ進もうと背中を押すのです。
彼女は今、未来への希望が見えていない状態なのかもしれません。
しかし、希望や愛は意外に自分の近くに転がっているものです。
現実を風刺
成り行きまかせの恋におち
時には誰かを傷つけたとしても
その度心いためる様な時代じゃない
誰かを想いやりゃあだになり
自分の胸につきささる
出典: 名もなき詩/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
早口でたたみかけるような、印象的な部分です。
「誰かを傷つけたとしても その度心いためる様な時代じゃない」
これは、当時の社会を、少し誇張して批判しているかんじでしょうか。
続いての歌詞では、他人を気にしている暇もないし、関わっても損するだけだ、と少し投げやりなことが書かれています。
しかし、人間なら誰もが少なからずは抱えていることだとも言えます。
人を傷つけたくない、彼女は優しい女性なのでしょう。
おそらく前の恋で相手を傷つけ、未だにそれを引きずっているのかもしれません。
傷つけてしまった、という辛い思いは相手よりも自分の心に大きなダメージを与えてしまうものです。
だから、傷つけてしまったことをそんなに深く考えなくていいんだよ、と伝えたいのでしょう。
大概、恋の終わりは傷つくものです。
皆それを乗り越えているんだから大丈夫だよ、とも聴こえる部分です。