強い言葉を選んでちゃんと傷がつくように罵ってから部屋を出た
いつからだろう
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
親は子を心配して、つい口うるさく注意してしまいます。
子としては、自分の選択を否定されたように感じるので黙っていてほしいです。
そんなとき、傷つける言葉を放つことで親は子の望み通り黙ってしまいます。
しかし、狙い通りに親を黙らせたはずなのに、なんかこれじゃ駄目な気がする。
そんな迷いが、「いつから」という言葉に現れています。
ちゃんと「話し合い」をしたかったのに、分かってほしかったのに、ただ意見を「押し通した」だけだった。
そんな後悔が残ってしまったのだと感じました。
背中が小さく見える理由
あなたの背中が少し小さく見えた
強い人じゃなくて 強がりが上手な人
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
背中が小さく見えるのには2つの理由があると思います。
まず、相対的に小さくなったから。
昔は大きく見えた親の背中が、大人になると小さくなったように見えます。
親は絶対的に自分より大きいというイメージだったのに、いつの間にか目線が同じになっている。
幼いころの記憶のなかの親との差異に、ふと気付いた瞬間です。
次に、親は全能ではないと気が付いたから。
幼いころは、親のいうことは絶対でした。
しかし自分の心が大人になるにつれ親の言葉に疑問を抱き、間違いに気付くようになってきます。
歌詞に即していえば、幼いころ強いと思っていた親は、子に対して強く見せているだけだと気付いたのです。
「背中」には、文脈によっては「先を行くお手本」という意味合いを含むことも多いです。
自分の人生を導く「お手本=親」が全能ではないと気付いたことを、「背中が小さく見えた」と表現しています。
ぼくはあなたの子
あなたの背中とぼくの胸
あれからもうどれほど時は流れただろう
それなりの日々を束ねて胸張っていても
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
先ほど「背中」がでてきましたが、今度は「胸」。
追いかけていた背中=親から離れて、自分で描いた未来を歩んでいることが分かります。
あなたの背中とぼくの背中
色んな人に出会うたび鏡のようさ
ぼくのなにもかもがあなたを写している
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
子は親の背中を見て育つといいます。
そんな親の背中がたとえ小さく見える歳になったとしても、背中から学び取ったことは身に沁みついているのです。
たとえば自分の放った言葉に対して「あ、これ、親にも言われたことがある」と気付くときがあります。
親の真似をしているつもりがなくても、考え方や話し方は親の影響を強く受ける。
どんなに親を突き放したり嫌ってみたりしても、親子のつながりは確かにそこにあるのです。
ぼくとあなたの本当の気持ちとは
ぼくが人を傷つける理由
誰かに言われる前に予防線を張るように自分がダメなんですと言う
傷つけられるくらいなら
強い言葉を選んでちゃんと痛いとこ突いて自分をさげすんで笑う
誤魔化せていたのに
あなただけはいつも悲しそうに見ていた
放っておいてほしくて 優しい手 振り払った
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
誰かに否定されると傷つくから、先んじて「自分はダメなので」と言ってハードルを下げておく。
相手が言われて嫌なことを言って、自分に反論できないようにする。
そうしてぼくは自分が傷つけられることを回避してきたようです。
でもあなた(=ぼくの親)は、そういった手口を見抜いています。
自分で自分を否定すれば、ぼくは自分自身を大切にできなくなってしまうのではないか。
相手を傷つけて黙らせていれば、ぼくは嫌われてしまうのではないか。
心配するあなたの優しさにぼくは気付いていますが、自分のやり方を否定されたことに腹を立てて突き放します。
あなたを傷つけることでぼくは自分を正当化しつつも、それが正しくないことに薄々気づいているようです。