原作となった小説とは
元となった小説は、"世界の終わりと、さよならのうた"という作品です。
世界の終わりが宣言されて1年経ち、明日には全ての命が消えてしまう状況を描いています。
そんな状況で、主人公の男性が行き倒れた女性と出会います。
2人には、「音楽」という共通点がありました。
そんな「音楽」が2人の最期の時間を変えていきます。
この儚い物語を完璧に表現した歌詞を考察していきます。
迫る世界の終焉
明日世界は終わるんだって
出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase
曲内で、このフレーズは4回も出てきます。
前半での意味合いは、「諦め」が強いです。
世界滅亡まで1年間過ごしていると、心も疲弊するのでしょう。
小説内では、デモやテロも多発していました。
そんな暴動も、滅亡が近づくにつれて収まっていきます。
「諦め」の空気が世界中を包んでおり、主人公も諦めていました。
後半では、「希望」が込められています。
絶望が漂う世界で出会った彼女との出会いが雰囲気を一変しました。
残りの時間を精一杯生きようといった気持ち。
明日を彼女と過ごせたらという願いが込められています。
もう会うことができない"君"
君にはもう会えないんだって
またいつかって手を振ったって
叶わないんだよ 仕方ないね
出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase
この"君"というのは、男性の親友を指します。
荒んでしまった世界で、2人は路上ライブを行っていました。
親友は、人々に少しでも勇気を与えるためにと奮闘していました。
しかし、デモに集まっていた暴漢に絡まれ、主人公と離れ離れになってしまいます。
主人公は、それから音楽には人を変える力はないと自暴自棄になっていきます。
ただ、この歌詞からは"君"のことがずっと忘れられないことが分かりますね。
彼の胸の内には、「音楽」が残っていることが想像できます。
好きに生きていくことを決意
明日世界は終わるんだって
それならもう
その時まで何度でもずっと
好きな音を鳴らそう
出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase
「諦め」を感じた主人公は、せめて好きなように生きることを決意します。
彼は、ある日たまたま倉庫にポツーンと置かれたピアノを見つけます。
それ以来、彼は楽器を盗んできてはピアノの周りに置き始めました。
意味はない、そう思いながらも続けていた彼の真意とはなんでしょうか。
それは、最期を「音楽」と共に過ごしたいという思いです。
親友を失って自暴自棄になっても、「音楽」が忘れられませんでした。
男女の出会い
彼女から見た彼
薄暗闇に包まれた
見覚えのない場所、目を覚ます
ここは夜のない世界
今日で終わる世界
そんな日にあなたに出会った
出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase
ここの歌詞では、女性目線で書かれています。
窓には黒いカーテンをつけ、薄暗い倉庫で目を覚まします。
声をかけられ驚いた彼女が見た男性は、雑多に置かれた楽器の一部のようでした。
彼は、彼女がどうして倒れていたかにも興味を持っていませんでした。
彼女が楽器を集めていた理由を聞いても一蹴します。
彼の中には、「諦め」が渦巻いていました。