"また"孤独になる彼女

好きにしていいと
それだけ残して
何処かへゆく
あなたの音が遠ざかってく
そしてまたひとり
淀んだ空気の中で

出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase

彼に食料を渡されて、好きなようにしていいと言われ1人になった彼女。

 

1人になるのを"また"と表現しています。

 

彼女は、テロで家と家族を失っていました。

 孤独になり、寂れた街を歩いていた彼女の心情は計り知れません。

 

世界の終わりという状況と彼女の置かれた状況が「淀んだ」空気を表現しているようです。

2人の過去

ピアニストだった彼女

ありふれたあの日々をただ思い返す
終わりが来ることを待つ世界で
辛い過去も嫌な記憶も
忘れられないメロディーも
今日でさよなら

出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase

彼女の母と父は音楽に携わる仕事をしていました。

 そんな家庭で、彼女はピアノを幼い頃から弾かされていました。

 彼女にはピアノしかないんだと嘆きます。

 

しかし、嫌々ながらやらされていたはずのピアノは、彼女の人生にもなっていました。

 

倉庫に眠っていたピアノに触れます。

 そこで、彼女は「音楽」が好きなんだと悟ります。

親友と共に演奏していた彼

ひとり車を走らせる
営みの消えた街の中を
明日にはもう終わる今日に
何を願う
何を祈る

出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase

女性を倉庫に置いて、3ヶ月もの間続けていた楽器回収に出かけます。

 独りぼっちだったグランドピアノに親友の姿を重ねたのでしょう。

 最期は、集めた楽器と共に燃え尽きようと決めていました。

 

「音楽」には人を変える力はないと一旦は放棄した男性。

 その姿は、女性と似た過去があります。

 

少し違う点は、「音楽」のことを信じていたことです。

 そんな彼は、何を願い祈るのか物語後半ではっきりとしていきます。

2人のセッション

ピアノの音が示す親友の姿

何処かから不意に
微かに聞こえてきたのは
ピアノの音 遠い日の音

出典: アンコール/作詞:Ayase 作曲:Ayase

帰ってきた男性が聴いたのはピアノの音。

 古くなっていたピアノの音が調律されていることに気づきます。

 急いで駆けつけると、そこには楽しそうに演奏する彼女の姿。

 キーボードを演奏していた親友の面影を男性に呼び起こさせました。

 

彼が今まで楽器を集め続けていた理由がカッチリとハマったようです。

 楽器と運命を共にするはずでした。

 しかし、彼女または親友が来てくれるのを待っていたのです。

ピアノの音に込められた遠い日常