小田和正「やさしい風が吹いたら」
フォークロックバンド、オフコースのリーダーを務めた後1986年にソロとして再デビューした小田和正。
今回ご紹介する彼の楽曲は「やさしい風が吹いたら」です。
この楽曲は2013年4月24日にリリースされた、29枚目のシングル『その日が来るまで/優しい風が吹いたら』に収録されました。
「やさしい風が吹いたら」は、テレビ朝日系連続ドラマ『遺留捜査』の主題歌に向けて書き下ろされた楽曲。第3シリーズと第5シリーズで使われた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/その日が来るまで/やさしい風が吹いたら
今回の記事ではそんな楽曲の歌詞に注目し、その意味の解釈をお届けしようと思います。
「やさしい風が吹いたら」というタイトルから感じる柔らかな雰囲気。
歌詞を読むことでそのタイトルがまた違った雰囲気を持つことでしょう。
思い出す面影
「あの人」への気持ち
今はもう かなわぬこと
思い出の中でしか 会えない あの人
出典: やさしい風が吹いたら/作詞:小田和正 作曲:小田和正
この冒頭の歌詞パートでは、主人公の「あの人」への未練が語られています。
今ではもう会うことができないという言葉が物語っているのは、その人が彼の元を去っていったということ。
そして再会が叶わないということからは2人が別れてから既に多くの時間が流れたのだと分かります。
2行目の歌詞では、主人公は「あの人」と過ごした時間を思い返しているのでしょう。
2人で過ごした日々の思い出に彼は何かしらの思い入れがあるのだと考えられます。
彼の心には「あの人」に対して伝えられず、心に引っかかっている想いがあるのかもしれません。
笑顔に惹かれて
いつも 君は 上手に笑った
その笑顔が 僕は 好きだった
出典: やさしい風が吹いたら/作詞:小田和正 作曲:小田和正
ここでいう「君」というのは前述のパートにおける「あの人」と同じ人物であると考えられます。
そしてここでは彼が惹かれていた「君」の特徴を歌っているのです。
その笑顔に惹かれていた理由というのは、彼から見てその笑顔が上手だからだといいます。
彼は何故そのように思ったのでしょうか。
もしかしたら主人公は「君」と違い、上手に笑えないのではないでしょうか。
下手な訳ではないけれど「君」ほどは上手に笑えない。
自分には無いものを持っているからこそ、彼は強く惹かれているのだと考えられます。
彼にとって「君」は大事な人であることが伝わる表現です。
この人物というのは、彼の恋人だった人物だと考えることができるでしょう。
今はもう会えないという前述の言葉にも、別れたことが原因だと推測することができます。
思い出と現在
記憶の中の声
雨の音が 時を刻んでいる
なつかしい君の 声がききたい
出典: やさしい風が吹いたら/作詞:小田和正 作曲:小田和正
このパートの冒頭で登場する「雨」というモチーフから連想させられるのは物悲しげな雰囲気と湿った空気の感触。
その雨が降っている音を聞きながら、彼は物思いに耽っているのでしょう。
その音がまるで時計の針のようで、彼には時の経過を教える音に聞こえているようです。
その切なさを呼び寄せる音を聞きながら、主人公は「君」の声を思い出しています。
記憶の中に存在している大切な人の声。
今ではもうすっかり時が過ぎて、あの頃聞いていた声と記憶の中の声は変わっていっているかもしれません。
彼は朧げにその声を思い出しながら、もう1度あの頃のようにその声を耳にしたいと願っています。
雨によって、彼の心には感傷的な感情が湧き上がっているのでしょう。
ここでいう「雨」というのは他にも、彼の涙を意味しているとも考えられるかもしれません。
思い出に浸りながら止め処なく流れる涙が床に落ちる音がまるで雨のように感じられているのでしょうか。