終わったはずなのに、終わらないラブソング。
夜の中光る幻のような、君の記憶。
ずっとずっと、物語は続けてゆきたい。
さようならを言いたくないのです。
終わった後に、まだずっと続く、何かがあるんだよと言っているのです。
終わった後に見えてくる景色をまだ知らないと歌います。
この知らなさも、前半に出てきた『リアル』とはまた別の、リアルです。
未知の領域にはいってゆくのです。
わけのわからない、宙吊りの時間。
そしてその状態から、僕の歌を聴いているとも思えない君に何を歌えるだろうと問うのです。
知らない、何を歌うべきか、それは意味を超えているから...。
延長戦
ある車掌
車掌とは、銀河鉄道の車掌さんです。
童話や、アニメで見たような。
どこへ行くのかも知らない。
ただ、窓から景色を見るだけなのです。
ただ見るだけしか僕はできないというのがメインのテーマ。
アルバム全体にもかかっています。
「フィルム」も見ることの歌でしたし、「夢の外へ」もそう。
見る、とは行動はできないという意味でもあり、ある無力感を伴います。
この『哀しみ』が、星野源の底にあり、そこからかえって『華やぐ軽さ』が出てくるのです。
窓の外には思い出が見えると言います。
思い出にすがり、ただその中で生きるのではなく、過去が燃やされてゆく。
この厳しさがあるから、星野さんの明るさがあるのかもしれません。
そしてどこへ行くのかわからない。
stranger
朝日が ツバメが
雲を切る
また会えるなんて 奇跡みたいだ
どこにいても ひとりだとさ
それでも 次の扉を
暖かい未来を信じて
出典: stranger/作詞:星野源 作曲:星野源
ラストのラストを飾るシークレットトラック。
本編が終わってから数十秒、突然始まります。
タイトルもアルバム名と同じです。
朝、空を横切る鳥の姿に自分を投影してしまう。
すこし淋しそうだけど、さわやかです。
再スタートにぴったりです。
ひとりかもしれないけど、一歩踏み出すのです。
Strangerは、「変わり者」以外にもうひとつの意味があります。
自分がこれから出会う未知のもの、知らないもの、フロンティア。
朝出会えた小鳥のような。
新たなリアルを探してまた始めようとする、すがすがしい歌です。
最後に
仕事、夢、世界、休息、子ども時代、自分、恋の記憶。
ぎっしりと詰まった思いが、一枚の中にひしめいています。
自分についての謙遜が、星野さんには初期からある。
脱力することで自由が得られる。
「ばかのうた」とか「くだらなさの中に」とか...。
その世界は多くのひとを癒しています。
そして可愛さや、せつなさ、賢明さ、ひたむきさが、独自の境地を作ってきました。
あきらめのなかに、そこからもう一回やろうという意志がある。
一段下がった楽な場所からもう一回、精いっぱい、自分なりに。
朝空を横切る小鳥のように、優雅に凛として。
ひとりでも、けっして媚びない。
結局そこが、それが、支持されているのです。
このアルバムでもしっかり自分に向き合っています。
星野による星野源学、それがこのアルバム「stranger」です。
関連記事の紹介
星野源シングル「くだらないの中に」(CD初回限定盤DVDつき)歌詞の意味解釈とは? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
星野源にとって大切な1曲となった「くだらないの中に」はソロとして初めて出したシングルであり、アルバム「ばかのうた」を凌ぐ星野源ワールドを世間に強く印象付けたことは間違いないでしょう。そんな「くだらないの中に」の歌詞に迫ります。
星野源の音楽を知る!シングル「夢の外へ」歌詞情報あり♪ - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
星野源の3枚目のシングルである「夢の外へ」は資生堂「ANESSA」2012年CMソングに起用され話題になりました。これまでの温かい楽曲から抜け出た爽やかさが印象的なこの楽曲の歌詞に迫ります。
アルバム収録曲、「夢の外へ」のページです。
より詳しく内容を解説しています。
星野源のシングル「フィルム」(初回限定盤)の歌詞の意味解釈とは? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
星野源の2枚目のシングルである「フィルム」は2012年にリリースされました。映画「キツツキと雨」のために書き下ろされ、星野源のソングライティングセンスを世に広めた楽曲の歌詞に迫ります。
アルバム収録曲、「フィルム」のページです。
同じくより詳しく内容を知ることができます。
無料で音楽聴き放題サービスに入会しよう!
今なら話題の音楽聴き放題サービスが無料で体験可能、ぜひ入会してみてね