そう何回でも言ってやるよ
君の中で踊る黒いもの
ああ、あたかも隠したつもりで
平然としてる顔が嫌で
どうでもいいテレビのニュースに
踊らされる架空の毎日
ああ、そんなクソみたいな夜は
キラーボールと一緒に回るよ
出典: https://twitter.com/rck69_bot/status/924856888725872641
彼には、人間が装っている姿の影に隠れた黒いものが見えるのでしょう。そして黒いものをあたかも無いように装っている人間の顔に嫌悪感を抱き、次第に鬱屈を募らせていきます。
また毎日流されるテレビのニュースにも実感がわかず、周囲に踊らされて生きているように感じています。
そしてその鬱憤を晴らすかのように、夜になるとディスコに出かけ、キラーボールと一緒に踊る毎日を過ごしていきます。
ランランララン言葉通りさ
ランランラランいつものように
ランランララン踊りませんか?
ランランラランランランララン
出典: https://www.uta-net.com/song/156016/
そして、彼は人間の黒いゲスい部分を見なかったふりをしながら、一緒に踊ろうと彼女を誘うのです。
ディスコで踊っている人々と、毎日きれいな自分を演じている人々を重ね合わせる
どうせまたまた嘘ついて
無駄に泣いたりして
また明日も
今日のようにくたびれた世界で
たった今わかったんだ
キラーボールが回る最中に
踊ることをやめなければ
誰も傷つかないんだって
出典: https://twitter.com/gius0925/status/842221576883916800
彼女を見ながら彼は思います。
どうせまたいつものように嘘をついて、意味もないのに泣いたりしてるんだろうなと。
そして、彼の目の前に広がるくたびれ果てた世界を見ながら、彼はこう感じます。
キラーボールが回っている間に踊ることをやめなければ誰も傷つかないのだと。
ここで彼はディスコで踊っている人々と、毎日きれいな自分を演じている人々を重ね合わせて世界を見ています。
彼にとって周囲の人間は、黒いゲスい部分を隠した嘘つきばかり。つまり、だれもが自分をきれいな自分を演じていることになります。
このため、きれいな自分を演じ続ければ、そして黒い部分を抱える自分を見なければ、だれも傷つかずに生きていけるだろうと皮肉っているのです。
彼氏がいながら他の男に涙を流して近づく彼女のゲスな部分
ああもう笑えるくらいに嫌気がさして
朝5時、踊り疲れた僕はあの子の家まで行ったんだ。
そしたら君は涙を流して僕に寄って来た。
僕は抱き寄せて言ったんだ。
「いつもこうやってるの?」
出典: https://twitter.com/geskiwa010me/status/920607950892187648
周囲の人間の黒い部分を眺めながらすっかり嫌になった彼は、ディスコで踊った後彼女の家にまで行きます。
すると彼女は涙を流しながら彼に寄ってきました。普通なら、彼女が泣いていたら同情してしまう男性も多いのではないでしょうか。
しかし、人間の黒いものを鋭く見抜ける彼は違いました。彼にはわかっていたのです。
彼女には彼氏がいるにもかかわらず、計算しながら彼に涙の演出をしているのだと。
このため、彼は彼女を抱き寄せながらつぶやきます。「いつもこんな風に、涙を流しながら男をだましているの?」
実体験そのものではないもののそれに近い体験を元に作詞をしたと、テレビ番組に出演した川谷絵音が歌詞の裏側について語っています。
この歌詞の内容からは、かなりの人間不信がうかがえますね。
愛愛愛愛愛されながら
だんだんだんだん嫌いになって
愛愛愛愛愛されながら
どんどんどんどん嫌いになった
出典: https://twitter.com/nc___FL/status/925092257404825600
彼女には彼氏がいることはわかっているものの、実は自分に好意を持っていることもわかっています。
このため彼は彼女の関係を続けますが、彼女の黒い部分が見えるがゆえに、彼女からの愛を感じながらも次第に彼女のことを嫌いになっていくのです。
冷めた目で人々を眺めながら自分も参加してみたいという歪んだ気持ち
何回でも繰り返す
キラーボールが鳴らすサイレンと
冷めた奴らの目を気にしながら踊れ
今夜もランランラン
出典: https://twitter.com/geskiwa010me/status/922601085960724480
黒いゲスな部分を隠して平然なふりをしている人々。
そのように演じ続ける人を、ディスコでキラーボールと一緒に踊っている人と重ね合わせて、彼は何度でも思います。
黒いゲスな部分を隠していることは実は見透かされていて、冷めた目で見られているのだと。
そしてキラーボールの華やかな光の中で、冷めた目で見つめる人々を意識しながら踊れば(演じれば)良いのだと。
しかし、彼にはディスコで浮かれて踊る人々を冷めた目で見つめながらも、実は自分も一緒に踊ってみたい(演じてみたい)と思う歪んだ気持ちがあるようにも読み取れますね。
作詞作曲をした川谷絵音は、この曲の「キラーボール」の意味について、過去のインタビューで「ミラーボールに殺されているという意味を込めた」と語っています。
最後に
いかがでしたか?今回は「ゲスの極み乙女。」のインディーズ時代の代表作との呼び声が高い曲「キラーボール」についてご紹介しました。
川谷絵音が描く「キラーボール」では、人間の黒い部分を隠しながら自分をきれいに演じ続ける人々がディスコのキラーボールの光の中で踊る人々と重ね合わせて、独特の世界観で表現されています。
ストレス社会と言われる現代において、内面に抱える毒の部分を、洗練された音楽にのせて代弁してくれる「ゲスの極み乙女。」は、日本のロックシーンにおいて貴重な存在と言えるでしょう。
「ゲスの極み乙女。」に興味が無いという方も、一度「キラーボール」を聞いてみてください。きっとその中毒性にはまっていくことでしょう。
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