Superfly【0】アルバム収録曲解説!タイトルの真髄を表現する豪華な楽曲のラインナップを深堀りの画像

ゴージャスでジャイブするような懐かしいジャズ・サウンドです。

シングル「Bloom」のカップリング曲で2018年に発表されました。

ドラマあなたには帰る家がある」の主題歌で馴染みがある人も多いでしょう。

ブラスサウンドが印象的で耳に残ります。

何よりもこれだけのスケールの大きい曲を見事に歌い上げる越智志帆の歌唱力が圧倒的です。

この声量のすごさは日本の女性シンガーのレベルを全体的に底上げしてきました。

越智志帆のように歌いたいと願う後進の女性シンガーたちをいまでも凌駕する歌唱力が圧巻です。

また楽曲全体の疾走感がたまりません。

身体を揺らして反応したくなるようなサウンドに仕上がっているのです。

挑発的な女性になりきる

hey hey hell この世は蜃気楼
噂も偏見も涙も マボロシでしょ

hey hey hell 地獄へ堕ちてゆけ
底で 骨の髄まで愛せるなら
一途なフリをして
hey hey hell 地獄を見るほどの
愛など 微塵も無いくせに

出典: Fall/作詞:越智志帆 作曲:越智志帆

タイトルの「Fall」とは地獄への落下を指します。

ジャズそれ自体が音楽の堕落といわれた不幸な歴史を持つものです。

新しい音楽はことごとく時代の中で反感を買いながら成長してきました。

越智志帆はそうした過去を持つジャズに乗せながら地獄というものに触れます。

愛についてあなたが本気ならば地獄まで一緒に落下しましょうと歌うのです。

しかし肝心のあなたにはそこまでの覚悟がありません。

男のくせにだらしないわねというニュアンスを滲ませて煽るのがこの歌のテーマです。

私のことを安く見ないで欲しいという思いをにじませるのが痛快でしょう。

多くの女性たちの支持を得るような歌詞になっています。

この曲には挑発や際どさというものがあふれているのです。

ここに示された逞しい女性像は新しい時代を切り拓いてゆくでしょう。

バラエティに富んだアルバムですが女性の視線で描くという点では一貫しています。

7.「Lilyの祈り」

アコースティック・ナンバーの魅力

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ホッとするようなアコースティック・サウンドです。

癒やされるような音作りでもあります。

アップテンポナンバーが続いた後に一息入れる温かさが嬉しいです。

ただ歌詞を仔細に覗いてみると必ずしも万事が大丈夫というような状況ではありません。

テーマは愛への祈りです。

祈るということは万事順調な状況ではないからこそ生まれるものでしょう。

あなたに選んで欲しいという切実な思いを祈りへと昇華しています。

それでも優しいサウンドに救われて希望を灯している曲です。

この曲が一番心に沁みるという人も多いでしょう。

待つ女性の祈りというもの

愛を教えて ここで咲いているから
愛を聞かせて 耳を澄ましているから
愛を伝えて 待っているから
愛を叶えて 祈っているから

待っているから

出典: Lilyの祈り/作詞:越智志帆 作曲:越智志帆

愛を祈りながら待つ女性を描きます。

女性が果敢に自分から動いて男性を落としてゆくような歌詞とは正反対のベクトルです。

切なさというものが痛いほどに滲んでくる歌詞でしょう。

思い通りにはならない恋愛をしていますが、この女性だって不幸な訳ではありません。

片思い中であっても充実した恋愛をしている様子が伝わってきます。

越智志帆が紡ぐ言葉の美しさがこの曲を可憐な花のように咲かすのです。

この美しい祈りが叶えられることをリスナーも願うでしょう。

間口が広く多くの人に支持される歌詞でありサウンドです。

アルバムの中盤にこうした曲があると安心させられます。

この作品「0」自体のバラエティに富んだ在り方に貢献している楽曲です。

8.「氷に閉じこめて」

ジャズ・テイストとSuperfly

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ここでもジャジーなピアノが聴けます。

しかし「Fall」のような派手なナンバーではなく割としっとりした方向性を感じるでしょう。

いずれにしてもジャズを思わせるテイストがあるサウンドへの挑戦はSuperflyの雑食性を示します。

特大の声量を持っているので小声で歌いつつ伸びやかなパートへ移行する技が見事です。

スケールが大きな展開でドラマチックな楽曲に仕上がりました。

越智志帆はこの曲でもあくまでも女性の視線で愛を描きます

映画「プロメア」のエンディングテーマで、シングル「Ambitious」のカップリング曲です。

ただ、こうしてアルバムの中で聴くとまた印象が変わると思われた方も多いでしょう。

アルバム「0」は既発表曲が多いですが、それでも一枚通して聴くと新鮮な印象を抱かされます。

静的な愛の中で願うこと

もう一度 夢が叶うなら
幸せに還りたい
待っててもいいかな
愛は生き延びるはず

氷に閉じこめて この手が
頬に心に 触れられるその瞬間まで
解けないわ 泣かないわ
美しき 氷の鎧
最後まで君を待ってる

出典: 氷に閉じこめて/作詞:越智志帆 作曲:越智志帆

ここでも愛を祈り待つ女性を描きます。

越智志帆という魅力的な女性の内面が多様であることを知らされるのです。

挑発的な愛を描いた後に祈りを捧げる切ない女性の真理を描くのですから不思議でしょう。

アルバム「0」が様々な顔を魅せてくれるのはサウンド面だけではありません。

歌詞だってバラエティに富んだ表情になっているのです。

幸せになるために君を愛していて、その思いが叶うように祈りを捧げる女性。

いわゆる可愛い女性がここにいます。

氷の中で愛をパッケージすることで未来へ繋いでゆくのです。

燃え上がる熱い恋というものではありません。

どちらかというと静的な愛の印象を抱かせる歌詞になっています。

それは私ひとりの独白で収束している点が影響しているのです。

思いをかける君は目の前には現れてくれません。

片思いになってしまった愛について祈り続けます。

現実にいま恋に迷っている人に新しいヒントを与えてくれるような歌詞になっているのです。

9.「Bloom」