ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」
2015年4月発売のシングル
「私以外私じゃないの」は、ゲスの極み乙女。の2枚目のシングルとして2015年4月に発売されました。
曲のタイトルにもなっているサビのワードが若い世代を中心に話題になり、当時社会現象ともいえるヒットを記録した曲です。
現役の大臣がマイナンバー制度のPRでこの曲を替え歌にして歌ったことでも話題になりました。
キャッチーさだけでなく、ファンキーに動き回るベースや計算されつくしたコーラスワーク、めまぐるしく変化する曲展開など、音楽的な完成度にも注目が集まりました。その結果、第57回日本レコード大賞では、優秀作品賞を受賞しています。
収録アルバム「両成敗」
「私以外私じゃないの」は、ゲスの極み乙女。の2枚目のアルバム「両成敗」にも収録されています。
他にも「ロマンスがありあまる」「オトナチック/無垢な季節」といったシングルが収録され、アルバムのリード曲「両成敗でいいじゃない」も話題になりました。
オリコン週間チャートでは自身初となる1位を獲得し、多くの批評家からも肯定的な評価を受けました。
ジャズやマスロック、プログレッシブなど多彩なジャンルを内包しながらも、徹底的なキャッチーさと両立させたポップアルバムとなっている名盤です。
背景が印象的なPVに注目
「私以外私じゃないの」のPVで最も印象的なシーンは、やはりメンバーも登場する能楽堂の場面ではないでしょうか。
タイトな曲調も相まって、どこか和風で凛とした雰囲気を作り出していますね。
PVのメインとなるこの能楽堂のシーンは、東京の阿佐ヶ谷神明宮で撮影されたそうです。
日本の伝統文化の背景と、マスロックやジャズを基調とした音楽。全く別の文化を由来とするものがこれほどマッチして映るのは意外ですが、新鮮なかっこよさに満ちています。
「私以外私じゃないの」の歌詞を紐解く
今の自分こそが唯一の自分
冴えない顔で泣いちゃった夜を重ねて
絶え間のない暮らしを今日も重ねた
良くなりそうな明日に期待する度に
何度も今日を鏡台の裏に隠した
映る私は何回も瞬きしては
変わる心に簡単に動揺したわ
だけど意外と目を瞑った瞬間に
悪くないなって思いながら明日を悟ったんだ
出典: http://j-lyric.net/artist/a05866a/l03590c.html
歌詞は、今の自分や生活に悩むような描写から始まります。
同じような今日を過ごし、何か今より良くなればと明日に期待して、結局また次の日も同じ今日を重ねる。くり返すそんな日々を退屈に感じてしまうのは、誰もが抱える悩みではないでしょうか。
そんな「今日」なんて見たくない、そんな日々をくり返す自分なんて見たくないと隠しながら、いざ鏡で自分を直視すると動揺してしまう。しかし、あえて目を瞑って比べるものをなくしてしまえば、そんな自分や日常も悪くないと思えます。
私以外私じゃないの
当たり前だけどね
だから報われない気持ちを整理して
生きていたいの
普通でしょう?
出典: http://j-lyric.net/artist/a05866a/l03590c.html
どんなに他の日常を望んでも、他の自分を望んでも、「私」は今そこにいる私だけです。
それだけがまぎれもなく「私」で、それ以外は当然「私」ではありません。
そんな当たり前の事実に報われなさも感じながら、その気持ちを整理して誰もが現実を幸せに生きようとしています。
なりたいのは他の誰かじゃない
殻を破った気になってる誰かの声がしたけど
殻にこもったはずだった私はもうそこにはいない
私になってみてよ、ねえ
私になってみたいんでしょ?
声にならない言葉で自分が煙に巻かれた
恥ずかしくて言えないけど
私にしか守れないものを
身を削って紡いだら
案外さ、悪くないかもよ
出典: http://j-lyric.net/artist/a05866a/l03590c.html