こぼれ落ち沈んでいく言葉たち

【ラスカ/ゲスの極み乙女。】深い歌詞の意味を考える!最後に描かれる”嘘”をあなたはどう受け止める?の画像

人知れず落としてきた言葉

言葉はポツリポツリ
暮らしてる間に落ちていくんだ
放物線を描いて舟が潜ったあとをついていく
拾い上げる前に
きっときっと
誰からも見られないまま

出典: ラスカ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

日常の暮らしの中で、拾いきれず落ちていく言葉たち。

落ちた言葉は、漕いでもすぐに沈んでしまう船のあとをついていきます。

ゆっくりと放物線を描いて水底に沈んでいく言葉。

拾い上げようとするも、追いつくことができずにもっと深く沈んでいってしまいます。

沈んでいく言葉は、誰にも見られないまま、拾われないまま見えなくなっていきます。

努力が報われず沈んでいく舟。

それを追うように誰からも見られずに落ちていく言葉。

日々の生活のなかで、ポツリポツリと落としていく大切なものを拾いきれない不安。

「僕」は日常に空しさを感じているのかもしれません。

また人を好きになってしまう

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消えていくんだ
悪いな、また大切な人を増やしてしまった
ラブソングを歌って誤魔化してるんだ

出典: ラスカ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

大切なものや言葉が手元から消えていってしまう。

それでも、生きていると大切な人は増える。

大切な人が増えるのはいいことだけれど、また失うものが増える。

失うことを直視しないよう、ラブソングを誤魔化している。

「悪いな」「増やしてしまった」という言葉に、大切な人が増えた事を素直に喜べない葛藤が表れています。

それでも真実を歌う

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嘘にはなり得ない思い

それでも耐えられなかった思いを
書きなぐってしまったから
嘘になるわけない文字を歌う

出典: ラスカ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

1度目のサビと同じ歌詞の2度目のサビが終わった後の部分です。

嫌なことや綺麗ごとばかり、漕いだ舟もすぐ沈み、拾いきれない言葉を落としながら生きる。

それでも、「耐えられなかった思い」。

泣いたふりで咲けたり、ラブソングで誤魔化したり、それでも生まれる思いがあります。

それを胸に留めておくことに耐え切れず、書きなぐってしまった。

そうして生まれた言葉が嘘になるわけはない。

「前向いて歌わないと」と自分に言い聞かせてきた「僕」。

書きなぐった嘘のない文字を歌います。

「僕」が書きなぐったのは「言葉」ではなく「文字」。

言葉にするほど冷静ではなく、ただ頭に浮かぶ「文字」を連ねたら「言葉」になっていたのでしょう。

それほど、ここでうまれた文字は「僕」の嘘偽りのない感情であることが分かります。

もういない「ラスカ」

やっぱまだ僕は歌うから
泣いたふりしないで聴いてよ
漕いでた舟を飛び出して
ラスカ、君はもういないけど
僕は叫ぶよ

出典: ラスカ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

努力は報われず、大切なものを落としていく日々の暮らしに嫌気が差していた「僕」。

しかし、「やっぱまだ」歌う決心をしました。

「僕」にとって歌うことは、抑えきれないものを書きなぐるような衝動的で本能的なことです。

誤魔化しや、綺麗ごととは対極にあるものと言えます。

だから君も泣いたふりをしたり、誤魔化したりしないで聞いて欲しいと願います。 

漕いでもすぐに水に潜ってしまう舟は、真実を知ろうとしても耳や目をふさいでしまう事の象徴なのかも知れません。

その舟はもう飛び出して、本当の事から目を逸らさずにいようと「僕」は決めました。

ここで曲名の「ラスカ」が登場します。

「ラスカ」が一体何を指すのかは、この曲の歌詞だけでは判断することはできません。

でも、「ラスカ、君はもういないけど」というつづきの歌詞かに少しヒントが隠されています。

おそらく「ラスカ」は人物で、「僕」にとって重要な存在ですが、もう「ラスカ」はここにいない。

再び歌う事を決めた「僕」がそのことを一番に伝えたいと思った「ラスカ」。

大切なものに気付き取り戻して、「僕」は「ラスカ」に届くよう叫びます。

嘘のないメロディ

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言えない嘘は真実にして
届けメロディ
届けメロディ

出典: ラスカ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音