Synk;yet THE FINAL

祭典の始まり

ステージには、炎に似せたライトがところどころに設置され、悪の牢獄を彷彿とさせるステージだ。

今回のテーマでもある『七つの大罪』その悪魔の姿を投影させた衣装を身にまとったメンバーが登場すると、一瞬にしてSynk;yetのゴシックでシンフォニックな世界で会場全体が支配された。 「聞かせろ!!」客席を奮い立たせるような叫びと共に初っ端から『悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ』をドカンと投下。Vocal莉希-liki-の煽るステージングに客席も高ぶる衝動をぶちかます。

『An die Freude』が続き「全員両手をあげろ!」と莉希が叫ぶと「ヴォイ!」と拳をあげる客席。上手ギターの唯依葉-yuiha-と下手ギターの俐乃-rino-が入れ替わり会場を隈無く巻き込む。 休息を与える事はなく『midNight masquerade』。

「踊り狂おうか」とお立ち台に乗り大きく振り付けをする莉希 。どこかしっとりした艶のあるメロディーでダークな世界へと会場全体を引き込んだかと思えば、「揺らせ!」で激しく逆ダイする場面も。

途中身体に響く頼もしい栞-shiori-のベースソロにつづき唯依葉のギターがきらびやかに添えられる。

さらに盛り上がる会場

『夢人達の旋律』では再び会場が明るく一変した。

ボーカルの伸びやかな高音は聞いていて気持ちが良い。ツインギターの後、華やかな俐乃のステージングがつづく。サビでは一斉にステージ前へ行き、誰一人も見逃さないというように後ろまで煽るメンバーは楽しそうだった。

「まだまだ声出し足りねーよな?!それで満たされてるのか?!声を聞かせてくれ!!」

ちょっと早いけどついてきてね、と続けて披露したのは『Melty Kiss』『Claire』『Temptation』 妥協は許さないと疾走しつづける。「ヴォイ!」と煽る莉希と、その興奮をぶつけるかのように応える客席は感情を荒ぶらせた。 「声を聞かしてくださいリキッド…名前もっと呼べよ!もっと飽きるくらい呼べ!!」客席が全力で叫ぶ。莉希 が口元に指をあて「しーっ。」となだめると会場は一気に静まり

「今日一の声をありがとう回数とか関係なく、見に来てくれた事だけで嬉しい。最後まで思いっきり楽しみましょう。俺のストレートな気持ちを届けたい、そう思います。」と語った。

8曲目、バイオリンを思わせるようなフレーズに合わせ、しんみりと歌い出されたのは『小さなこの木の下で』。莉希のビブラートが艶っぽい旋律をつくりあげる。そのまま持続され、『to Mother』では下手ギター俐乃 がギターを置きキーボードを披露した。 10曲目『Transitional Insanity』。

ドクドクと鼓動音が流れ「今ここに、俺たちの、お前たちの世界を作り上げよう!」激しいヘドバンが始まりストロボがたかれる場内は激しさを増す。

途中メロディックなツインギターが共鳴し、鼓動の早鐘にも通じる皇司-kouji-のドラム音が激しく振動させ、会場全体を侵食していく。 勢いは疾走したまま『天使が見た世界』が奏でられ会場は煌びやかに。

お立ち台の上で振り付けする莉希 。踊れ!の声で、客席は綺麗に揃った振りつけで一体感をだした。サビではメンバーが一斉にステージ前方へ行き客席を煽る場面も。『Rainy』飛べ!と叫ぶと会場をゆらすジャンプとモッシュのすさまじい

「もっと楽しそうな顔見して」との莉希の声に、客席が更なる笑みで満たされた。メンバーも皆が楽しそうだ。

狂気的な世界へと移り変わる会場

「お前らのタオルをあげろ!ぶっ放してこうかぁ!!!」と『Psychotic Mechanism』。

タオルを回しながら上手へ下手へとモッシュする楽曲だ。歌を口ずさみ、いたずらっぽく舌を出しジャンプしはしゃぐ栞、背を併せて奏でる俐乃と唯依葉のツインギター、タオルを振り回し振り付けでリードしていく莉希、激しく熱いリズムを刻む皇司に、会場の熱気は止まらなかった。

『タルペイアの崖』で、会場は疲れを見せるどころかさらにヒートアップ。

ヘドバンを激しくシャウトで煽りまくる反面、サビでの莉希の高音ビブラートはとても優雅に響き渡る。髪が乱れるのも気にせず、折り畳みしながらのヘドバンに会場は狂気的な世界へと移り変わる。

15曲目『Unlimited Crucio』。 「ラストいけるかぁ!!!」 「おまえたちの覚悟!想いを!声を!こぶしに乗せて遠慮なくぶつけてこいよいいか!!!!!」

ステージ上を各々が動き回る。「男!男!!」「女!女!!」センター、上手、下手一人一人指を指しながら満遍なく煽っていく。俐乃の舐め回すようにプレイする姿はまさに妖艶だ。

それぞれ湧き上がるものに身を委ね、「ここにいる奴ら何見に来てんだ!俺たち見にきてんだろ!!」の声で、覚醒したように狂い出した。

アンコール1

会場はヒートアップ

莉希 がバンドTシャツにパーカーを来て登場 「呼べー!」と叫ぶ莉希。客席が名前を呼ぶ。

「ついにやってきちゃったね、リキッド。すっごい不安だった」とここに来て胸の内を語った。 「リキッドでかいわ。すっげーいいわ。ありがとう。」と感謝の気持ちを伝えると、続いて唯依葉 、 皇司、 俐乃、栞が登場し、無料ワンマンの告知をした。

栞「7月13日に一年ぶり主催をエリアでやります。俺はいないけど魂は残しとくから!」と語り、弾きながら喋っているような姿を写真に撮ってもらって、パネルとして主催のステージに登場すると会場を笑わせる場面も。 「やっちまおうかリキッドォォォ!!!」の叫びと共にアンコール曲 ピアノ音からしっとりと始まる『[Re]:birth』、『GOLD』どちらもお祭りのように盛り上がり、そこにいた誰もが自然と笑顔になる。「Thank you! Thank you リキッド! ラスト!ラストいけるか!!!!」と最後まで熱い感情を投げぶつけた莉希。

その後、会場全体での写真撮影をして、アンコールが締めくくられた。 しかし興奮は冷めやまず、会場はヒートアップしたまま客席から二度目のアンコールが求められた。

アンコール2

活動休止に伴う最後のライブ

「今日でこの5人で最後」と語るも、 栞「あんまりしんみりせず、最後まで楽しんでください」と会場を和ませたその心は、これが最後ではなく、またすぐに戻ってくるのだからと、ファンを安心させているかのようだった。

「ラスト歌えるよなぁ?!」突然の叫びにつられて、全員が興奮を極限までぶちまけようと思い思いのまま声をだす。 最後の曲として選ばれたのは、ファンの総称でもある『Messiah』。

誰もが待ちわびていたであろうこの曲に、会場は熱烈な感情を解き放つ。メンバー一人一人にスポットライトが当てられ、サビでは莉希の振りに合わせ客席が右へ左へと波打つ。

後半は楽器隊が演奏を止め、 莉希のアカペラが会場に響き渡る。そしてマイクは客席へ向けられ、ファンの合唱が会場に響いた。その光景を胸に刻み込むかのように、同じく口ずさみながら会場一体を眺めるメンバーたち。最後は皆で歌い、このツアーは幕を閉じた。 栞の一時活動休止に伴う最後のライブ。しかしそれは悲しみに包まれるのではなく、最初から最後までSynk;yetらしい「罪と狂気」、そしてシンフォニックでゴシックな世界観を存分に堪能させるライブとなった。

多くのファンや関係者に見届けられたこのステージはまさに必見であったと言えるだろう。