椎名林檎初期の代表曲ともいえる名曲
デビューアルバム「無罪モラトリアム」収録曲
この曲は椎名林檎のデビューアルバム「無罪モラトリアム」に収録されている曲。
このアルバムは1999年に発売された椎名林檎の代表作としても有名です。
「社会に適合できないモラトリアムな時間は誰でもある」と椎名林檎はいいます。
そして誰にでもあるからこそ、「それは無罪である」との主張が込められたアルバムタイトルとなりました。
人間が内に秘める、醜さや卑しさを赤裸々に描き出す椎名林檎らしいネーミングですね。
またこうしたモラトリアムを非難するのではなく、彼女は許容しています。
ありのままの姿を肯定する姿勢も、椎名林檎節といえるでしょう。
数々のアーティストがカバー
この「丸の内サディスティック」はプロ・アマ問わず、数々のアーティストにカバーされています。
動画サイトでもこの曲のカバー動画はいくつも存在し、アーティストによって様々なアレンジも。
中でもロックバンド「UNCHAIN」はこの曲のカバーで話題となり、より知名度を上げました。
他にもスキマスイッチや、藤井風などといったアーティストのカバーも有名です。
またファンの間では通称「丸サ」と呼ばれ、椎名林檎の代表曲として知られています。
さらに丸の内サディスティックをオマージュしたかのような楽曲も多数。
未来のクリエイターたちにも大きく影響を与えていることが分かります。
歌詞解説
早速この曲の歌詞を解説していきます。
しかし、この曲の歌詞は難解なうえにギターに関する固有名詞がたくさん。
「リッケン620」「グレッチ」など、それらの名刺も逐一解説していきます。
一見難解な歌詞ですが、読み解いていくと椎名林檎の世界観に出会えますよ。
それでは早速、見ていきましょう!
東京・御茶の水でギターを買う女性が主人公
報酬は入社後並行線で
東京は愛せど何も無い
リッケン620頂戴
19万も持っていない 御茶の水
出典: 丸の内サディスティック/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
軽快なハーモニカのメロディからこの曲のAメロが始まります。
Aメロ、巻き付くような、気だるいような彼女の歌声で語られる東京の暮らしぶり。
別に東京は好きなんだけど、求めているものが何もない。
東京で音楽活動をするために事務所と契約するも、鳴かず飛ばずで給料は上がらず。
音楽をしている彼女は数々の楽器店が並ぶ「御茶の水」に立ち寄ります。
そこで「リッケンバッカー」の「620」というギターを目にしました。
しかし値段は19万円、彼女はそんな大金を持ち合わせていません。
都会の中でくすぶっている主人公像が見えてきます。
平坦で代り映えのしない毎日。
そんなときに出会ったギター。
値段の高さとギターの欲しさが彼女の中で葛藤します。
これを聴いて、「椎名林檎自身の話なのかな?」と思う方も多いでしょう。
これについて公式には肯定も否定もされていません。
ただし椎名林檎が自身のエッセンスをふんだんに盛り込んで曲作りをしたことは確かでしょう。
往々にしてモデル不明の人物が描かれがちな彼女の楽曲。
そんな中で同曲はとりわけ、椎名林檎自らの色や香りが感じられる楽曲といえます。
毎晩音楽で絶頂する
マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
毎晩絶頂に達して居るだけ
出典: 丸の内サディスティック/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
曲は1番サビにさしかかります。
ここでいう「マーシャル」とはギターアンプの中でも最も有名なもの。
そんなマーシャルのアンプの匂いを嗅ぐだけで毎晩絶頂するほど彼女は音楽好きです。
また「飛ぶ」とはトリップするという意味の他に「スピーカー、アンプがぶっこわれる」という意味も。
アンプが飛ぶほど爆音で練習していたのか。
そんなことをしてしまったらもちろんスタジオやライブハウスの人は激怒。
故に「大変さ」と嘆いているとも考えられます。
ベンジーが自身に乗り移った?
ラット1つを商売道具にしているさ
そしたらベンジーが肺に映ってトリップ
出典: 丸の内サディスティック/作詞:椎名林檎作曲:椎名林檎