「アイネクライネ」の意味と、そこから見える一人の女性の人物像

切ない表現に大注目!米津玄師「アイネクライネ」歌詞を徹底解釈の画像

タイトルの「アイネクライネ」という言葉は、ドイツ語の[Eine=ある(女性形の不定冠詞)][Kleine=小さな(女性形の形容詞)]から成り立っています。

「ある小さな」、後に続くのは何でしょうか。~物語、~お話、というようなイメージかもしれません。

また歌詞の主人公は「あたし=女性」なので、この主人公が「ひとりの、ある女性」といった意味合いであるとも考えられます。

また自分の物語を「小さな」と題しています。

そこから、主人公は自己評価が低い女性であるとも解釈できるでしょう。

そんな彼女が「あなた」に会って、どのように変わっていくのかが楽曲の中で描かれています。

「アイネクライネ」のMVと美しいアニメーションの作者は?

MVのイラストからは歌詞の解釈となりそうなヒントも出てきています。 筆者の主観以外にも予想される事柄があるかもしれませんが、 ぜひ様々な様子を思い浮かべながら観てみてください。

この曲の公式MVはYouTubeやニコニコ動画に公開されています。

YouTubeの公式MVは2億回以上再生されており、今もなお人気が高い動画です。

カラオケでもランキング上位に入っており、楽曲が発表されてから10,20代の若者を中心に非常に高い人気を博しています。

その人気の要因の1つとして、楽曲の世界観に合った美しいアニメーションが挙げられるでしょう。

このアニメーションはプロのアニメーターに外注したわけではありません。

実は楽曲に付けられたMVのアニメーションは全て米津玄師本人が描いたイラストで作られています。

また編集や企画も全て彼自身が担当しているのです。

つまり、MVそのものが彼の作品であると言えるでしょう。

音楽家としてだけでなく、芸術家としてアーティストと言っても過言ではないのではないでしょうか。

その絵はペン画のような繊細なタッチに水彩画のような色使いです。

米津玄師の音楽的な才能以外の多彩な才能の片鱗を垣間見ることができます

そういったマルチな才能が彼を人気たらしめる理由の1つなのかもしれません。

色使いが優しく美しいMVなので、ファンの方は必見です。

「アイネクライネ」の切ない歌詞の意味

出会いと別れ

あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに
当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ
今痛いくらい幸せな思い出が
いつか来るお別れを育てて歩く

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-140423-162

一人の人との「出会い」という始まりが来た瞬間から、「別れ」という終わりが来る日が訪れてしまうことを恐れて、それが悲しいと表現されている冒頭です。

当たり前、という言葉の通り、主人公の「あたし」の中では別れが来ることが前提であり、まるで痛みを伴うくらいの感情が、悲しみや幸せとなって舞い込んでいるのでしょう。

二人の間柄が強まることが「別れを育てる」という詞で表現されています。

関係が深くなっていけばいくほどに、失った時に味わう痛みは膨らむことでしょう

それを恐れて、悲観的になってしまっている主人公。

自分が「あなた」に愛される自信がないから、絶対に別れの瞬間が訪れると思ってしまっているのです。

幸せすぎると、それはそれで失くした時が一層辛くなってしまいます。

それでも今この瞬間は「あなた」と居られる幸せを感じているようです。

自信がないが故に

誰かの居場所を奪い生きるくらいならばもう
あたしは石ころにでもなれたらいいな
だとしたら勘違いも戸惑いもない
そうやってあなたまでも知らないままで

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-140423-162

相手にもっと相応しい人が他に居るのならば、この人の隣に居るべきなのは自分ではないのではないか・・・そんな主人公の淡い心が見え隠れしています。

好きな人のことをそっと見守る方が良いのかもしれない、と美しすぎる程の恋心を抱く女性の想いが「石ころ」=視界には入らないものになることで叶うのではないか、というところでしょうか。

恋しい感情から様々な想いを巡らせるようなこともなく、自分の気持ちも気付かれないままでいられたら、と恋に対して消極的な女性の様子が見えてきます。

自分が「あなた」の隣にいなくても彼が幸せならばそれでいい…。

そんなことさえ考えてしまうほどに、彼女は「あなた」への、憧れに似た恋心を胸に秘めているのです。

また「勘違いも戸惑いもない」という歌詞があります。

つまり主人公が「勘違い」するようなことを「あなた」が口にしたりしているのも読み取れます。

この相手は恐らく、主人公のことが好きで両想いであるのでしょう。

しかし、主人公は自分に自信が無いので「勘違い」と決めつけてしまっています。

伝えたい思いと言えない秘密

あなたにあたしの思いが全部伝わってほしいのに
誰にも言えない秘密があって嘘をついてしまうのだ
あなたが思えば思うよりいくつもあたしは意気地ないのに
どうして

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-140423-162

恋をする人なら「自分の思いが全部伝わってほしい」「自分のことを全部知ってほしい」と思うのは当然のことです。

もしかすると主人公の女性には、過去に何か大きな問題を抱いていたり、身体や心に欠損したような部分があったりするのかもしれません。

それを「秘密」として生きることが、恋する相手に対しても消極的になってしまう理由なのでしょうか。

もし「秘密」を知られてしまったら、「あなた」は幻滅してしまうだろう。

そして今の関係が壊れてしまうという悲観的な考えが、思いを伝える勇気をなくしてしまいます。

さまざまな不安が主人公の中で渦巻き、何も行動できずにいるのです。

そんな意気地ない「あたし」に「あなた」は思いもしなかったあることを言ってくれました。

自分に自信のない主人公は嬉しさよりも先に「どうして」と戸惑いを隠せません。

もし少しでも自分に自信があれば、「あなた」の言葉を素直に受け入れられたかもしれません。

しかし、主人公にはそんな自信がないために、喜ぶこともできず戸惑っているのだと読み取れます。

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