ドラムの練習事情
ドラム演奏を始めることは、エレキギターやベースよりもハードルが高くなっています。その最大の理由が「騒音」という問題です。
土地が狭く住宅が密集して建っている日本では、ドラムを始めようとしてもこの音の問題が大きな壁となります。
小型のアンプやヘッドホンを使って静かに練習できるギターやベースと違い、ドラムだけは音を小さくすることがほぼ不可能です。
アメリカなどでは土地が広く隣の家との距離があり、ガレージなどを改造してドラムの練習場所にする人も多くいます。
ですが、日本ではなかなか難しいでしょう。かといって、練習スタジオに毎日のように入ると金銭面の問題も出てきます。
そんなドラマーに厳しい環境の日本では、「電子ドラム」という選択肢が一般的なものとして出てきます。
本物の生ドラムと練習しやすい電子ドラム、それぞれ良い点も不便な点もあります。
ドラム初心者の練習にはどちらが良いのでしょうか?それぞれのポイントをまとめて見てみましょう。
生ドラムセットのメリット・デメリット
生ドラムのメリット
生のドラムを叩いて練習する最大のメリットは、なんといっても「本物の楽器で演奏する感覚が鍛えられる」ということでしょう。
ドラムの打面のどの部分をどのような角度で、どのような力加減で叩くとどんな音が鳴るのか、といった感覚は本物のドラムを叩くことでしか鍛えられません。
生ドラムの演奏に慣れているかどうかは、ドラム演奏を続けていく上で大きな実力の差として出てきます。
「シミュレーターでしか練習したことのないパイロットと実際の飛行機を何度も操縦してきたパイロット」のような差がついてくると言うと分かりやすいでしょうか。
生ドラムのデメリット
そんな大きなメリットのある生ドラムですが、特に日本で大きなデメリットとなるのが前述したような「音」の問題です。
生のドラムセットによる演奏の音量は凄まじいものがあります。普通の住宅でドアや窓を閉め切ったくらいではとても抑えられるものではありません。
よほど隣の家と距離に余裕がある地域でもない限り、ほぼ確実にご近所トラブルの元になることでしょう。
もし家にドラムセットを置きたいなら、その一室を防音室のように改装する必要が出てきます。
そうなると費用も大きなものになるでしょう。現実的な練習方法はドラムセットの置いてある練習スタジオを借りて定期的に個人練習をすることだと思います。
ドラム演奏にの音量に耐えられる部屋を作るか練習スタジオに頻繁に入るか、どちらにしても金銭的な問題が出てきます。
電子ドラムセットのメリット・デメリット
電子ドラムのメリット
電子ドラム最大のメリットは、生ドラムのデメリットを大きく改善している点です。すなわち、「音」の問題が解消されていることでしょう。
パッドを叩いた振動が電気信号となって伝わり、予め備わっている音が発せられるのが電子ドラムです。
ヘッドホンを付ければ、そのドラム音は自分にしか聴こえません。大音量を抑えることができない生のドラムと比べると圧倒的な消音になります。
パッドを叩く打音や足で踏むペダルの振動などの問題は残りますが、消音パッドや振動吸収マットを使う、アパートなどの集合住宅では一番下の階に住む、早朝や深夜の使用を避ける、などの対策をすることで住宅街でも十分に練習ができるでしょう。
そして、一度セット本体や周辺機材を揃えてしまえば追加費用なしで何時間でも練習できるのも電子ドラムセットの大きな強みです。
電子ドラムのデメリット
電子ドラムセットの最大のデメリットは、生ドラムセットのメリットを失ってしまうことです。つまり、「本物のドラムを演奏する感覚が掴めない」という点です。
パッドの並んだ電子ドラムを叩く感覚は、やはり本物の皮や金属でできたドラムとは大きく異なります。
パッドのどこを叩いてもある程度一定の音が鳴る電子ドラムに慣れてしまうと、本物のドラムで細かいニュアンスを表現する力が付きにくくなってしまいます。
本物のドラムセットと電子ドラムセット両方を上手に活用
どちらもメリット・デメリットのあるドラムセットと電子ドラムセット。それらを一番上手に使う練習方法は「家では電子ドラムセット、時々練習スタジオで本物のドラムセット」と、どちらも使用するというものでしょう。
毎日のリズム練習や曲のコピー練習では電子ドラムを使って、生のドラムを叩く感覚をつかむために休日に数時間練習スタジオでしっかり練習するとバランスよく上達できます。
毎日の練習時間も確保でき、金銭的な負担も減ります。そして、電子ドラムに慣れきってしまうことも防げます。
ドラムセットと電子ドラムセット、両方の良い点を上手に活用していきたいですね。
おすすめの電子ドラムセット
電子ドラムセットに関しては、YAMAHAとRolandというどちらも有名な国内メーカーが2トップで人気を博しています。
これから電子ドラムセットの購入を考えている人は、このどちらかのメーカーのお手頃な価格のシリーズを買えば間違いはありません。