手を伸ばし合う描写
「リベラシオン」のMVでは、2人の渕上さんが互いに手を伸ばし合うシーンが随所に見られます。
工場にいる渕上さんがいざなうように伸ばした手と、都会にいる渕上さんが求めるように伸ばした手。
2人の手が重なることはありませんが、まるでお互いを必要としているように感じられます。
辿り着いた場所で出会ったのは
都会から逃げるように歩き続けたパーカー姿の渕上さん。
だんだんと都会の夜景が遠くなり、最後には工場にたどり着きます。
この工場にいるのは、ドレス姿の渕上さん。
手を伸ばし合いお互いを求めていた2人がついに出会うのです。
目の前に現れた、自分にそっくりな人物の姿に驚くパーカー姿の渕上さん。
パーカー姿の渕上さんが抱える不安を解放するかのように、ドレス姿の渕上さんは優し気な笑みを浮かべます。
その姿を見て、パーカー姿の渕上さんはようやく明るい表情に。安心しているようにも見えるでしょう。
そして最後に2人は手を伸ばし、羽となって消えていきます。
「リベラシオン」のMVに登場する2人の対比
「リベラシオン」のMVに登場する2人の渕上さん。
対照的に見える2人は、いったい何を表しているのでしょうか。
同一人物の中にひそむ2つの性質
ドレス姿の渕上さんは、全編を通して強い意志を感じさせます。
一方パーカー姿の渕上さんは不安を抱えているように見えました。
この2人は対照的なキャラクターとして目に映ります。
2人のキャラクターを演じているのは、どちらも渕上さん。
同一人物の中にある対照的な2つの性質を、別々のキャラクターとして表現しているのではないでしょうか。
強い性質も弱い性質も自分であることに違いない。
どちらも受け入れて前に進んでいこう。
そんなメッセージ性を感じると、私はMVを見て思いました。
「リベラシオン」は歌詞もかっこいい!
「リベラシオン」のMVから、楽曲のかっこよさや渕上さんの魅力的な演技を感じていただけたと思います。
しかし「リベラシオン」の魅力はそれだけではありません!
渕上さんは今回、「リベラシオン」の作詞にも参加しました。
歌唱力だけではない、アーティストとしての才能が歌詞から伝わってくるはず。
百年戦争を思わせる単語
100年先の未来まで届け――
出典: リベラシオン/作詞:渕上舞、松井洋平 作曲:KOHTA YAMAMOTO
「リベラシオン」の歌詞の中に何度も登場する「100年」という言葉。
これは「ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士」が百年戦争を描いていることと深い関わりがあります。
百年戦争を戦っている人々は、自分や子孫が生き残る未来のために戦っていたのでしょう。
「100年」と聞くと膨大な時間のように思われますが、それも現在を積み重ねていった結果。
この時代を生き延びなければ、100年後の未来の時間はやってきません。
そう考えるとこのフレーズは、百年戦争の時代に生きた人々の切実な祈りのようにも聞こえます。
何があっても前に進む
たとえ絶望が炎になってこの身を焼いても諦めない
掲げるように叫ぶのは絶対に譲れないものの為
叶わないっていう運命なんていらない
偽りない言葉を、唇が解き放っていく
出典: リベラシオン/作詞:渕上舞、松井洋平 作曲:KOHTA YAMAMOTO
「リベラシオン」の2番のサビでは、何があっても前に進もうとする姿が描かれます。
1行目の歌詞から、このパートはかつて火刑に処されたジャンヌ・ダルクを表していると考えられるでしょう。
ジャンヌ・ダルクはフランス解放のために力を尽くしますが、最後には裏切られてしまいます。
しかしこのパートの歌詞からは「そんな結末が待っていてもかまわない」という強い意志が伝わってきます。
自分の行く末を案じるよりも、人々の願いを叶えることの方が大切。
きっとジャンヌ・ダルクはそう思っているのでしょう。
人々を導いていくジャンヌ・ダルクの強さがうかがえる歌詞がかっこいいです。