泰葉【フライディ・チャイナタウン】
シンガーソングライター・泰葉のデビュー曲
父や弟は落語家、母はエッセイスト、姉は女優という華々しい家庭に生まれた歌手の泰葉。
彼女は1981年に【フライディ・チャイナタウン】でシンガーソングライターとしてデビューしました。
コンピレーションアルバム「横浜幻想(ヨコハマ・ファンタジー)」にも収録されている楽曲です。
このアルバムに収録されているのは横浜をイメージしてつくられた楽曲ばかり。
チャイナタウンとは中国以外の都市で、中国人が多く住んでいる場所です。
別名「中華街」とも呼ばれ、中国料理店が集まっていることから観光名所となっていることも。
【フライディ・チャイナタウン】は横浜の中華街を舞台に描かれているといわれています。
ただ場所についての言葉は、明確なかたちで歌詞には出てきていません。
フライディは「FRIDAY」ではない?
タイトルにある「フライディ」という言葉。
一見すると、英語の「FRIDAY」つまり“金曜日”のことだと思ってしまいます。
実は、「フライ」は「FLY」で“飛ぶ”という意味。
「FLY-DAY」で“飛ぶ日”ですが、そのままでは意味が伝わってきません。
きっと、飛び上がってしまうくらい楽しい一日をイメージしているのでしょう。
ただ個人的には“金曜日”の意味も同時に持っているのではないかと推測します。
働いている人にとっては“金曜日”は華金と呼ばれるくらい、飛び上がるほど楽しい日です。
チャイナタウンも普通の平日より“金曜日”の方が賑わっているのではないでしょうか。
それでは、そんなタイトルを念頭に歌詞をみていきましょう。
初めて訪れた場所
さぁ、中華街へ
It's So Fly-Day Fly-Day CHINA TOWN
真夜中の人ごみに
It's So Fly-Day Fly-Day CHINA TOWN
はじけるネオンサイン
出典: フライディ・チャイナタウン/作詞:荒木とよひさ 作曲:海老名泰葉
クセになりそうなフレーズで始まる、この楽曲。
歌詞を早速解説していきましょう。
楽曲の主人公は中華街に観光でやってきた女性。
ずっと憧れだった中華街にやっと来ることができたのです。
中華街に入り口から見える、中国語と日本語が混ざったネオンサインの看板…。
活気ある異国の雰囲気に、主人公の気分は最高潮です。
そんな気分を「Fly-Day」というワードで表しているのでしょう。
恋人との旅行
少し冷めた恋人
肩にぶつかる人外 ウインクを投げる
知らん顔のあなた とまどいのひとコマ
踊りつかれていても 朝まで遊ぶわ
港の見える場所で 何か飲みたいのよ
出典: フライディ・チャイナタウン/作詞:荒木とよひさ 作曲:海老名泰葉
中華街を歩き出した主人公。楽しい夜の始まりです。
ちなみに二行目に出てくる「人外」というのは外国の方のことです。
当時外人さんというのが差別用語だといわれていて、その代わりに頻繁に使われていたワード。
今使うと快く思われないワードですので、気をつけましょう。
さて実は主人公、一人で中華街に来たのではなく隣には恋人がいるようです。
恋人の肩に外国の方がぶつかって、ウインクでアイコンタクトをとってきました。
日本人に比べて外国人はフレンドリーな方が多いのです。
中華街という場所にきても、普段通りの恋人はそんなウインクに気づかないフリ。
そんな文化の違いをまのあたりにして、主人公は戸惑っています。
また、自分と恋人との温度感やテンションの違いにも驚いている様子。
少し冷めた表情をする恋人の腕を引っ張り、中華街を練り歩きます。
日本の中華街は、かつて外国と交易が盛んだった横浜・神戸・長崎…。
どの場所も近くには港があります。
主人公は中華街で散々遊んだ後、恋人と港で過ごすという計画を立てています。
朝まで語り合いたい主人公は、恋人を何としてでも楽しませなければならないのです。
気分はもう異国人
It's So Fly-Day Fly-Day CHINA TOWN
ジャスミンに接吻を
It's So Fly-Day Fly-Day CHINA TOWN
私も異国人ね
出典: フライディ・チャイナタウン/作詞:荒木とよひさ 作曲:海老名泰葉