絶望から顔を出す
新たな世界でもがき始める
半分しか 許したくない
半分しか 分かり合えない
こんな世界を闘い抜くなら
どんな歌を歌えばいいの
見つけたいなら 見つけだすまで
出典: Here/作詞:岩里祐穂 作曲:白戸佑輔
1〜2行目に注目してみましょう。
ここでいう「半分」とは何を表しているのでしょうか。
これは、主人公とエリアスの関係性を表現しているのだと思われます。
前述の通り、魔法使いエリアスは身体は人間であるものの、羊のようなツノと狼のような顔を持ちます。
対して主人公のチセは魔法使いの素質は持つものの、身体も顔も人間。
心で通じ合ったとしても、生まれ育った環境も何もかも違う2人だから全てを分かり合えないのです。
異世界に飛び込んでしまった主人公。
その世界で生きていくためには、覚悟が必要です。
今まで絶望の闇に呑み込まれて死んだように生きていた主人公ですが、最後の行からその覚悟が感じられます。
もう一度だけ信じる
不実で不毛な自由を
それでも欲しいと叫んだ
知ってるくせに 知らんぷりをして
無色で無傷な光を
それでももう一度探した
たった一つたった一つの
たった一人たった一人の
私は此処
出典: Here/作詞:岩里祐穂 作曲:白戸佑輔
ありのままの自分で好きな場所へ行き、好きな人たちと笑って過ごす…。
そんな自由な時間は一生続くこともなく、いつ壊れるかも分かりません。
しかし、人々にとってそれは意味がなくても幸せな時間。
主人公はそんな誰もが掴むことのできる自由で幸せな時間を今まで手に入れることはできませんでした。
様々な人に裏切られ、傷つけられきた主人公。
もう誰も信じないと思っていた矢先に異世界へ連れ出され、本来の自分と向き合えるようになっていきます。
その中で、諦めていた自由で幸せな時間を手に掴みたいと思えるようになったのです。
もうもはや主人公の目の前に絶望の闇はありません。
雲から光が差し込むように、希望が顔を出し始めたのです。
自分の居場所を見つけ出す
今度は自分が周りを救えるように
君だけの場所が必ずある
美しいこの星は全てを隠してるけど
出典: Here/作詞:岩里祐穂 作曲:白戸佑輔
アニメの主人公は自身が持つ魔法使いの力を活かし、自分と同じような絶望に包まれた人々の心を救い出します。
そのことがきっかけで自分自身を見つめ返すことができた主人公。
主人公のように、なかなか人は1人で自分の価値を見出すことができません。
人と関わり傷つき傷つけ合って初めて、自分の輪郭がはっきりとするのです。
自分の存在が人を救うことができる、自分は誰かに愛されることができる…それは、まさに希望です。
やっと希望を見出せた主人公は、こう確信するのです。
「どんな人にも居場所は存在する」と…。
ラストサビ前に、突然聴き手に語りかけるような口調。
それは、私たち1人ひとりに教えてくれようとしているからなのかもしれません。
MVをチェック
砂漠のような場所を裸足で歩きながら、力強く楽曲を歌い上げる姿が映し出されます。
改めて彼女の、大人顔負けの歌唱力に驚くでしょう。
今回は、絶望から立ち上がる主人公の様子を描いた楽曲【Here】についてご紹介しました。
自分のことを信じられない、愛せない…。
そんな風に感じている人にとっては、背中を押されたような気分になったのではないでしょうか。
アニメの主人公チセのように、あなたもあなただけの世界を見つけ出せることができますように願ってます!