悲恋のあとに残るもの
和の世界観に乗せて、悲恋の想いが綴られています。
報われない恋の果てに残るものとは何か?
切ないほど美しい恋情は、痛みと輝きを持っています。
すべてが終わるまで気付けなかった。
愛されると信じていた。
行き場を失った想いは、どうやって整理をつければ良いのでしょう?
ひとつの恋が生んだ悲しい結末。
現実を受け入れるには、まだまだ時間がかかりそうです。
2次元と3次元の融合

曲の世界観と合わせて、MVも和をモチーフにして制作されています。
イラストと実写が融合したMVは、なんだか独特な雰囲気を持っていますね。
顔の見えない1組の男女。
そして、丸い穴から覗く風景。
これらにはいったいどんな意味があるのか。
運命に引き裂かれた2人
まずはイラストに描かれている男女のポーズから考えていきましょう。
男性が女性を受け止めようとしているようにも、女性が男性から離れていっているようにも見えるこのイラスト。
歌詞の内容が悲恋であることを考えると、恐らく後者だと思われます。
男性は目隠しをされ、女性は天へと昇っていくようですね。
女性の体には、雲のようなものが巻き付いています。
このイラストは2人が運命に引き裂かれる瞬間なのではないでしょうか?
女性は運命を受け入れ、男性に別れを告げているように見えます。
一方で男性は、運命を受け入れられず、女性を引きとめようとしている様子です。
MVの最後に映る男性の背中は、まるで終わってしまった恋を悲しんでいるよう。
消えてしまった恋人の姿を、男性はずっと探しているのかもしれませんね。
恋人はどこへ消えてしまったの...?
次にMVの、丸い穴から風景を覗く構図について考えてみましょう。
この構図は、2次元の世界から3次元の世界を覗き見ているような感覚になりますね。
丸い穴から見える実写の風景は、イラストの男性の視点なのではないかと思います。
男性は消えてしまった恋人を探して、異次元の世界を覗いているのではないでしょうか?
恋人が連れていかれてしまった世界は、きっと男性のいる世界とは交わらない場所。
小さな穴から覗き見るしかない異次元の世界に、男性は恋人への想いを馳せているのかもしれません。
しかしこの小さな穴に、恋人の姿が現れることは最後までありませんでした。
恋人はいったいどこへ消えてしまったのか。
それは誰にも分かりません。
純真無垢な想い
愛がほしい
みんなどっか行っちゃったよ
零になっちゃってざまぁないね
信じてたいから声に出すのはやめた
愛されたいのはどうして?
愛してたいのはどうして?
飾りあって 分かち合っていた
出典: 阿吽のビーツ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
どうやら男性は埋まらない孤独を抱えているようです。
「零になっちゃって~」の歌詞からは、孤独な自分を自嘲するような様子が見受けられます。
愛されたい。愛したい。
理由も分からないまま、男性は愛を求めています。
いつかはこんな孤独な自分も愛する人を見つけ、相手からも惜しみない愛情を与えられるはず。
しかし「愛がほしい」と声に出して言うことはありません。
願望は声に出したら叶わない。
男性にはそんなジンクスがあるのでしょう。
いつかは叶うと信じていたいから、男性は口をつぐむ。
もしかしたらその行為こそが、男性を孤独にしているのかもしれません。
恋人の正体
私
曖昧さ故にシンパシー
大胆不敵なセンソリー
どんまいどんまい大丈夫
笑わせてあげるから
だから与え与えられて
消えないように此処に居なよ
そしたら
「僕にもお返事くださいね」
出典: 阿吽のビーツ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご