青春を描く
若い世代を中心に人気のロックバンドRADWIMPSが、2018年12月にアルバムをリリースしました。
メジャー7枚目のアルバムにつけられたタイトルは『ANTI ANTI GENERATION』という彼ららしい言葉。
今回はこのアルバムのラストを飾る楽曲『正解』をご紹介しましょう。
この楽曲はNHK主催のイベントである「18祭」で披露されました。
2016年に開始したイベントの第3回目に登場した彼ら。
18歳の若者たちと『正解』そして『万歳千唱』の2曲を披露しています。
イベントにあわせて若者世代らしい感情、悩みなどを詰め込んだ歌詞は、多くの共感を集めました。
若者たちはいったい何に悩み、何に苦しみ、何を考えながら生きているのでしょうか。
等身大の姿に迫っていきましょう。
友と過ごしたかけがえのない日々
近すぎるが故に…
この先に出会うどんな友とも 分かち合えない秘密を共にした
それなのにたったひと言の 「ごめんね」だけ
やけに遠くて言えなかったり
出典: 正解/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
人生の中で、自分自身に大きな影響を与えてくれる人。
あなたにも、思い当たる人がいることでしょう。
この楽曲では、家族より強い繋がりを持っているかのように見える
あなたもありませんか?
家族にも言えなかった話を、なぜだかあの子にだけは話せた、とい
赤の他人であるはずなのに…いや、赤の他人だからこそ話せたのか
その結びつきは「赤の他人」なんて一括りにできるほど軽いも
しかしそれほどまでに深い関係を持った友だからこそ、大事な言葉が言え
心を許しているからこそ強がってしまうこともあるでしょう。
そんなもどかしい心模様が描かれています。
はたまた強がりではなく、その友に対するライバル心が邪魔をしているのかもしれません。
大切な秘密を共有するくらい親密な相手ですから、きっと何をするにも一緒だったのでしょう。
仲がいいから、そして深く繋がっているからこそ、あの子には負けたくない。
ちょっとしたことですれ違いが生まれてしまっても、そこで謝ることは負けを意味します。
自分は間違えていない。だから謝るものか。
小さな子どもが意地を張っているだけのようにも見えますが、これもきっとこの世代特有の感情。
うまく言えないけれど確かに心の中にある、そんな小さな感情の揺れ動きが的確に表現されています。
僕等にとっての青春とは
明日も会うのになぜか僕らは 眠い眼こすり 夜通しバカ話
明くる日 案の定 机並べて居眠りして 怒られてるのに笑えてきて
理屈に合わないことを どれだけやれるかが青春だとでも
どこかで僕ら思っていたのかな
出典: 正解/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
まさに青春の1ページ。学園ドラマのような風景が頭に浮かびます
想像される主人公と友は、きっと高校生くらいでしょう。
となれば、夜通し話し込むことが翌日もたらす結果は容易に想像で
でも、想像しなかった。いや、想像したけれどあえて逆らったのかもしれません。
どんな理由にせよ、2人で怒られているというその状況さえ楽し
きっと彼らなりの小さな反発心が、2人を夜遅くまで起こしていた
しかし理由はそれだけではないと思うのです。
高校生くらいの年代にありがちな、「なんとなくモヤモヤする気持
その正体が何なのか簡単にはわからなくて、そのもどかしさが彼ら
しまいには定められた全てのことが間違いのように見えて、反発し
反抗期とはちょっぴり違う、でも見えない何かに必死に抵抗してい
彼らの心をここまで掻き乱すもの。
その正体は、このさきで明かされていました。
僕等が抱える悩み
それは学校で教えてもらえなかったもの
あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ そのせいだろうか
僕たちが知りたかったのは いつも正解などまだ銀河にもない
出典: 正解/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
彼らの心を掻き乱していたものの正体が、ここで明かされました。
学校の授業で教えてくれることには、いつも答えがセットになっています。
考えればその答えにたどり着くことができますし、考えてわからなければ誰かが教えてくれるでしょう。
これを選ぶことが100%正しい、それ以外は間違いだと、非常に単純明快ですね。
しかし、考えてみてください。
ひとたび学校の授業から離れれば、世の中に100%の答えを持った問いがほとんどないことに気がつくはずです。
多くの場合、人が悩むのは「何事にも正解がないから」。
そしてその答えは、自分が知らないだけでどこかに存在する、というわけでもありません。
世界中の誰もが答えを持っていませんし、世界中の誰もが同じく答えを探しています。
様々なことを考え学ぶ多感な時期だからこそ、こんな現実にうんざりしてしまうのでしょう。
僕等が本当に知りたいこと
一番大切な君と 仲直りの仕方
大好きなあの子の 心の振り向かせ方
なに一つ見えない 僕らの未来だから
答えがすでにある 問いなんかに用などはない
出典: 正解/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎