「Get Wild」誕生

アニメのテーマソングとして

TM NETWORK「Get Wild」の歌詞の意味とは?胸アツの世界観は「シティーハンター」の投影の画像

1987年にTM NETWORKがリリースした、10枚目のシングル「Get Wild」

実は制作前から、「シティーハンター」テレビシリーズのエンディングテーマとして起用が決まっていました。

アニメ制作会社がリクエストしたのは「ピカーンとする光みたいな音から入ってほしい」というもの。

ベルのような音と透き通ったシンセサイザーで始まるイントロダクションは、まさに光のようなきらめきです。

初回アニメ放送の2日後に発売された「Get Wild」は、週間シングルチャートのベスト10にランクイン

シンセサイザーを積み上げて演奏する小室哲哉のステージングも斬新でした。

ダンサブルなナンバーは驚異のロングセールスを続け、再リリースやリミックスなどが繰り返されることに。

国内外を問わず、カバーも多数に上ります。

TM NETWORKの出世作となったこの曲は、まぎれもなく彼らの代表曲です。

それと同時に、「シティーハンター」の物語を織り成す最高のエンディングテーマとしても定着しました。

名作「シティーハンター」

ハードボイルドなのにコメディー

TM NETWORK「Get Wild」の歌詞の意味とは?胸アツの世界観は「シティーハンター」の投影の画像

「シティーハンター」は83年、週刊少年ジャンプに読み切り作品として掲載。

85年から同誌で連載され、高い人気を獲得しました。

表向きの仕事は新宿のマンションの管理業をしている主人公の冴羽獠

しかし、本職はボディーガードから殺しまで引き受ける、裏社会のスイーパー(始末屋)です。

イケメンで、体格や運動神経は抜群。神業のように銃を使いこなし、危機一髪のシーンも乗り越えます。

その半面、並外れた女好き。仕事のオファーは基本的に美女からしか受けません。

ひょうきんで親しみやすいのに、決めるところはクールに決める頼もしい男。

そんな魅力的なキャラクターが人気の秘密です。

主人公に負けず劣らず個性的な登場人物も、作品の面白さを増しています。

世界観を投影する歌詞

人間ドラマの本質

アスファルト タイヤを切りつけながら
暗闇走りぬける
チープなスリルに身をまかせても
明日におびえていたよ
It`s your pain or my pain or somebody's pain
It`s your dream or my dream or somebody's dream
何も こわくはない

出典: Get wild/作詞:小室みつ子 作曲:小室哲哉

「Get Wild」は制作前の段階から、アニメとの一体感が重視された曲。

サウンドはもちろん、歌詞ハードボイルドな世界観を表現しています。

歌い出しの言葉は、冴羽獠が愛車のミニ・クーパーを駆るシーンを想像させます。

「スリルに身をまかせても」のフレーズも、裏の世界に生きる彼の生きざまそのものです。

「pain」は痛み、「dream」は夢。

君のかもしれない、自分のかもしれない、誰かのかもしれない「痛み」と「夢」。

冴羽獠と依頼主をはじめ、さまざまな登場人物が織り成す人間ドラマの本質を表した言葉です。

ラブソングを超えるメッセージ

Get wild and tough
ひとりでは 解けない愛のパズルを抱いて
Get wild and tough
この街で やさしさに甘えていたくはない
Get chance and luck
君だけが 守れるものがどこかにあるさ
Get chance and luck
ひとりでも 傷ついた夢をとりもどすよ

出典: Get Wild/作詞:小室みつ子 作曲:小室哲哉

「ワイルド、タフになれ」

「チャンスと幸運をつかめ」

「やさしさに甘えていたくはない」

裏社会に生きる孤独を背負いながら生きるのが宿命の冴羽獠に、ぴったりの歌詞です。

この曲の歌詞は、そんなヒーローが自分自身に向けた言葉。

そう考えれば、主人公の心情が投影されているように思えます。

80年代後半のヒットチャートに、ラブソング以外の曲が登場するのは異例のことでした。

この曲はそんな枠組みを超えて、多くの人の胸に届く熱いメッセージを持ち合わせているのです。

ロックへの「カウンターパンチ」

斬新なアプローチ