新生レゲエDeejay775
大阪府岸和田出身
775は大阪府岸和田出身の女性レゲエDeejayです。
幼いころからレゲエに触れて育ち、10代半ばに地元のクラブでDeejayとしての活動を開始。
2020年4月にリリースされた1st.EP『くのいち』が話題となり今最も注目を集めるアーティストの1人です。
時折見せる岸和田出身ならではの大阪弁によるリリックが彼女の大きな特徴になります。
「くのいち」というEPタイトルからもわかるように「日本らしさ」をレゲエと混ぜ合わせたスタイルも斬新です。
レゲエに日本的旋律を加え、大阪弁によるリリックを乗せる。
そうして組み上げられた775の楽曲は唯一無二の音楽性を持っています。
ルーツロックレゲエへのリスペクト
レゲエはスカとロックステディを基盤に1960年代末にジャマイカで生まれた音楽ジャンルです。
1番の音楽的特徴は2拍目と4拍目にアクセントを置いたワンドロップ・リズムでしょう。
ボブ・マーリーやジミー・クリフといったレジェンドがシーンを牽引しました。
彼らが生んだサウンドとラスタファリズムを背景に持つ歌はルーツロックレゲエと呼ばれます。
ラスタファリズムとはアフリカ回帰主義の要素を持ったジャマイカで発生した思想運動です。
菜食主義やドレッドヘアー、ガンジャ(マリファナ・大麻)信仰などが主な特徴になります。
レゲエとラスタファリズムには密接な関係があり、レゲエの流行と共にラスタファリズムも世に広まりました。
70年代にはポール・サイモンやエリック・クラプトンらがレゲエを取り上げ、英米にも流行は伝染していきます。
ジャマイカというカリブ海の小さな島国で生まれた音楽が世界中に認知されるようになったのです。
80年代以降になるとルーツロックレゲエに代わりダンスホールレゲエが主流になっていきます。
ダンスホールレゲエはドラムマシンやサンプラーを導入した新たなレゲエミュージック。
思想もラスタファリズムからは切り離されたものになりました。
日本のジャパニーズ・レゲエ(ジャパレゲ)は主にこのダンスホールレゲエの影響下にあります。
775はそのジャパレゲの影響下で誕生したレゲエDeejayです。
しかしルーツロックレゲエやラスタファリズムを継承していないわけではありません。
775のリリックにはルーツロックレゲエやラスタファリズムへのリスペクトが多く散りばめられています。
人気曲【よってらっしゃい】
1st.EP『くのいち』収録曲
この記事で紹介する【よってらっしゃい】は1st.EP『くのいち』に収録された楽曲です。
『くのいち』は2020年4月にコマゲンレコーズからリリースされました。
この『くのいち』をきっかけに775は注目を集めることになります。
MV再生数600万越えのヒット
YouTubeで公開されているMVは2021年8月の現時点で600万再生を超えています。
着物を着て和装した日本らしい美しい姿といかにもなレゲエファッションに身を包んだクールな姿。
その二面性、日本らしさとレゲエらしさの対比が素晴らしいMVです。
それではそんな【よってらっしゃい】の歌詞を冒頭から見ていきましょう。
あたいのスタイル
エリカ・バドゥよりファッショナブル
Erykah Baduよりファッショナブル
あたいのStyleで時代変える
ルルルルル言葉もOriginal
マイク持てば誰よりも様になる
出典: よってらっしゃい/作詞:775・Black Smith 作曲:コモリタカシ
冒頭の歌詞では775のスタイルを自ら歌い上げる自己紹介的なパートになっています。
エリカ・バドゥはネオソウルの重要人物として知られるアメリカの女性ミュージシャンです。
ルーツロックレゲエのシンガーであるバーニング・スピアと共演しており、レゲエとも少なからず関わり有。
そんなエリカ・バドゥを引き合いに出したのはリスペクトからでしょうか。
その真意はさておき、なによりこの冒頭部の韻を踏んだ語感の良さは秀逸です。