あの子は本当は優しい子なんだ
抱えるものが多かった
あの子は海の中に身を沈めて
この世の深いとこへ行ってしまった
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
あの子はきっと人一倍、感受性が豊かだったのでしょう。
他人より色々なことを良くも悪くも感じ取ってしまうのです。
「目が笑ってないな」とか「これ言ったら傷付くかな?怒るかな?」など人の目を気にしてしまいます。
空気を読むということは生きていく上で必要なことかもしれません。
しかし、空気を読み周りばかり気にしていると自分の心の声がなかなか聞こえなくなるでしょう。
本当はもう限界で疲れていたのかもしれないのに、自分の気持ちは後回しで頑張りすぎてしまうのです。
そうやって一度心が壊れてしまうとなかなか元に戻せなくなってしまいます。
あの子は壊れてしまった自分の心の直し方が分からなくて困っていたのでしょう。
心を癒すために深く深く潜って行ってしまったのかもしれません。
逃げることは悪い事ではない
余計なものがきっと多すぎて
何もないところへ逃げていった
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
ここで歌われている“余計なもの”とはきっと“他人のこと”ではないでしょうか。
ひとつ前で述べたようにあの子は空気をよく読む子で周りの目をたくさん気にしていました。
そして、他人からの期待に応えようとつい頑張りすぎてしまっていたもかもしれません。
「頑張れ」という言葉は励ましでもありますが、頑張る人の休む場所を奪ってしまうことにもなります。
言った方はそんなつもりがなくても、言われた方には凶器の様に言葉が刺さることがあるでしょう。
頑張り過ぎて、手放し方が分からなくなってしまったのかもしれません。
休憩しても良かった、ゆっくりで良かった、抱え込まず他人に分けても良かったのに。
きっと真面目で必死でどうしていいか分からず逃げてしまったのでしょう。
逃げることは必ずしも悪ではありません。
逃げることで自分を守れることもあるでしょう。
それでも僕はあの子にただ生きることを望んでいたのではないでしょうか。
あの子の優しさ
あの子はいつも風になって
僕の頬をそっと撫でるから
冷たい温度が気持ち良くて
あの子を感じるために道を行く
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
僕がしんどい思いをしているときに救ってくれるようなあの子の優しさが伝わる歌詞になっています。
何かを一生懸命頑張る人は、周りの頑張る人のこともよく見えるものです。
辛い思いを経験したり痛みが分かる人ほど人に優しくなれるのと同じことでしょう。
あの子は、自分がした苦しみを他の人に感じて欲しくないと思っているのではないでしょうか。
僕にも行き詰ってしまい少し周りが見えなくなって気持ちが閉じこもってしまいそうになることがあります。
そんなときあの子はふっと風を起こして僕の気持ちを落ち着かせてくれます。
あの子の仕業かな?と気付くと、「頑張らなくていい」と声が聞こえるように感じるのです。
あの子の存在を感じることが出来ると少し休むことが出来て、また前に進んで行けるようになります。
僕は何度もあの子の優しさを実感し救われているのでしょう。
誰もひとりにしたくない
ラブソングラブソングもっと広がれ
あの世とこの世がくっつくくらい
ラブソングラブソングもっとボリュームを
あの子の耳にどうか届くように
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
“ラブソング”は愛がたくさん込められた優しい歌です。
それは何も恋人など愛しい人に向けて歌われるだけのものではありません。
“愛は世界を救う”という夢のような言葉がありますが本当にその通りでしょう。
たくさんの人が愛に包まれれば、世界はもっと優しいものに変わるかもしれません。
もっと自分にも他人にも優しくなれれば、世界の見え方はうんと変わってくるでしょう。
孤独を感じて旅立ってしまったあの子のことがいまも苦しんでいないか心配になります。
あの子に笑っていてほしいから僕は愛を込めて歌うのでしょう。
みんなが優しい気持ちになって愛を歌う、それが連鎖すれば大きな愛になっていきます。
そうやって世界中に愛が溢れたときあの子にもきっと聴こえるだろうと僕は信じているのです。
「1人じゃないよ」という声を届けるために愛を歌いたいと思っているのでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
深いテーマで綴られている言葉を歌う上野さんの声が切なくて涙が零れそうになるでしょう。
YouTubeの【ラブソング】の概要覧に「みんな頑張れ。」という上野さんからのメッセージがあります。
誰でも1人になりたいときはあります。
1人と孤独は全然違って、孤独に耐えられる人は少ないでしょう。
上野さんの言葉は「君は1人じゃないよ」と寄り添ってくれるように感じられます。