灰色で綺麗だった 想いを探してる
足跡消せないから いらだち重ねたけど
空白で素敵だった 想いを探してる
僕だけのRHAPSODYが 手がかりで
出典: 忘却の空/作詞:作曲 清春
色鮮やかで綺麗なものを想像することは容易ですが、“灰色で綺麗”なものはなかなかイメージしにくくもあります。
灰色というと白と黒の中間色。
白も黒もない、曖昧でフラフラしているけれど結果も結論もまだ出ていない想い。
白と黒、好奇心でどちらにも進んだり転んだりもできる、色んな方向を向くことができるそんな想いが綺麗なのではないかと思いました。
消せない足跡とは、これまでの清春が進んできた、残してきた音楽の足跡なのではないでしょうか。
今までとは違う方向を見たいのに、自分への視線はそうではない。
まっさらで、これから何色にも染められる、そんな可能性のあった素敵な想い。
手がかりとなっていますが、自分の音楽だけを信じていたのでしょう。
いつも「繰り返しただけ」と塞いでた
氷が溶けきった後のSTORY 胸に抱いている
出典: 忘却の空/作詞:作曲 清春
“孤独”であったり、音楽に対するであろう“想い”であったりと、環境や人間関係のことを指しているのではないかと推測させます。
それは、何度となく清春の音楽活動ではトラブルに見舞われたことがあったからでしょう。
レコード会社やメンバーをディスってしまったことも。
数を重ねて塞いでしまったようにも思えますね。
しかしガラスが割れるように壊れるのではなく、氷が溶けるように緩やかになだらかに解けていくことを願っていたのでしょう。
聞き取れない“サビ”に隠された意味
美しさを感じさせる空
だからVELVETの空の下 歌う声は聞こえてる
デタラメのDOWNERかわしてる 僕の声が聞こえてる
出典: 忘却の空/作詞:作曲 清春
聞き取れないと話題になった箇所でもあるサビです。
日常的に使われる表現なら文字を見なくても歌声だけで聞き取れるのかもしれませんが、“VELVET”と“空”を結びつける人はあまりいないでしょう。
予測できない珍しい表現なら聞き取ることが難しいわけです。
では“VELVETの空”とはどういった空なのでしょう。
VELVETとは、ドレスなどに使用されるうねる様な光沢があり起毛した高級感のある生地です。
そのVELVETのように波打った空の様な空間なのではないでしょうか。
そんな空を“VELVET”と美しいものに例えるという、これこそ清春の美学でしょう。
深読みしすぎるとキケン!
そして“デタラメのDOWNER”。
DOWNERとは、落ち着いた気分にさせる物であったり出来事とは言われています。
あくまでも表面上、気分を落ち着かせているように見える出来事や気分を“デタラメのDOWNER”と表現したのかもしれません。
しかし、清春は黒夢時代から薬物の表現を使用することがあったので、薬物の意味も絡めている可能性もありますね。
見えてくる、今の“空”
天気のように変化する
冷たい雨が降れば 煙草に火をつけて
少しだけ平気な様子でいよう
生き急いでいたいけれど 忘れてない
虜になった時 決めたSTORY 今日も抱いている
出典: 忘却の空/作詞:作曲 清春
冷たい雨とありますが、先ほどの“波打った空の様な空間”の下で降ってしまった感情も表す意味での雨でしょう。
そんな悪天候の空間の中で、感情も周囲に悟らせないように平然を装って煙草に手を伸ばすのです。
この当時の清春、SADSは生き急いでいたと言っていいほどのスピードで活動していました。
当時の清春自身の感情を反映しているのならば、音楽の虜になり、夢に向かって走ろうと決めた時の気持ちをこの頃も抱いていたのではないでしょうか。
さらに明確になっていく“空”の意味
だからVELVETの空の下 歌う声は聞こえてる
デタラメのDOWNERかわしてる 僕の声は聞こえてる
から回るVELVETの空で きっと声は聞こえてる
鮮やかで悲しいこの空で 僕の声が聞こえているから
出典: 忘却の空/作詞:作曲 清春
先ほどと同じサビの部分は割愛させていただきます。
“VELVETの空”がここではから回っているので、やはり空とは自分が置かれているその環境なのではないでしょうか。
アーティストとして華やかに活動しているようで、内側では悲しかったり雨が降ってしまったり。
そんな空でも自分の叫びはみんなに、メンバーに、そして自分にも聞こえている。
そう言い聞かせているように感じさせます。