Cocco「樹海の糸」
1999年4月リリースのシングル
「樹海の糸」は、1999年4月にCoccoのメジャー5枚目のシングルとして発売された曲です。
変則的なリズムとキャッチーで綺麗なメロディが印象的なこの曲は、意味深な歌詞で話題になりました。様々な解釈ができるこの曲の歌詞を聴いていると、胸が締めつけられるような切なさを感じられます。
オリコン週間チャートでは3位と、Coccoにとってシングル最高順位を記録した曲です。彼女のシングルで最大の売上枚数を誇るのは代表曲でもある「強く儚い者たち」ですが、この「樹海の糸」は売上枚数でもそれに次ぐヒット曲となっています。
発売から17年後にドラマタイアップを獲得
ドラマ「運命に、似た恋」主題歌
「樹海の糸」は1999年の作品ですが、発売から実に17年が経った2016年にドラマ「運命に、似た恋」の主題歌として起用されました。
このドラマはシングルマザーの女性と若手人気デザイナーの男性が、立場も年齢も越えた恋に落ちる物語を描いています。
作者は北川悦吏子さん。様々な人気ドラマの脚本を手がけ、「ラブストーリーの神様」とも呼ばれるベテラン脚本家です。
「運命に、似た恋」でも甘く純粋ながら様々な事情に阻まれる切ない大人の恋が描かれ、女性を中心に多くの共感・反響を呼びました。
「樹海の糸」のMVは?

「樹海の糸」のMVは、一切の演出を排して曲の良さとCoccoの描く表現を映し出す徹底的にシンプルな作りとなっています。
モノクロの映像が曲の切なさ・儚さを表し、その中心で静かにたたずんで歌うCoccoが印象的に映ります。
ミドルテンポの落ち着いた曲調の「樹海の糸」ですが、おだやかなメロディにも繊細な緩急がついて聴く人の感情を巧みに揺さぶります。
そんなCoccoの表現力が、彼女の小さな仕草や豊かな表情も映し出されることでより鮮明になって、曲の響きをより印象強くしています。
「樹海の糸」の歌詞を紐解く
締めつけるような切なさが漂う歌い出し
悩める胸に あなたが触れて
雨は 終わると想った
だけど誓いは あまりに強く
いつか 張り詰めるばかり
糸が絡まりながら ただれゆくように
出典: http://j-lyric.net/artist/a04a856/l0006a0.html
「樹海の糸」の歌詞には様々な解釈がありますが、多くの解釈の中でもこの曲が「別れを歌っている」という点は一致しています。
歌い出しの歌詞から独特の表現を見せて意味深な言葉が並んでいますが、たとえ全ての意味が正確には分からなくても聴いていると胸を締めつけられるような切なさが感じられます。
報われなかった恋を描く歌い出しは、これから歌われる悲しい別れを予感させます。
別れを匂わせる言葉
永遠を願うなら
一度だけ抱きしめて
その手から 離せばいい
わたしさえ いなければ
その夢を 守れるわ
溢れ出る憎しみを 織りあげ
わたしを奏でればいい
出典: http://j-lyric.net/artist/a04a856/l0006a0.html
この曲は別れの曲として知られていますが、「さようなら」のような直接の別れの言葉は一度も出てきません。
しかし「その手から 離せばいい」「わたしさえ いなければ」といった言葉の数々は、諦めたように愛した相手を突き放す曲の主人公の想いを描いています。
言葉の選び方から察するに、ここで描かれている別れはおだやかなものではなかったのでしょう。きっと、それぞれが前進して生きていくためにお互いボロボロになりながら別れたような、傷跡の残る辛いものだったのではないでしょうか。