倉木麻衣 「渡月橋 ~君 想ふ~」

倉木麻衣41枚目にあたるこの曲は劇場版「名探偵コナン から紅の恋歌」主題歌として書き下ろした楽曲

江戸川コナンが目の前に立ちはだかる事件を解決していく物語「名探偵コナン」。

同時に、自分を小さくさせた人たちの正体と体を元に戻す手がかりを集め真相に迫っていく物語でもあります。

江戸川コナンの幼馴染には毛利蘭。

蘭はコナンが、すぐそばにいることを知らずに、会いたいのに会えないと毎日工藤新一を想っている。

今回の曲は、そんな蘭が新一を想う気持ちを歌詞に反映させた曲です。

目の前の情景に自分の想いを重ねる

止まった時間

寄り添う二人に 君がオーバーラップ
色なき風に 思い馳せて
触れた手の温もり 今も…
Stop 時間を止めて

そう いつの日だって
君の言葉 忘れないの

出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga

愛しい人を思う気持ちがにじみ出ています。

オーバーラップとは、映像編集技術の一つ。

最初に映し出していた映像を徐々に消していきながら、次の映像を重ねるように映し出していく方法です。

ここの歌詞では、知らない恋人二人が寄り添う様子に、自分と好きな人を重ねたのでしょう。

もしかしたら、異性の恋人の方が、好きな人の雰囲気に似ていたのかもしれません。

特に素敵な表現は、「色なき風に 思い馳せて」。

色がない風という表現は文学的であり、また 詩的でもあります。

本来、恋人同士を包み込む風は何色をイメージするでしょうか。

ピンクや黄色など、明るい色をイメージすることが多いように思います。

しかし、この歌詞では「色なき風」。

恋人の姿を思い出しても、うれしさやわくわくするような気持ちがないようです。

愛しい人を思う「切なくて もどかしい」心はどうやったら癒されるのでしょうか。

そして、「触れた手の温もり 今も…」と、心に残っている愛しい人の感触を抱きしめているようす。

Stop 時間を止めて」と、この今の時に浸っていたい気持ちが表れているでしょう。

やっと思い出せた手の温もりを、時間を止めてまでずっと浸っていたい。

そうじゃないとすぐにまた、思い出せなくなってしまう。

二人はそれだけ長く会ったり触れたりという行為をしていないのです。

愛しく 切ない気持ち

会いたい時に 会えない
会いたい時に 会えない
切なくて もどかしい 

から紅に染まる渡月橋
導かれる日 願って
川の流れに祈りを込めて
I've been thinking about you
I've been thinking about you
いつも こころ 君のそば

出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga

「会いたい時に 会えない」と「I've been thinking about you」。

それぞれ二回ずつ繰り返され、呼応しています。

会いたいときに会えず、いつだってあなたのことを想っている。

なかなか会えない好きな人への、とても切ない思いが伝わってきます。

もどかしさの中にいる乙女心を、渡月橋から見下ろした川の流れに乗せて願う。

川の流れに導かれるように、あの人とのをつなげてほしいと願っています。

そして、直接は会えないけれど、せめてだけは常に好きな人のすぐそばにいたい。

だからずっと好きな人のことばかり考えている、と伝えたいのです。

目の前にある情景に、自分の気持ちを重ねた歌詞でしょう。

日本的情緒のあるラブソングというのは、中々、面白い発想。

この曲が主題歌になっている映画、『名探偵コナン から紅の恋歌』はどんな内容なのでしょうか、気になります。

季節が巡っても会えない二人

古(いにしえ)の色彩

倉木麻衣 「渡月橋 ~君 想ふ~」の歌詞を考えてみた。コナンの映画主題歌としても有名!の画像

いにしえの景色 変わりなく
今 この瞳に映し出す
彩りゆく 季節越えて
Stock 覚えていますか?

出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga

ここの歌詞で印象的なのは、「変わりなく」と「彩りゆく」の二語。

対照的な言葉が呼応するように含まれています。

変わらないのは、古くからずっとある景色。

つまり渡月橋やその後ろにある

これらの景色は何も変わっていません。

その景色の中で変わっていくのは、季節

春夏秋冬の季節はどんどん巡っていくと伝えたいのでしょう。

ここの歌詞は、主人公のどのような気持ちを表現しているのでしょうか。

変わらないのは、最後に好きな人に会った記憶。

変わっていくのは、歌詞そのままに季節でしょう。

つまり、山と渡月橋がある変わらない景色と移り変わる季節に、自分と好きな人を重ねているのです。

好きな人にいつも問いかけている

ねぇ いつになったら
また 巡り会えるのかな

出典: 渡月橋 ~君 想ふ~/作詞:Mai Kuraki 作曲:Akihito Tokunaga