暗く沈んだ主人公の毎日
後にも先にもどうしようもない

最初からもう間に合わない場所に居たんだ
遠い日の模様 褪せるまではここで待っている
出典: 宇宙の季節/作詞:ぬゆり 作曲:ぬゆり
主人公が立っていたのは、もう決して後戻りすることはできない無情な世界でした。
何でもできる可能性に溢れた世界のように見えて、実はできることが限られている主人公の毎日。
そんなやりきれない日々の中で、どこかに救いを求めていたのです。
それは、気がつけば随分と前のことからだったようにも思えます。
知らず知らずのうちに悲鳴を上げていた心に、今になってようやく気がつくことができた……。
しかし、時は既に遅し。
後ろを振り向いても、これまでの人生が変わることはありません。
辛く悲しい思い出を抱えたまま、それが少しでも心から消えてくれるよう祈ることしかできない主人公。
後ろにも、そして前にも進めないこの場所で、ただ誰かのぬくもりを待ち続けているのです。
辛い日々の中で求める「救い」
寝息や鼓動 汗や熱が背中に伝う
思わず息を飲んでしまう 空気が止まる
出典: 宇宙の季節/作詞:ぬゆり 作曲:ぬゆり
「その日」は、まるでいきなりその場に現れたかのように突然やってきました。
ある晩、自分の身体が自分のものではないように、全ての感覚が研ぎ澄まされるのを感じた主人公。
それもそのはず、目の前に広がっていたのは、主人公の心を表すかのような美しく悲しげな風景だったのです。
見慣れたはずの景色が、いつの間にか美しいものへと変わっていたこの日。
助けを求めていた主人公の元に、新たな希望が降り立った瞬間でもありました。
今まで見たことのない美しさに、言葉を失ってしまう主人公。
そして、その景色を眺めていたのが自分1人ではなかったことに気がつきます。
同じように口をぽかんと開けて、宇宙のように幻想的な風景に見とれる君の姿。
そんな君の笑顔こそが、主人公が辛い日々の中で求めていた「救い」だったのです。
繰り返す季節に思うこと
声に出すべきじゃない 思い出してはいけない
繰り返す季節 別々の匂いを一人きり置き去りに
出典: 宇宙の季節/作詞:ぬゆり 作曲:ぬゆり
同じ思いを抱え、同じように誰かのぬくもりを求めてきた2人。
そんな2人が出会い、心を通わせるのに長い時間は必要ありませんでした。
気持ちがたかぶる春も、どこか切なさを感じさせる秋も、数え切れないほど過ごしてきたはず。
これからは2人でいる限り、気持ちが沈む季節を味わうことはなくなるでしょう。
この奇跡的な出会いに感謝しながらも、どこかであの忌まわしい過去を思い出してしまう主人公。
しかしそれらはもう、記憶の底へと追いやってしまうべきなのです。
もう、1人きりで過ごしていたあの頃が再び顔を出すことはありません。
これからは心を許し合った者同士、支え合って生きていけばいいのです。
この先で繰り返すそれぞれの季節は、どれも経験したことがないほどの素晴らしいものになるはずです。
ここではない何処かへ
春が来て裸足になってしまいたい僕ら
砕けそうなほど手を握り
夜がまた日差しになって町並みを襲う
ここじゃない何処かへ逃げたいだけ
出典: 宇宙の季節/作詞:ぬゆり 作曲:ぬゆり
桜の花びらが舞い上がり、2人の門出を祝っているかのようにも見えます。
ピンク色のカーペットが敷かれた道の上で、思わず靴を脱いで走り出したくなってしまいます。
それは、今までのしがらみから解き放たれ、足を引っ張るものなど何もないかのよう。
主人公の心が解放された瞬間でもありました。
それでも、お互いのことだけは失くさないようしっかりと繋ぎ止めている2人。
この場所にいられるのも、明日を待ち遠しく思えるのも、隣にいる君の存在があるからこそです。
儚く消えてしまいそうな景色の中では、君の姿でさえもぼんやりと滲んでしまうようで……。
手のぬくもりを確かめながら、「これは夢じゃない」と自分に言い聞かせたくなります。
夢のような時間は、朝が来れば終わりを迎えます。
そうすればまた夜が来るまで、主人公は孤独を感じながら生きていかなければなりません。
もう、こんな毎日を過ごすのは嫌だ……。
そう思っても、当たり前の毎日から抜け出すことは難しいもの。
苦労を抱えて生きる全ての人が、辛い日々を抜け出す勇気を求めているのです。