無我夢中でステージ立って記憶ない
散々だった最高だったラストライブ
泣いて笑って本気だった
出典: 涙の味、苦い味/作詞:ノマアキコ 作曲:ユウ(チリヌルオワカ)
このパートの歌詞は、のんの学生時代の経験そのままだそうです。
彼女が組んでいたバンドの最後のライブで、思いもかけないアンコールが。
ところが全力を出し切った後で余力がなかったことから、情けないことに歌もギターもボロボロ。
これがのんにとって最初の「涙の味、苦い味」だったのではないでしょうか。
涙の味が苦いのは、思い出すと心が痛むからです。
それでも楽しかったバンド活動を締めくくる、忘れられないエピソードになったでしょう。
ライブが終わった後にバンド仲間とマックかどこかへ行って、笑いと涙の反省会をやったのかもしれません。
そんな思い出も彼女の青春の大切な1ページになっているはずです。
キラキラとモヤモヤ・情熱と落胆・成功と失敗、そして音楽と仲間。
のんの気持ちを、歌詞を書いたノマアキコがうまく汲み取っているのだと思います。
しくじりなんて乗り越えろ!
のんの昔と今が重なっている?
消えたくなるような しくじりも
愛すべき キラキラ
わたしはもう 無敵なの
涙の味、苦い味
知ってるから 今は
出典: 涙の味、苦い味/作詞:ノマアキコ 作曲:ユウ(チリヌルオワカ)
失敗をするのは、バンド活動だけとは限りません。
むしろ何事も成功することのほうが難しいくらいです。
学校でも会社でも家庭でも、小さな失敗をたくさんしでかすのが人生というものでしょう。
だけど心配は無用、下を向いてはいけません。
何度でもやり直すことが可能なのです。
失敗して落ち込んでいる自分を客観的に見ることができるようになれば、もう大丈夫。
ああ、またこいつやらかしたな。
そんなふうに思える余裕が欲しいですね。
大事なラストライブの最後の最後で苦い経験をしたのんは、ひと回り大きく強くなったようです。
『あまちゃん』で全国的に知られるようになったにもかかわらず、その後の移籍騒動が大きく報じられたのん。
大事な芸名も変えることになって、きっと楽しいことばかりではなかったはずです。
それでも女優やミュージシャンとして自分らしく活動を続ける彼女には、めげない逞しさも感じます。
若さと青春の勢いで走って転んで、立ち上がってまた走る。
卒業して新しい道を走り始めて躓いて、もう一度走り始める。
このパートの歌詞には、のんの学生時代と現在の姿が重なっているような気がします。
夢に向かって突っ走れ!
彼女の原動力になったものとは?
大丈夫 真っ直ぐ歩けばいい
心の景色を そのまま
今の自分が見つめてる
あの子の目はキラキラ
今も自分を動かすよ
涙の味が
出典: 涙の味、苦い味/作詞:ノマアキコ 作曲:ユウ(チリヌルオワカ)
ここでは少し心に余裕が出てきたようです。
悩んでいた自分を冷静に振り返ることができるようになったのでしょう。
思い出したくない失敗の前には、目を輝かせて突っ走っていた自分がいたはずです。
突っ走った先に失敗があったのなら、それも受け入れるべきだ。
何も恐れることはない。
胸の中にある気持ちを大切に、夢を忘れずにいよう。
最初の2行の歌詞は、そういうことだと思います。
下の段では少し大人になった彼女が、「あの頃の私」を振り返っています。
純粋に好きなことを楽しんでいた、キラキラした瞳の女の子。
瞳に宿ったその光は、まさに青春そのものです。
ちょっとしたことでも傷ついてしまうけれど、その心から瑞々しさが失われることはありません。
仲間とバンドを組んで、ギターを弾いて歌うことの気持ち良さ。
音楽を愛する心が、彼女を走らせる原動力だったのです。
ギターを持ったのんが生き生きとして見えるのは、青春時代のワクワク感を忘れていないからだと思います。
若さを肯定する青春への賛歌!
後悔は微塵もない?
消えたくなるような しくじりも
愛すべき キラキラ
わたしはもう 無敵なの
涙の味、苦い味
知ってるから
知ってるから 今は
出典: 涙の味、苦い味/作詞:ノマアキコ 作曲:ユウ(チリヌルオワカ)
仲間とバンドを組んで色々なことを経験した。
音楽は私の青春そのもの。
好きなことをやっていれば、自分らしくいられる。
辛いことや苦しいこともあったけれど、その先にはもっと楽しいことがある。
失敗や挫折を知らない人生なんてつまらない。
輝く瞳が見つめるのは、なりたい自分。
堂々と“無敵”と言ってのける若さは、眩しく輝いています。
のんが振り返る青春時代に、後悔は微塵もありません。
彼女を突き動かしてきたのは、アンプから飛び出してくるギターの音です。
純粋に打ち込めるものに出会えたのんは、幸せだったのでしょう。
音楽を通して自分を解放したその先には、モデルや女優という華やかな世界が待っていました。
だけどプロの世界は、甘くはありません。
仕事をしていく中で、壁にぶつかることが何度もあったはずです。
それでも彼女は前へと進みます。
辛いことがあっても大丈夫。
あなたが経験したすべてのことは、明るい未来に通じているから。
最後のパートの歌詞には、のんのポジティブなメッセージが込められているように思います。
「涙の味、苦い味」は、若さを肯定する青春への賛歌なのです。