音楽が始まると、カフェでくつろいでいたはずの女性は別の空間へワープします。
そこはポルノグラフィティの2人が「Zombies~」を演奏するステージ。
ともに音楽を奏でるバンドメンバーやダンサーはゾンビメイクを施されています。
派手な色彩が飛び交う近未来のSFっぽい空間。
サイバーパンク映画に登場しそうなシーンですが、撮影されたのは船の中だとか。
メイキング映像
こちらのメイキング映像を見ると、使われた船をはじめ、こだわりの撮影風景が確認できます。
主人公の女性を演じたのはViVi専属モデルの立花恵理さん。
ゾンビ混じりのポルノグラフィティのライブ演奏に最初は驚いた表情を浮かべていました。
でも次第に笑顔になり、最後は踊り出します。
ウォークマンで聴くサウンドはまるでライブ演奏を体感するかのごとく臨場感がある!
そのイメージが表現されたMVでした。
ただやっぱりMVを見ただけでは「なぜゾンビ?」という点はわからないかもしれません。
ゾンビは何を象徴しているの?
ポルノグラフィティの「Zombies are standing out」という曲でゾンビが象徴しているもの。
その答えは公式サイトで明らかにされています。
「Zombies are standing out」では、今やポップカルチャーの代表的なアイコンである「Zombie」を喪失感や諦念に抗い、何度でも立ち上がる象徴として用いており、その「Zombie」の持つ世界観を骨太なロックサウンドに乗せたナンバーとなっています!!
出典: http://sp.pornograffitti.jp/info/2018/09/25/配信限定シングル「zombies-are-standing-out」リリース/
そもそもゾンビとは蘇った死体、生き返った死体のこと。
アフリカの民間信仰ブードゥー教にルーツがあると考えられていますが、想像上の存在です。
ただマイケル・ジャクソンの「スリラー」など音楽にも映画にもよく登場しますよね。
ざっくりいうとオバケということになりますから、ホラー映画みたいに怖い話になりがち。
でも「Zombies~」では「死んでも生き返るような不屈の精神」がクローズアップ。
失うことやあきらめざるを得ないことばかりだとしても、何度でも立ち上がろう!
まるでゾンビのように……という意味が込められています。
不屈のウォークマン
そういえばソニーのウォークマンこそがゾンビのように何度も復活する存在なのかもしれません。
1979年に発売され、一世を風靡した携帯音楽プレーヤーです。
今のスマホ並みに誰もが持っていた(といっても過言ではない)時代もありました。
時代の流れに伴い、生産が終了した機種もたくさんあります。
でも何度でも立ち上がって、現在のA50シリーズにつながるというわけですね。
さらにいうとポルノグラフィティ20年の歴史に重ね合わせることもできそうです。
こう考えると、ゾンビなのに怖いというより感動して泣けてくる……のは私だけでしょうか。
歌詞を確認してみよう
ゾンビとは現実に打ちのめされた人間のこと
Zombies are crying out
荒みきった Crazy town
現実という名のBulletに撃ち抜かれた
Zombies are crying out
蠢いている My head
何を探し彷徨っているの?
出典: Zombies are standing out/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁
ゾンビが叫んでいる!という出だし。
ただこのゾンビは幽霊みたいな得体の知れない存在ではなく、私たち人間のことでしょう。
現実に打ちのめされた人間がまるでゾンビみたいに叫び回ることで、街は荒れた状態。
いったい何を求めてさまよっているの?と疑問を提示されたわけです。
ポルノグラフィティ節
赤く爛れた繊細な器官
感情を喪失した焦点の合わない目
この街をべったりと覆いつくす
無感覚と無関心が混じる大気汚染
出典: Zombies are standing out/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁
「どうして私たち人間のことをゾンビみたいだと表現しているの?」という答えがこちら。
ストレスを感じることが多すぎると、人間は防衛本能のように感情を失うことがあります。
希望に満ちあふれた時は目ヂカラもアップするでしょうが、逆だと目もうつろになるでしょう。
人間の傷つきやすく敏感になった状態がまるでゾンビみたいというわけです。
「無感覚」や「無関心」といった実体のないものが充満して「大気汚染」になるという表現。
まさにポルノグラフィティ節ともいえるおもしろい言葉のチョイスです。