「ツユ」が描く優等生の真実

ツユが2020年2月に発売したアルバムやっぱり雨は降るんだね」収録曲の【ナミカレ】を紹介します。

「思春期あるある」が満載の本楽曲

いままさに悩んでいる世代にも、そんな時期を乗り越えた世代にも鋭く刺さるでしょう。

きっと皆さんの近くにも、何事もそつなくこなせる器用な優等生が1人くらいはいたのではないでしょうか。

【ナミカレ】で綴られているのは、そんな優等生の心の内側です。

順風満帆に見える優等生の人生。しかし優等生自身はそんな人生に違和感を覚えていました。

お先真っ暗な人生
最早、どうでもいいや

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

彼に一体何があったのでしょうか。

こんなにも投げやりな理由、そして歌詞中に登場する「目隠し」の意味にも迫っていきます。

優等生の悩み

先が見えない人生

夢とかどうやったら見つかるの?
教えてよ ちゃんと良い子にしたじゃん
学校は皆勤賞 部活も頑張った
テストの点も悪くはなかったはずだけど
目隠しがキツくて外れない

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

主人公はこれまで、とてつもなく真面目に生きてきたのでしょう。

学生としてやるべきことをきちんとこなし、そこに対して何の疑問も抱かない生活だったのです。

さて突然ですが、中盤に登場する歌詞をあえてここでご紹介しましょう。

特に不自由のない日々を送らせてもらった
だからさ 信じて疑う余地もなかった

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

主人公は家庭環境も良好でした。むしろかなり恵まれていたといえそうです。

家庭環境を理由に悩んだことも、何かを諦めたことも、これまで一切なかったのでしょう。

望んだものが手に入る豊かな生活を送ってきたに違いありません。

それは例えばオモチャのような物理的なものに限らず、優等生というラベルもそうでしょう。

つまり欲しいものは必ず手に入れてきたわけで、おそらく彼は失敗を知りません

そんな彼だからこそ、将来の夢の見つけ方さえ分からずに苦しんでいるというわけですね。

むしろ日々真面目に生きていれば誰かが与えてくれるものだと勘違いしていたのかもしれません。

目隠しとは

ツユ【ナミカレ】歌詞の意味を徹底解釈!人生がどうでもいいのはなぜ?目隠しが象徴するものの正体に迫る!の画像

ここでさっそく「目隠し」という言葉が登場しました。

目隠しのせいで見えなくなっているのは、この先主人公が進むべき未来抱くべき夢です。

しかし現在、それらは全く見えていません。

つまり目隠しが未来を見据え、夢を抱くことを妨げているというわけですね。

先程の歌詞から考えれば、それらを妨げているのは彼がこれまで積み上げてきた価値観そのものでしょう。

彼は非常に合理的な性格に違いありません。それが、これまで真面目に生きてきて獲得した性格です。

しかしその考え方は時に、自由な発想を邪魔してしまいます。そう、これがまさに「目隠し」なのです。

歌詞でも「キツい」といっていますから、この価値観・性格で彼の思考は相当固められているのでしょう。

劣等生に見下される悔しさ

がむしゃらな態度で僕を見下さないで
ムカつくんだ
追いかけてる姿が眩しくて
社会の最底辺でこのまま朽ちてゆく
漠然としたまま過ぎ去ってしまうわ
涙すら枯れてしまった

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

世の中には主人公のような優等生もいれば、もちろん対照的な人もいます。

表現は良くありませんが、いわば劣等生です。

そんな劣等生たちの特徴はなんといっても、優等生にはない自由な発想力を持っていることではないでしょうか。

やりたい!と感じたことに飛び込み、そこに対して懸命に努力できる。主人公はその姿に羨望を抱いています。

きっと夢を追う劣等生たちにそんな意識はないのでしょうが、主人公にはその姿が眩しすぎたのでしょう。

1行目にある通り、彼らに嫉妬しているようです。

嫉妬しつつもどうしていいかわからない、そんな主人公は考える気力さえ失っていました。

最後の行ですが、楽曲タイトルはここからきていると考えられます。

「ナミ」ダ(涙)が「カレ」タ(枯れた)から【ナミカレ】です。

優等生の屈辱