他人のままで 別れたら
よかったものを もうおそい

出典: 池袋の夜/作詞:吉川静夫 作曲:渡久地政信

主人公の恋心は、相当深いところまでいってしまったようですね。

もう自分の想いは行き着くところまで行ってしまった。

こんなに好きになるんじゃなかった、と後悔しているのではないでしょうか。

なぜなら、主人公は今悲しみに沈んでいるからです。

幸せになれない恋愛をするのは、とても辛いですね。

一体、どうすれば幸せになれたのでしょうか。

自分からどっぷりハマらずに済む恋愛がよかったのかもしれません。

自分よりも、相手の恋心の熱量の方が大きい恋愛の方が幸せになれたのでしょうか。

主人公がこんなに気持ちを振り回されている様子をみると「相手を変えたほうがいいのでは?」

とアドバイスしたくなる人もいるのではないでしょうか。

いつまでも

美久仁小路の 灯りのように
待ちますわ 待ちますわ
さようならなんて
言われない 夜の池袋

出典: 池袋の夜/作詞:吉川静夫 作曲:渡久地政信

美久仁小路は、池袋で最も古い横丁といっても過言ではありません。

いまでも昭和の雰囲気を讃えた、味のある商店街が素敵です。

この商店街は、池袋の中でどのような位置づけなのでしょうか。

それを考えるために、歴史を振り返ってみたいと思います。

池袋には、戦後に闇市というバラックでできた屋台村のような市場がありました。

その規模は大変大きなもので、人々は生活物資を調達する貴重な場だったのです。

闇市は正規の商店街ではなく戦後のドサクサから始り、怪しいお店もたくさんあったことでしょう。

時がたち、この闇市が閉鎖され商店が移転して形成されたのが美久仁小路なのでした。

最新のデートスポットというよりは、戦後の雰囲気が残る味のある飲み屋街。

繁華街から路地に続いている、レトロな赤提灯のように、主人公は想い人を待ち続けたいのです。

とても健気な女性なのではないでしょうか。

諦める

幸せのその向こう

にげてしまった 幸福は
しょせん女の 身につかぬ

出典: 池袋の夜/作詞:吉川静夫 作曲:渡久地政信

複雑な意味合いのフレーズですね。

主人公は、愛する人と別れてしまったのかもしれません。

逃げてしまった、と過去形になっているからです。

夜の街を一人で飲み歩く主人公は、やぶれかぶれな印象がします。

ここまで、人を好きになれるのはとても情熱的な人なのでしょう。

それ故に、恋愛にのめり込みすぎたのかもしれません。

恋に生きる主人公の姿が浮かんできます。

見方を変えると、ここまで悲しめるのも恋の醍醐味なのではないでしょうか。

思い出す

お酒で忘れる 人生横丁
いつまでも いつまでも
どうせ気まぐれ 東京の夜の池袋

出典: 池袋の夜/作詞:吉川静夫 作曲:渡久地政信

人生横丁とは、美久仁小路のことではないでしょうか。

主人公は、ずっとお店でお酒を飲み続けているのです。

報われない恋愛は、お酒で流していきましょう。

昔から、盛り場として多くの人がうさを晴らしてきた池袋の街。

ここにいれば、虚しさも薄まってくれるのではないでしょうか。

主人公を気にする人は、ほとんどいないのだと思います。

きっとみんな、それぞれの境遇で生き、忘れるためにお酒を飲みにきているのではないでしょうか。

だから、独りで傷を癒している人には、敢えて絡まない作法もあるのかもしれません。

やけになって飲みすぎて、泥棒などに会わないといいですね。

でも、落ちるところまで落ちたら、後は上がるだけ。

また元気になってができる日がくることを願います!

おわりに

とことん暗くなれる人は、とてもパワフルな人だと思うのです。

この歌が流行した当時の日本には、このような力強く生きる人々がたくさんいたのでしょう。

愛する時は精一杯愛し、ダメになったら大いに悲しむ。

打算のない純粋さが感じられるのではないでしょうか。

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