道に迷う猫が差し出す手
僕のポケットには何もないです
願いをひとつだけ叶えてあげる
カタコトで唱える呪いで
出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T
困っている人を「助けたい」と思えることは素敵なことです。
たとえ知り合いではなくても、自分が以前助けられた人ではなくても、何とかして救いたい……。
そう決意する主人公の姿は、紛れもなく以前よりも成長していることでしょう。
直接助けられるツールは持っていないし、問題を解決できるだけの知識も経験もない。
それでも手を差し伸べてくれる人が1人いるだけで、世界は輝いて見えるのです。
太陽のように、神様のように多くのものは与えられないけれど……。
主人公お得意の「魔法」が、役に立つ時が来たのです。
人と人との関わりの難しさ
たった1回の過ちが
もうこれで何回目
触れた分だけ吸い取られてく
取り消しのない一撃は
隕石に匹敵しちゃう刺激
出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T
なかったことにすることができない……これはネット上に飛び交う誹謗中傷を指しています。
その場の気持ちだけで書き込み、後になって後悔しても時すでに遅し。
コメントが消されることもなければ、コメントを見た人々の記憶から消えることもありません。
何度も何度も同じ経験を繰り返し、傷つけられた分だけ誰かを傷つけてきた主人公。
誰かを攻撃しているように見えて、同じだけ自分の心がすり減っていることに気がつかないままでいるのです。
なければ困るツールには変わりないけれど、少し間違えば誰かの人生を狂わせることになる……。
その恐ろしさを理解しないままに、ネット社会に埋もれている人々が果たして何人いるでしょうか。
あってないようなルールの中で
おさがりのローブを身にまとう
きっと誤作動で逃げまどう
分厚い説明書に記された
-用法容量を守って使いなさい-
出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T
何気なく放ったひと言が、大勢を巻き込む大事になってしまった時……。
見慣れた部屋の中で布団にくるまり、「これは何かの間違いだ」といいたくなります。
あの文章を打ったのは、きっと自分ではない、機械の故障か何かかもしれない……。
これまでにない速度で頭がフル回転し、自分を守るための言い訳を探し始めるのです。
多くの人が、事が起きてからその重大さに気がつくもの。
こうならないように用意されたルールも、目を通している人は少ないのです。
人と関わることの難しさは、「こうしなさい」「これはしてはいけない」といったルールが明確ではないこと。
相手の気持ちになって考えることがどれだけ大切かは、身をもって知らなければ理解することはできません。
顔も見えないネット上の相手だからこそ、余計に想像力をかき立てて接するべきである。
そのことに気づかないままでは、いつか孤立してしまうことが目に見えています。
自分のせいじゃない、と言い聞かせて
噂のマントにくるまる
気づかぬうちに世界を揺るがす
呪いを間違うはずがないよ
きっと握った杖が悪いんだ。
出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T
取り返しのつかないことをしてしまった時、人は何かに責任をなすりつけようとします。
自分の周りで起きた事ならばまだしも、知らぬうちに世界中で話題となるような事に発展してしまったら……。
もはやなんと言い訳をしようと、彼を守ってくれる人はいなくなるでしょう。
まるで感情など失ってしまったかのように、静かに、落ち着いた声で歌われる歌詞。
たった1つの間違いで、自分自身の人生がガラリと変わってしまう可能性すらあるのです。
顔も知らないあなたへ向けて
あなたを笑わせるには
主人公の生きる世界では、多くの人が魔法を使うことができます。
それと同じように、多くの人がスマートフォンやPCを使い、ネットの世界にログインできる現代社会。
そんな中で誰かを笑顔にしたいと思うのならば、まずは周りの人のことを真摯に考える必要があるでしょう。
自分さえよければそれでいい、あの子が笑っていればそれでいいといった考えはいさかいの元。
顔が見えないからこそ、声でニュアンスが伝わらないからこそ、ひと言ひと言に気をつけなければならないのです。
しかし、顔も知らない誰かだからこそ、時には世間の代表として誰かを愛することができます。
人間関係に恵まれない人にとっての「救い」となることだってできるかもしれません。
せっかく生きるのならば、誰も悲しまない平和な世界の中で生きたい……。
それにはまず、誰かに寄り添い、心を開くことから始めましょう。
無機質なやり取りの中に、相手の「体温」を感じることができたら……。
それはもう、素敵な出会いといっても過言ではありません。