自分が良ければそれでいい

魔法が使えるけれど

むかしむかしある所に
それはそれはとても不器用な
魔法使いの少年がいたらしい…

出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T

「カタコト」の世界観は、魔法の出てくるようなファンタジー溢れるものに感じられます。

少年は誰かの為に、そして自分の為に上手く魔法を使うことができません。

時に関係ない魔法をかけたり、時に真逆の魔法をかけたりと失敗ばかりの主人公。

せっかく自分に秘められたポテンシャルを、存分に発揮することができずにいたのです。

周りと比べて自分の情けなさに辟易し、なかなか希望が持てない状態が続きます。

それは少年にとっては一大事でも、周りにとってはありふれた「昔話」でしかありません。

周りなんて関係ない

魔法の使い方もわからず
呪いの言葉をまき散らす
僕が良ければこれでいいのって
神様も悩ました

出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T

正しい使い方も知らないままに、ただひたすらに「呪い(まじない)」をかけ続ける主人公。

周りの人間にどんな影響が及ぼうとも関係ないとでもいいたげな姿に、神様でさえも頭を抱えてしまいます。

周りを信じ、自分を信じることができない主人公にとって、魔法はただの「ツール」。

どうせ何をやっても上手くいかない自分ならば、何をやってもきっと同じことだろう……。

荒れた生活を続ける主人公は、悲しみと切なさに溢れた表情をしています。

呪いではつかめない心

sloppy dim【カタコト】歌詞を考察!あなたを笑わせるには?不器用な魔法使いが唱えることに迫るの画像

現在ゼンマイ全回転頭の中フル回転
どう考えても絶対ね呪いでは無理だって
やっぱりあなたを笑わせる方法は 妄想さ
抱きしめることだけね。

出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T

しかし、やりたい放題だった主人公に「運命」ともいえる出会いが訪れます。

どんなことでも叶えられる魔法でも、大切なあの子の笑顔だけは作ることができませんでした。

強力なものであるはずの魔法でも叶わないのは、そこに「心」がなかったから

少年自身の想いの強さが、誰かを笑顔にすることができるのです。

それはいわば主人公にしか使うことのできない「魔法」のようなもの。

人と人とが通じ合うためにもっとも重要な呪いなのです。

これは、スマートフォンでのやり取りが一般的になった現代社会にも当てはまること。

無機質な文字でどれだけ相手を慰めようと、たった1度の抱擁に叶うはずがありません

触れた手から伝わる体温が、気持ちをまっすぐに、そして想っている以上に伝えてくれるのです。

自分の力をプラスに使って

1人で泣いているあの子に出来ることは

sloppy dim【カタコト】歌詞を考察!あなたを笑わせるには?不器用な魔法使いが唱えることに迫るの画像

見知らぬ子がひとりまた泣いてる
お天道様も無視マジないね
笑わせてあげるふざけないで
カタコトで唱える呪いで

出典: カタコト/作詞:ove・syun 作曲:COLDE$T

ふと辺りを見渡せば、喜んでいる人もいれば悲しんでいる人もいるのに気がつかされます。

誰もが自分のことでいっぱいいっぱいになっているこの世界で、他人のことを気遣う余裕はありません

そんな涙を無情に照らす太陽も、どこかで見ているはずの神様も、涙を拭ってくれることはないのです。

今まで投げやりに過ごしてきた主人公は、生まれて初めて誰かの為に動くことを決意します。

初めて踏み出す1歩は、頼りないものかもしれません。

しかしその子にとって主人公は、間違いなく救世主のように見えるでしょう。

誰かを助ける時に大切なのは、問題を解決できる力だけではありません。

その気持ちにどれだけ寄り添ってあげられるかが、人の心を救う唯一の方法なのです。

「魔法」が役に立つ瞬間

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