工場の内部や船の中を思わせる映像が出てきます。
いくつものパイプが壁面や天井を這っており、まるで映画のセットのようですね。
さて、映画でこうしたセットが登場する場面といえば、どのようなときでしょうか。
誰かに追われ、狭い通路をすり抜けながら最後は柵の向こうへジャンプ!
あるいは配管の隙間に仕掛けられたダイナマイトを探す緊迫のシーンかもしれません。
つまり「危機的状況を煽る場面」で使われることが多いのです。
「閉塞感」や「危機感」を感じさせますね。
早くここを抜け出さなければ、という焦りが読み取れます。
しかし舞台は工場であったり船であったり、とても広いわけです。
本当は広い場所にいるのになぜか「狭い」「怖い」と誤解させてしまう空間。
これもまた対比のひとつではないでしょうか。
序盤はMADKIDの動きに注目!
イントロの彼らに注目してみましょう。
比較的ステップ数が多いダンスパートです。
これは何もない広い空間を歩き、あるいは走りながら答えを探している様子を表しています。
続くAメロでは、腕のモーションやメンバーの視線の動きが印象的です。
自分の目と指差しによって「光」と「自分」との距離感を確認しているのではないでしょうか。
前出の歌詞からも分かるように、序盤では答えを探して迷っているパートです。
答えにたどり着くにはどうしたら良いのか、じっくり考えています。
ラップパートと赤色の関係
ラッパー2人がソロでいる場所の共通点
LINとYUKIのそれぞれのソロパートのセットには、ある共通の特徴があります。
それは「とにかく赤が目立つ」という点です。
MVではLINが赤い柱を背景にしており、YUKIは真っ赤な衣装。
何となく青白い印象が強いMV全体の中で、この色が非常に目立ちます。
ではなぜラッパー2人をアクセント的に目立たせるのでしょうか?
それは、ラップ詞が持つ役割と深い関係があるようです。
誰もが有無言わせず
戦ってる 本当の事は見向きもせず
短いlife 俺なら何に使おう
世界変えるため Fight my war
出典: RISE/作詞:MADKID 作曲:MADKID
例えば2番のLINのラップパートです。
他のパートと比較してみると、自分を奮い立たせる言葉や挑戦的な主張が多いことが分かります。
「戦う」と明らかに強気な単語もありますね。
迷いながら自分の答えを探していくのがこの曲の大きなテーマです。
その中で突破口を開くようなラップ詞はターニングポイントのようなもの。
真っ赤な光を放つ強い思いを自分の中に押し込めてしまっているリスナーはいませんか?
限られた時間を悔いなく生きるために、その光を解き放とう。
赤いアクセントカラーにはこうしたメッセージが込められているのでしょう。
歌詞と色の相乗効果
ダンスボーカルユニットである彼らにとって「RISE」のようなロックサウンドは未知の領域。
もちろんそれぞれがルーツとする音楽に「ロック」はあったかもしれません。
しかし今までの曲との違いは明らかであり、特にラップをどう絡めるのかは重要な点だったはずです。
ラップ担当のLINは、この曲が「挑戦」であったと以下のインタビューで語っています。
つまり彼らは、曲の完成という光を探して迷っていたのです。
最も難しいラップパートにあえて挑戦的な意味を込め、そしてヴィジュアルにあえて赤を使う。
こうした攻めの姿勢は歌詞の説得力を高め、聴く者に真っ赤な力を与えてくれます。
「盾の勇者の成り上がり」MADKIDインタビュー「“何もない”尚文が這い上がる姿に、自分たちが重なる」 | WebNewtype
現在、好評放送中のTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」。その放送を記念して、スタッフ&キャストによるリレー連載をお届けします。第4弾は、OPテーマを担当...
終盤の強すぎる光
曲の冒頭、椅子が置いてある部屋には青白い光が差していたはずです。
しかし終盤に向けて赤みが増し、最後には眩しいくらいの強い光が差し込んでいます。
青も赤も吹き飛ばすような強い光。これこそが「RISE」で歌われている「答え」なのでしょう。
空っぽの青と情熱の赤
椅子に座って途方に暮れるだけで歩こうともしなかった時間があったはずです。
やっと歩き出しても、道を間違えたことだってあるでしょう。
思い返せば「どうしてあのときあんなことを」と悔やむかもしれません。
おそらくこうした時間を照らしていたのは青や赤の光なのです。