ブレイクのきっかけとなった1曲

【桜田淳子/わたしの青い鳥】歌詞の意味を解釈!クッククックと鳴く青い鳥…象徴するものはしあわせと何?の画像

1973年に発売された、桜田淳子3枚目のシングル曲です。

同年には、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。

それだけでなく、日本歌謡大賞放送音楽新人賞も獲得した昭和の名曲です。

この「わたしの青い鳥」で、大型新人として注目を浴びた桜田淳子。

作詞を担当したのは、いくつものアイドル歌謡やフォークソングを生み出した阿久悠。

さらに作曲は、ちあきなおみの「喝采」や細川たかしの「北酒場」を手がけた中村泰士。

どちらも数々の名曲をつくりだした、昭和を代表するヒットメーカーです。

中には、レコード大賞を受賞している曲も。

そんな天才二人によって描かれた、みずみずしい恋の歌「わたしの青い鳥」。

今回は特に歌詞を取り上げて、この曲を解説していきます。

巧みな言い回しと美しい表現力。

現代の邦楽シーンとはまた違った、古き良き日本のポップスの魅力を堪能してください。

恋に目覚めた少女

しあわせを運んできたのは「あなた」でした

ようこそここへ クック クック
わたしの青い鳥
恋をした心にとまります

出典: わたしの青い鳥/作詞:阿久悠 作曲:中村泰士

自分の中に、密かに宿った恋心。

そんな淡い気持ちに気がつき、心が浮き立っている様子です。

知らない間に、自分の胸の中にふっと生まれた想い。

そしてそのしあわせな気持ちをもたらしたのは、他の誰でもない「わたしの好きな人」。

幸せを運ぶとされる「青い鳥」と「わたしの好きな人」を、ここでかけているのでしょう。

寝ても覚めても、頭のどこかでは「あなた」のことを思い浮かべてしまう。

愛しい「あなた」が、わたしの心をとらえて離さないのです。

「あなた」の想いは…?

そよ風吹いて クック クック
便りがとどけられ
誰よりもしあわせ感じます

出典: わたしの青い鳥/作詞:阿久悠 作曲:中村泰士

そして、そんな「あなた」の心を知ることができた「わたし」。

きっと、“そよ風”が吹いたように、サラリと「わたし」への想いが伝えられたはずです。

その便りを受けた「わたし」の心は、ざわざわと音を立てます。

ここでも、心の中に“そよ風”が吹いたように。

もちろんこの胸騒ぎは、とても良い報せのおかげ。

大好きな「あなた」も、「わたし」と同じ気持ちだったのです。

誰よりも愛しいと思っている「あなた」が、「わたし」のことを愛しいと思ってくれている。

こんなに幸せなことは、他にあるでしょうか?

駆け引きや裏表のない、素直すぎるほどの恋愛

この二人にとっては、「好き」という気持ち以上に必要なものはないのです。

お互いが想い合っていられれば、それでいい。

その他には、何もいらないのでしょう。

とってもフレッシュな二人の恋

この辺りからも分かるように、描かれている二人はとても若そう。

「大人のビターな恋」というよりは、「青春時代の淡い恋」といった様子です。

幼かった自分の学生時代を思い出してみてください。

自分がまだまだ青い頃の恋愛では、余計なことなど考えなかったでしょう。

周囲からの評価や、自分にとって損か得か、といった大人ならではの感情。

そんなことは抜きにして、純粋に「好きだ」と思える相手がいたのではないでしょうか?

「お互いを想い合う心以外、他には何もいらない」

そんな様子が描かれているこの曲。

実際に、この「わたしの青い鳥」を歌っていた当時、桜田淳子はまだ15歳です。

そんなフレッシュな彼女の澄んだ声に、とてもよく合っています。

いつまでもいつまでも続いてほしい

純粋すぎる恋には儚さもある

どうぞ行かないで このままずっと
わたしのこの胸で
しあわせ歌っていてね
クック クック クック クック
青い鳥

出典: わたしの青い鳥/作詞:阿久悠 作曲:中村泰士

想いが通じ合った二人。

「ずっとわたしだけを好きでいてね」

そんな「わたし」の可愛いワガママが見えます。

「わたし」が何よりも“しあわせ”だと思うことを運んできてくれた「あなた」。

でも、“青い鳥”というだけあって、わずかな不安もあるのでしょう。

もしかしたら、ある日突然どこかへ飛び立ってしまうかもしれない。

フラリと「わたし」のもとから離れていってしまうかもしれない。

若いながらも、どこかで「永遠には続かないだろう」ということを悟っています。

「わたし」はずっと好きでいられるけれど、「あなた」はどうか分からない。

そんなちょっぴり切ない想いが“どうぞ行かないで”という言葉に込められているような。

実際のところ、青春時代の恋が大人になるまでずっと続くことは稀でしょう。

「二人の純粋な気持ち」だけで繋がっているからこそ、とても儚いのです。

利害関係ではなく、移ろいやすい人の想い「だけ」で繋がっているから。

その分、気持ちが離れてしまえば、すぐに壊れてしまいます。

純粋すぎるからこその「刹那」的な運命。

そんなことも、この「わたし」はどこかで分かっているような気がするのです。