存在が揺らいでいくこれまでの“愛”
手にしては叩き壊した 愛だなんて嘘だった
不自由を嘆いては 自由の闇を彷徨い続けた
手にしては奪われていた 隠していた涙だけが
現実と幻想に 突きつけられた愛だった
愛だった、のか?
出典: Inside of me/作詞:Chie Sawaguchi 作曲: SCHON・KROW
ここからのラップパートでは、“僕”の苦悩と葛藤がよりストレートに表現されています。
彼女から受けた愛、共有してきた思い出。
結局のところそれは現実だったのか、それとも幻想だったのか。
これまで過ごしてきた日々は、ひょっとしたら全部幻想で、現実ではなかったのではないか。
そんな疑念に苦しまされる“僕”の姿がそこにあります。
また、ここでいう不自由というのは彼女に会えないことです。
つまり、ここでいう自由とは彼女が目の前にいないことで発生している非常に皮肉な自由ということになります。
悪魔のふりをした天使という表現
醒めない身体 欺くように 視線を逸らした 僕の負けさ
天使のくせに 悪魔のふりして いつまでも僕を 悩ませるの?
出典: Inside of me/作詞:Chie Sawaguchi 作曲: SCHON・KROW
「天使のくせに」という言葉選びをしているとおり、“僕”の中では彼女はあくまで天使です。
悪魔が天使のふりをしているのではありません。悪魔が“僕”を騙して、弄んでいたわけではありません。
どれだけ苦悩しても、葛藤しても、結局のところ“僕”の中での彼女は肯定すべき存在なんです。
つまり、実は“僕”の中では既に答えが出ていたんです。
逃げ場のない“僕”の感情
Come on 焦らされてる Tell me 赦されない
Fly high お願いだよ Liar 赤い月に
Come up 逃げ出しても Try me 報われない
Tonight alive もっと愛して、ねぇ?
出典: Inside of me/作詞:Chie Sawaguchi 作曲: SCHON・KROW
そんな“僕”の中で絶対的に肯定すべき存在が目の前にいないという悲しくて残酷な状況です。
しかし、この状況からも自分の気持ちからも、逃げ出したところで報われることなんてありません。
では、“僕”はこの状況を一体どう解釈するべきなのか。そして、一体どういった行動をとればいいのか。
「愛してほしい」
そんな感情と共に、後半へと続いていきます。
“僕ら”の愛を信じることをリスナーに対して語りかける後半の展開
ここまで痛々しいほどの苦悩と葛藤の展開が続いてきました...。
しかし、後半からはリスナー達に向かって前向きに語りかけるような表現に変化していきます。
強いメッセージ性のあるフレーズが次々に飛び交う、この楽曲の中でも非常に重要なパートです。
断ち切られた葛藤の鎖
望むなら手にすればいい 欲しいなら抱きしめればいい
不自由を嘆くのなら 不実でこの身を焼き尽くせばいい
出典: Inside of me/作詞:Chie Sawaguchi 作曲: SCHON・KROW
彼女と対面することができないという不自由から、存在そのものが揺らいでいたこれまでの“愛”。
でも、事実か不実かなんて問いかける必要はなくて、ただ自分が望むことをすればよかったんです。
そんな「自分の気持ちに忠実でいろ」という強いメッセージが、このフレーズには込められています。
愛を過去のものにしてはならない
愛していたと嘆くのなら 愛していると叫び続けろ
現実と理想に 突きつけられて愛はあるんだ
出典: Inside of me/作詞:Chie Sawaguchi 作曲: SCHON・KROW
愛していたではなく愛している意思を出すこと。
過去に囚われるのではなく今現在の気持ちこそが大切であるという、こちらも強いメッセージが込められたフレーズです。
また、現実だけに囚われることもなく、理想だけに溺れてしまうこともない
どちらの要素も存在する場所にこそ愛はあるという、達観した恋愛観も込められています。