愛情や友情が歪んで見えた
「消えないで」「行かないで」世界へと
単調な表情でUndoまたしても
長めのローディングで満身創痍
施錠して開錠して僕ら忙しい
ためらい傷も重なってさ
司会者不在でも ちゃんと回ってる
難攻不落参考書なんて一旦捨てんだ
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
今まで信じてきたはずの「愛」や「友情」に、「歪み」が生じてきたようです。
歪んだ末に、消えてなくなってしまいそう。
居場所を求め、受け入れてもらおうと叫び続けた末に辿り着いた結果だったのでしょうか。
主人公はそれらがなくなってしまわないように追いかけます。
追いかけると、主人公は世界に飛び出していました。
そこがどんな世界なのか、理解する(ローディング)のに時間がかかっているようです。
読み込んでいる間にもどんどん傷ついていきますが、手当てに構う余裕もありません。
新しい世界では誰かに心を開き、時には閉ざして上手くやり過ごさなければならないからです。
自分を殺しながらその世界で生きていく。
傷つきまくって当然でしょう。
それでも今の状況を言葉にして説明してくれる(司会者)のような人がいなくても、やっていけています。
マニュアル通りに生きていく必要はありません。
上手い生き方を教えてくれる参考書なんて、今の主人公には扱えないでしょう。
教えられたって、実際には実行できないのですから。
だからそれは、現時点でゴミ箱行きです。
魂の在処
インターネットと現実(リアル)を織り交ぜたような、不思議な世界観。
2番もそんな雰囲気が続きます。
1番では居場所を求めていましたが、次は魂を探しているようです。
魂は実在するのか
魂というもの ここにあるのかい
心臓に指を突き立てて
待てど暮らせど 見えてきやしない
奴らはもう投げてる
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
よく人間や生き物には魂があるといいますが、その姿は目に見えません。
主人公は「魂なんて本当にあるのか」と疑っているようです。
自分の体を生かしているモノといえば心臓ですから、そこに魂があると考えたのでしょう。
突き刺すかのように自分の心臓がある場所に指を立てますが、特段何も出てきません。
魂は本当にあるのか、これでは証明できないようです。
ところで分からないのが4行目の「奴ら」。
これは誰のことを指しているのでしょうか。
魂の存在を信じる、スピリチュアルな思想を持った人々のことかもしれません。
魂とは体のどこにあるモノなのか、彼らは説明しようとはしないでしょう。
主人公にとっては、明確な答えを投げ出して誤魔化していると感じるようです。
データの魂
半導体 データ上は
それに似た性質を持っていた
現行犯 それ以外に
確かめる術はもう無い
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
人間の魂がどこにあるのか分からないので、データの方に目を向けます。
「半導体」とは低温では電気をほとんど流さないものの、高音になると電気を流すようになる物質のことです。
コンピューターなどのデジタル機器を支えるICは、この半導体から作られています。
つまり半導体がないと、データは構築も記録もできません。
そこで主人公は、半導体こそがデータの魂ではないかと考えたようです。
半導体を取り上げてしまえば、魂がそこに宿っているという証明ができるかもしれません。
確かめるには、今ここで実際にやってみる以外に方法はないでしょう。
真実に心は耐えられない
真実がシンシンと降り積もっても
安定しない心情は 理解もない
延長線上なんて 何度伸ばしても
弱めのドーピングじゃ全然ダメ
ひっぱって乗っかって試してたんだね
向こう傷を隠してさ
社会派頭脳で なんか目指しても
面倒くさい 絆創膏なんていいや Stand Up
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
実際に魂の証明をしたのかは分かりませんが、主人公は何かの真実を知ったようです。
それは知りたくもないものだったのでしょう。
まるで雪のように降り積もり、これでもかと主人公に見せつけてきます。
どうしても受け入れられない主人公は、この問題を何度も先延ばしにしました。
薬か何かで正気を失った勢いで、それが本当に「真実」なのかを確かめていたのでしょう。
そこまでするのは受け入れたくないからです。
問題だらけの現実と「真実」に真面目に向き合い、解決しようとするのは主人公の性には合いません。
解決策を導いてカバーするのは、主人公にとって傷に絆創膏を貼るようなもの。
そんなものを貼るのは煩わしいのです。
それよりも自分に合った方法で「真実」を変えてみせたいのでしょう。
主人公は立ち上がります。
タイトル「ステンダ」の意味とは
歌詞を見ると、タイトルの「ステンダ」には2つの意味があるように思えます。
一つが「捨てるのだ」をもっと砕けた表現にした「捨てんだ」。
もう一つが「立ち上がれ」を意味する「Stand Up」の発音をカタカナにしたものです。
「Stand Up」はそのままカタカナにすると「スタンド アップ」になります。
しかしネイティブの発音にすると、「ステンダ」に近い言葉に聞こえるのではないでしょうか。
捨てることと立ち上がること。
この2つのキーワードを合わせて同時に表現しているのが「ステンダ」なのでしょう。
そう考えると意外と歌詞をそのまま表している、分かりやすいタイトルですね。