歌詞もMVも謎だらけな名曲「ステンダ」
次世代アイドルグループ・Kore:ctのデビュー曲「ステンダ」。
どこか不思議な感じのするメロディと歌詞に、多くの人が虜になった曲です。
さらに公式のMVが謎めいた雰囲気にしています。
医者姿のプロデューサーのコレコレさんを中心に、ナース姿のメンバーが踊っているのですが…。
メンバーの顔には何故かモザイクがかかっていて、ほとんど顔を見ることができません。
歌詞の内容とも全く関係ないMVで、何とも形容しがたい世界を作り出しています。
とにかくすべてが摩訶不思議な「ステンダ」ですが、歌詞はどこか奥深さを感じさせるものです。
いったいどんな世界観が広がっているのでしょうか?
隠れた名曲の歌詞が示す意味を考えてみましょう。
居場所を求めて
「ステンダ」というタイトルからは、何をテーマにした歌詞なのかも不明です。
何を意味しているのでしょうか。
そこには時折、Kore:ctの活動拠点であるインターネットを思わせる言葉があります。
ネットを舞台とした歌詞?
謎のベールに包まれている歌詞の意味を紐解いていきましょう。
自分の居場所までどのくらい?
どれくらいすりゃ 届くのでしょう?
僕らの居場所なんてそうでしょ?
あといくつの夜 越えてゆくのよ
それでもまた行くんでしょ?
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
冒頭から抽象的な歌詞で始まります。
自分たちの「居場所」を求めて、彷徨っているのでしょうか。
そこがゴールだとしても、未だ見えていません。
居場所というのは、なかなか見つけるのが難しいものでしょう。
「見つける」のではなく、「作る」という考え方もあります。
どちらにしろ、その「居場所」となる場所にいる人から自分たちを受け入れてもらわなければなりません。
更に信頼されないと居場所はできないのです。
決して簡単なことではないでしょう。
それでも自分たちの居場所を手に入れるため、夜になっても居場所を求め続けている様子。
ゴールに辿り着くその時まで、何度だってそこに出向いています。
そこまでして、その場所に自分たちの居場所を欲しがるのは何故なのでしょうか。
歪んだ光の中で
影送りの様 気になる空模様
今日も願い事をしよう
金網越しの 線路しずめて
走り出した陽炎
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
1行目の「影送り」とは、快晴の空に自分の影を映す遊びです。
まるで自分の影が映っているかのような空、ということなのでしょう。
どういうことかというと、この空は自分の状況を表しているのではないでしょうか。
絶好調なら雲一つない青空でしょうし、先行き不透明なら曇り空かもしれません。
悲しい状態なら雨でしょう。
このようにまるで自分の心や置かれている状況を、空が映し出しているように思えているのです。
そんな空に、何かを願います。
早く居場所というゴールにたどり着くことを祈っているのでしょうか。
その願いはやがて「陽炎」となり、線路の上をゴールに向かって走り始めます。
陽炎は光の屈折でゆらゆらと景色が揺らめく現象ですが、その歪みがある筈の線路を消してしまったのでしょう。
さらに揺らめく動きが、まるで走っているようにスピーディーに見えているのですね。
なんだか念を送っているかのような光景です。
でたらめな怪物
最上級データ上で
でたらめに「I'm for you」叫んでる
大好物並べる本能
空想上だけの怪物だ
出典: ステンダ/作詞:久下真音 作曲:曽木琢磨
ここに来て急に「データ」というデジタルの要素が絡んできました。
2行目の英語は「私はあなたのために」という意味ですが、相手のために何か行動しているのでしょうか。
気を引かせるために、その人の好きなものを集めて「あなたのためにやったんだよ」と声を上げているようです。
好きなものもまたデータで、楽曲や画像を集めているように感じられます。
居場所を手に入れるため、相手と信頼関係を築こうとしているのでしょうか。
「でたらめ」というあたり、あまり効果があるようには見えませんが…。
信頼関係はこのような賄賂で成り立つものではない筈。
ですが主人公は、どうしたら良いのか分からず相手の好きなもので釣ろうとしているのかもしれません。
そうやってちゃらんぽらんな振る舞いをしているその姿が、怪物さながらなのでしょう。