夏とのつながりは?
暗い闇を超えて熱く燃える太陽が差す場所へ
oh 悩み事なんていらないさ 夏に身を任せて
出典: Summer Time/作詞:BIG BROTHER、JANG KEUN SUK 作曲:BIG BROTHER、STAINBOYS
歌詞にあるようにMVの中の季節は「夏」ではないかと感じます。
また曲のタイトル『Summer Time』。
そこから見ても、夏がひとつのテーマとなっていることでしょう。
どちらかと言うと、色鮮やかな光景を浮かべる季節です。
それにも関わらず、なぜ”モノクロの映像”になっているのか。
それは暗い闇の中で迷い、模索する彼ら。
その様子を表現しているからではないでしょうか。
”大都会”という場所から脱却したい。
そう願いながらも、どうすればいいのか?
一体、どこに向かえばいいのか?
そうした迷いや悩みをモノクロが力強く訴えかけてきます。
またMVの中に出てくる非常口や階段。
それらの場所が「脱却」というテーマを象徴的にしています。
人は一度、悩みだすと出口が見えるまで考えてしまいます。
そのせいで他のことがなかなか頭に入ってきません。
その様はまるで終わりの見えないラビリンス。
たったひとりで知らない世界に迷い込んだかのようです。
そうした感覚が細い路地や非常口・階段で巧みに描かれています。
モノクロのMVにはそうした効果も含まれているのです。
脱却とは何か
MV後半
MVは後半になるにつれて、画面上には黒よりも白の部分が多くなってきます。
これは2人が次第に外の世界へ、つまり脱却へ向かっているということです。
暗い地下通路らしき場所をあかりに照らされて進む2人。
先程まではくだっていた階段を今度は一歩ずつ上ります。
やがて光の下でのびのびと歌うのです。
二度と来ない今 思いのまま
just wanna dance all night 楽しむだけ
this summer stole my heart 無我夢中で
出典: Summer Time/作詞:BIG BROTHER、JANG KEUN SUK 作曲:BIG BROTHER、STAINBOYS
そんな2人の姿はまさにこの歌詞を体現しているかのようです。
そして、やがて足元にはトンネルの外へと向かうレールが登場。
これは脱却へ向かうレールです。
しかし、暗闇の中を迷いながらも進むことをあきらめなかった彼ら。
だからこそ出現したレールではないでしょうか?
レールと言うと、誰かに敷かれたものという印象もあります。
一方で、トンネルの外へとまっすぐに向かっているこのレール。
誰かに敷かれたものではなく彼らが見つけたレールなのです。
つまり、”レール = 脱却”と捉えられるのです。
脱却の先にあるもの
強いメッセージ
足元が泥だらけになった時。
まぶしすぎる光に目をそむけたくなる時。
それでも進み続けた者だけが光を手にすることができる。
光がまぶしすぎて、前が見えなくて恐い。
そう思ってしまうことがあっても、それでも進んでいこう。
そんな強いメッセージを感じることができます。
最後のトンネルを抜けた先に広がっていた色鮮やかな青空。
それは、まさに「大都会からの脱却」をあらわしているのです。
「大都会からの脱却」とは何なのか?
歌詞は「自分が自分自身を縛っているもの」からの脱却。
そこにもつながっているのではないでしょうか。
地位・他人からの評価や視線・イメージ
世間体は他人の多い大都会にいればいるほど、否応なく感じます。
そして考え、意識してしまうものです。
それらから逃れるためには人がいない。
それこそ薄暗い路地を選び進んでいくしかありません。
果たしてそれでいいのか?
他人の言葉や目を気にして、自分を押し殺して、暗い道をわざわざ選ぶ。
それで、自分は本当にいいのか?
自分が選んだ道は、選びたかった場所は、そんなところだったのか?
そんな疑問をぶつけられているように感じます。
それはおそらくモノクロという「必要最低限の色」でのみつくられた映像。
だからこその強みであり、彼らが込めたメッセージが強く感じられます。
この曲のMVが白と黒で構成されていながらも力強いメッセージを発している。
本当は自分たちもよりシンプルでいいのかもしれません。
地位やイメージ。
いつの間にか他人に塗られた色を落としてみる。
そうするとしもがモノクロというシンプルな色をしているのです。
日記を破りすて、携帯電話の電源を落としましょう。
身軽になることで人は楽に生きられるのです。