曲の冒頭

主人公の目標

最終的な計画はすいぶん先の話
目線をはずして見ないまま剥がれた夜空の向こう側

出典: 月面旅行/作詞:カワノ 作曲:カワノ

まずは曲の冒頭の歌詞から見ていきましょう。

主人公は将来のことを考えているようです。

それもずっと後のことを。

具体的にそれが何なのかは、後程詳しく読み解きます。

ここでは、将来の目標から目をそらしている描写がありますね。

目標は立てていたものの、それを見据えずにいたということでしょうか。

夢に向かって、具体的な努力や行動をしなかったのかもしれません。

「まだまだ先のことだから…。」

そうついつい後回しにして何もせずにいることは誰にでもよくあります。

漠然とした将来は描いていたものの、何かをしていたわけではなかったのでしょう。

歌詞を見ると、結果的に夢は叶わなかったようです。

ぼんやりと考えながら、静かに破れていった夢。

そんな悲しい歌詞で同曲は幕開けします。

歌詞を見ると、「はがれる」という表現を使っていますね。

この言葉はどこかマイナスの意味を彷彿とさせます。

きっと主人公はまだ見ぬ空の奥に、自分の将来を描いていたのでしょう。

しかしそれがはがれてしまいました。

つまり夢は、現実となることがないまま消えてしまったといえます。

叶わなかった計画

三年おきの後悔と二年の歳月で曲がった
背筋の分だけ見つめた屑が舞っている

出典: 月面旅行/作詞:カワノ 作曲:カワノ

主人公の夢の話は続きます。

ここでは、時間が長く経過していることが描かれていますね。

その年月で主人公はどこか猫背になったようです。

夢が叶わなかったことによる落胆からでしょうか。

どこか寂しい背中が想像できます。

そして目の前には無数の「くず」が。

これは一体何を意味するのでしょうか。

おそらく、時間の経過とともに積もるほこりのようなものでしょう。

何もせずに無駄にした時間の虚しさを、このように表現しているといえます。

主人公が過ごしたのは、3年と2年、つまり5年です。

3年で夢を失い、2年間を落ち込んだまま過ごした、といったところでしょうか。

歌詞には「後悔」という言葉が登場します。

つまり、夢が叶わなかったことは少なからず自分のミスでもあると考えているようです。

不可抗力ではないとなれば、悔しさや虚しさもひとしおでしょう。

主人公は常に過去の選択を悔やんでいるようです。

その後2年も虚しさに身を任せて過ごした主人公。

かなり長い期間です。

以前描いていた夢は、主人公にとって大きな希望だったと考えられます。

過去の回想

1人の夜

寂しい夜は外に出て歩いて疲れて座り込んだら
タバコを吸って言い足りないこと考えたりした

出典: 月面旅行/作詞:カワノ 作曲:カワノ

歌詞は昔の主人公の回想に入ります。

どことなくさみしい夜。

そんな時はふらっと出かけていたようです。

歩いているうちに、くたびれる足。

そんなときは煙草をふかします。

そして考えるのは、「言いたかったこと」

これは一体誰に対してでしょうか。

この言葉の相手こそが、同曲のキーマンともいえます。

主人公が探すのは、「言いたいのに言えなかったこと」

つまり話の相手は少し前まで一緒に居た人物だと考えられます。

このとき、主人公はさみしさから外に出ています。

それは相手が側にいないことから来るさみしさでしょうか。

だとすれば主人公は、その相手とかなり親密な関係だと考察できます。

素直に考えると、相手は恋人でしょうか。

夜も出かけてまで想いを馳せる相手となると、恋人と考えるのが妥当でしょう。

2人の思い出

案外浮かぶ他愛のない味気ないそれをあなたに向かって
後で言うのはちょっとずるいよな

出典: 月面旅行/作詞:カワノ 作曲:カワノ

2人のときは言えなかったことが、1人になると浮かびます。

どうしてか、素直な気持ちがすぐに出てこない。

そんなことを実際に経験した方もいるかもしれません。

主人公もそのような状態です。

今になって恋人への想いや伝えたいことが思いつきます。

しかしどれも全てが後出しの言葉。

2人でいる時に言えなかった言葉です。

冷静になれば、決まり文句のような台詞の数々が浮かびます。

主人公にとってはどれもなんてことのないもの。

自分の熱がこもった熱い言葉には感じられないようです。

しかしそれをとりあえず恋人に伝える主人公。

恋人はどんな顔をしたでしょうか。

後から言われた言葉でも、嬉しかったかもしれませんね。

それでも少なくとも主人公は、自分を「少し卑怯」だと感じたようです。

気の利いたことが言えない自分にふがいなさを感じているのかもしれません。

それを許してもらうかのように、後出しで気持ちを伝える自分。

主人公にとっては、あまり理想としない気持ちの伝え方だったのでしょう。

刻々と過ぎる日々

めまぐるしく変わる毎日