とりあえず今夜は安心さ
足跡は雪が消していた
声はひどく痛んだ
乾いた乾いた
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
今夜だけは孤独を忘れられる。
安心を覚えたのは、猫よりも男性の方だったのかもしれません。
胸に抱いた小さな温もりが、凍てついた心を溶かしてくれる。
外は雪が降っていて、すべての足跡を消し去ってくれます。
この情景描写は、過去の記憶が新しい記憶によってだんだんと薄れていく様子を表現しているのでしょう。
忘れたいことも、忘れたくないことも、すべては思い出になり、やがて頭の中から消えていく。
そんなセンチメンタルな夜、孤独に泣いていた喉が痛みを訴えていることに気づきました。
乾いた喉を潤してあげないと。
温もりを抱いて、男性はようやく痛みを感じられるようになったのだと思います。
ずっとここにいられますように
遠くの狐がこんこんと
僕たちを探しているようだ
そっと息を潜めた
このままこのまま行こう
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
遠くで狐が、自分たちを探すように鳴いている。
これは戻りたくない場所があることを意味しているのではないでしょうか?
男性にも猫にも、孤独の理由があるはず。
周囲と上手く馴染めなかったか。
孤立してしまうような出来事があったか。
もう二度と経験したくない過去がある。
その過去が今でも自分を呼んでいるような気がするのは、きっと過去に囚われているから。
いつまでもこの心地いい温もりを抱いていられるように、そっと息を潜めていよう。
男性と猫が丸くなって抱き合っている姿が目に浮かびますね。
救いを求めていた
男性が抱えている孤独は、なかなか複雑な過去を持っている様子です。
この苦しみは誰にも分かってもらえない。
だからこそ1匹の猫に救いを求めたのかもしれません。
命が燃えている
凍てつく雪の中で
確かな熱を帯びた
呼吸をして声を焼いて
燃えた燃えた禊の火
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
冷たい雪の中にいたのは男性も同じ。
しかしどんなに凍えていても、命はまだ熱を帯びています。
呼吸をすれば鼓動を感じ、声を出せば喉が焼けるように痛む。
命が燃えているように感じるのは、男性が禊(みそぎ)をしているからでしょうか?
禊とは川や海などで自身の汚れを清めることを言います。
本来なら水を使いますが、男性は火によって汚れを清めようとしている様子です。
過去の過ちが清められていく最中、男性は自分の命について深く考えていたのかもしれません。
その様子を「燃えた」と表現しているのだと思います。
春になっても一緒にいたい
さぁ縁の垣根を超えて
貴方をもっと知りたい
言えないまま言えないまま
いつの間にか雪は雨になりました
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
「緑の垣根」は、春の訪れを意味しているのではないでしょうか?
冬に枯れてしまった垣根が春になって再び葉をつける。
その頃には、貴方のことを今よりも知ることができているはず。
それはつまり、春になっても貴方と一緒にいたいということです。
この貴方は猫を指していると考えて良いでしょう。
拾われたのは猫の方ですが、救われたのは男性の方だったのかもしれません。
孤独を埋めてくれた貴方を手放したくない。
その想いを伝えることができないまま、雪は雨に変わりました。
孤独は続く
この曲が切ないのは、男性が再び孤独に戻るところです。
ようやく手に入れた小さな温もり。
しかしそれさえも、男性から離れていってしまいました。
寂しかったのは自分だけ
夜明け前貴方は早々と
此処から出て行ってしまった
あんなに泣いていたのに
零れた零れた
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご