抱きしめて寝たはずなのに、猫は夜明け前に男性の家を出ていったようです。
自分と同じように孤独を埋めてくれる存在を探しているのだと思っていた。
しかしそれは、男性の勘違いだったのでしょう。
猫はただ気ままに生きていただけ。
泣いていたのが嘘のように、猫はあっさりと男性のもとを離れていきました。
最後に零れたのは、行き場を失くした男性の想いなのだと思います。
置いていかないで
今までありがとさんなんて
言わないでよ置いてかないで
きっと帰れやしない
このまま このまま
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
「ありがとう」なんて言われたら、本当に最後の別れになってしまう。
男性は縋る思いで「置いていかないで」と頼みます。
しかし猫が人間の言うことなど聞くはずがありません。
きっと猫は振り返ることもしないで、男性の家を出ていったのでしょう。
男性が「帰れやしない」と言うのは、猫がまたこの家に戻ってくることを期待しているからかも。
そうまでして孤独を恐れる男性の姿が、痛々しくて切ないですね。
孤独でも生きていく
再び孤独になってしまった男性は、これからどうするのでしょう?
1人でも生きていくしかない。
残酷な現実に寒さがいっそう厳しくなるようです。
貴方の帰りを待ち続ける
いつか夢で会えても
貴方にゃきっと届かない
僕は此処で僕は此処で
袖を濡らしながら帰りを待つだけ
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
夢の中でも貴方と心を通わせることはきっとできない。
男性は自分の想いが一方的なものであったと気づいたようです。
それでも男性は猫がこの家に帰ってくるのを待ち続けます。
気まぐれでいい。お礼もいらない。
ただあの温もりをもう一度抱きしめたい。
男性は猫の体温を思い出すたび、涙を流しているのかもしれません。
孤独で繋がっている
さぁ宴のたけなわ超えて
生きてみようか今更
禊ぎの火は禊の火は
雨に雨に濡れていた
晴れた晴れた朝ぼらけ
見てるかな
出典: ハレハレヤ/作詞:羽生まゐご 作曲:羽生まゐご
「たけなわ」を超えて生きていく。
それはつまり、これから衰退の一途をたどるしかない人生でも、恐れずに生きていくということです。
汚れを清めていた禊の火は、いつの間にか雨に濡れていた。
きっと男性はもう自分を責める必要がなくなったということなのでしょう。
晴れ渡った夜明けの空を見て、男性は猫のことを思います。
あの猫もどこかでこの空を見ているのだろうか?
1人と1匹は離れていても、やはり孤独で繋がっているのかもしれませんね。
最後に
男性と猫の切ない物語を描いた『ハレハレヤ』。
筆者は「貴方」を猫と解釈しましたが、実際は何に当てはめても良いのでしょう。
自分が寒い夜に一緒にいたい相手。
それがこの曲の「貴方」なのだと思います。
無性に泣けてくる
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