ちょっぴり専門的な言葉が使われています。

日頃から音楽に親しんでいる人なら、引用部分最後にある「リヴァーブ」という言葉はなじみ深いでしょう。

これは一言で説明すると「残響」を意味します。

普段何かを聴くとき、正面から直接くる音以外に、上下・前後・左右あらゆる角度から聴こえてくる音があるでしょう。

そういった、様々な場所で反射して反響する状態、そしてその効果を「リヴァーブ」というのです。

狭い空間に閉じこもる主人公

主人公は何かの記憶にとらわれているようですね。

人は、つい過去の栄光にすがってしまうものです。それはこの主人公も同じ。

きっと昨日、素敵な思い出ができたのでしょう。

その幸福感に浸っていたくて、何度も脳内で再生しているのかもしれません。

そして続く引用部分3行目。

これは完全な比喩表現ですが、美化された思い出を意味しているのではないでしょうか。

どこを見ても美しくオーロラ色に輝くトンネルの中。

しかし捉え方を変えると、ある意味プラスの思い出だけに浸れる隔離された空間とも言えそうですね。

そんな幸せな空間の中では、素敵な記憶だけが乱反射し続けます。

まさに思い出の乱反射とはこのことでしょう。

幸せそうに見えて、未来に向かって進みだせない哀れさ・悲しさも感じられます。

その月はまるで

グレープフルーツムーン
きみを照らして
後悔だけに埋もれないように

出典: grapefruit moon/作詞:Mizuki Masuda 作曲:Mizuki Masuda

月をグレープフルーツで例えていますね。なんだか美味しそうです。

きっと綺麗な丸で、鮮やかな黄色の月なのでしょう。

そこまで鮮やかな輝きを放っているということは、きっと月明かりだってとても眩しいはず。

そんな満月に照らされているのは、いったい誰なのでしょうか。

歌詞中では「きみ」と表現されているだけで、どんな相手なのか明言されていません。

さらに引用部分最後にあるとおり、「後悔したくない」とまで口にしているのです。

ますます謎が深まりますね…ひとまず先に進んでみましょう。

定められた二人の運命

出会いは必然…?

偶然出会った二人は
知らない世界で何度も
すれ違ってたのかもしれないね
リヴァーブに酔いしれる

出典: grapefruit moon/作詞:Mizuki Masuda 作曲:Mizuki Masuda

ここの歌詞中で使われている「リヴァーブ」とは、音の反響を意味するわけではなさそうです。

直前の歌詞で、月が照らしている「きみ」の存在に触れましたが、この引用部分でも「きみ」が登場します。

ここから推察すると、「きみ」とはいまの主人公にとって非常に大切な相手であるとわかりますね。

そしてその突然の出会いが実は、偶然ではなく必然だった、とも…。

そんな不思議な出会いがもたらした、幸福感昂揚感が、主人公の周りを飛び回っているのでしょう。

まさに感情の反響感情の乱反射。主人公はその響きに浸っています。

miida結成の物語?

この楽曲を制作していた沙田瑞紀さんは、かつてねごとというバンドで活躍していました。

2007年に活動を開始したこのバンドは、12年後の2019年に解散。

どんなにやりきって清々しい気持ちで解散したって、色々と思うところはあるのでしょう。

ここからは完全な想像(妄想?)ですが…。

沙田さんはバンドを辞めた自分が進むべき道について、きっとたくさん考えたのではないでしょうか。

その中で冒頭の歌詞にあったとおり、この先の未来には絶望しかないように見えたのかもしれません。

しかしそんな絶望感の中、miidaの相方であるsugawaraさんと出会います。

実は10代の頃、一緒に活動していたという沙田さんとsugawaraさん。

互いの活動に没頭している間は会うこともなかったのでしょう。

でも、美味しそうな月がsugawaraさんを照らしだしてくれたからこそ、いま一緒に活動している。

不思議な巡りあわせへの驚きや感謝も、きっと大きいはずです。

そんなsugawaraさんとの出会いを綴った歌詞のようにも感じられました。

こちらもおススメ

ガールズバンド「ねごと」の魅力とは?

miida【grapefruit moon】歌詞の意味を徹底解釈!月明かりが照らし出したものとは?の画像

miidaのボーカルを担当している沙田瑞紀さん。

歌詞の解説中にも少しふれたとおり、かつてねごとというガールズバンドで活動していました。

きっとその頃の沙田さんが気になる!という方もいるでしょう。

そんな方はぜひ、こちらの記事をご覧ください。

沙田さんが所属していたねごとについて、詳しく解説していますよ。

「閃光ライオット」での入賞以降、日本の若手ガールズバンドの代表格として活躍してきたねごと。若い世代の女性を中心に人気を集め、2017年にはいよいよ結成10周年を迎えます。そんなねごとの人気の秘密・その音楽性に迫ります。