あなたが私を見ていなくても
あなたの全てが恋しくて
またこびりついて
取れやしないこの匂いが
本当のアナタを知れた気になるようで
近くに寄っていって
ワタシ攫っていって
このままどこまでも連れて行って
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
カラフルに色付けされたイラストが印象的な「染み」のMV。
顔を塗りつぶされた男性に恋をしているのが、この曲の主人公である少女です。
どうやら男性に恋をした理由は、理屈では語れないものである様子。
離れた後に残る彼の香りが、恋心をより一層強いものにしているのです。
大勢がひしめく会場で、まるで王子様のような彼に連れ出してほしいと願う主人公。
どんなに魅力的な女性よりも、1番に自分のことを選んでほしい……。
恋する女性ならば誰でも、そんなひたむきな願いを持っているはずです。
他の存在は見ないフリをして
ほら また
気付いてないフリをして
アナタを待っている
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
自分だけをまっすぐに愛してほしいと願っている主人公ですが、現実はそう簡単にいくものではありません。
主人公が想っている彼には、「想い人」がたくさんいるのです。
顔も、髪型も、性格もバラバラな女性たちの中で、主人公は「数いる彼女の中の1人」。
主人公に向けられた愛情は、他の女性にも同じように向けられているのです。
そんな悲しすぎる現状でも、主人公が身を引くことはありません。
自分の中の悲しみを押し殺すように、目の前の現実から目をそらすように、ただひたすらに想い続ける……。
彼の良い面だけを想いながら、主人公は今日も彼を待ち続けています。
大勢の中の1人でしかない自分
どれだけの努力を重ねたなら
愛を歌っていたって
なんも変わりゃしなくて
一体 どんな徳を積みゃいいと言うんでしょう?
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
繰り返し繰り返し、彼への愛を言葉にし続けている主人公。
一見伝わったように見えても、彼の心にその想いが響くことはありません。
なぜなら、彼にとっての主人公は「代わりの利く存在」であるから。
上手くいかなくなったのならば、次へと乗り換えていけばいいだけなのです。
そんな大勢の女性の中からたった1人選ばれるのは本当に難しいことです。
特別可愛いわけでも、突出した取り得があるわけでもない主人公は頭を抱えてしまうことに。
良いことをたくさんして、神様に認められれば、ラッキーが降ってくるのではないか……。
そんな「神頼み」すらしたくなってしまうほどです。
試されるものとは
絡まっていたシミ残して
しわしわのシーツにくるまって
今日もちゃんと 試されにいこう
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
主人公が彼の愛を感じることができるのは、夜を共に過ごした時だけです。
自分に触れた同じ手で、他の女性にも触れているはずなのに……。
それでも、自分を求める手を払いのけることなどできません。
2人の姿を覆い隠すようにシワの寄ったシーツは、まるで世界がたった2人だけになってしまったかのよう。
それでもシーツをとれば、また「大勢の中の1人」に戻ってしまうのです。
彼に会いたくて、彼を求めている主人公。
それと同時に、彼の愛を試すために同じ夜を過ごしに行くのです。