ほら まだ
くたばってなんかいられない
いざフルスイング 3OUTしたって
馬鹿馬鹿しいような
てんでおかしな世界で
答えが出たアナタを待っている
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
野球に例えるのならば、思い切って振ったバットが空を割き、ミットにボールが吸い込まれるようなもの。
つまり、主人公の努力はいつだって「空振り三振」なのです。
彼からもらうはずの愛を、うまくとらえきれずに無駄にしてしまう主人公。
傍から見れば笑ってしまうほど滑稽でも、試合を諦めることはできないのです。
大勢の彼女の中から、彼はいつか1人を選ぶのでしょう。
栄えある1位に選ばれた女性だけが、彼と一生共に添い遂げることができるのです。
そして、誰を選ぶのかは既に決まっているはず。
聞きたいような、聞きたくないような複雑な想いを抱えながら、今日もバットを構えるのです。
報われることのない気持ち
返ってこない想い
愛をねだっていたって
無いものは無いだなんて
一体 どっからやり直せばいいんでしょう?
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
小細工や回りくどい言い回しなどせず、ただまっすぐに「愛している」と伝える主人公。
それと同時に、自分のことも愛してほしいと願っています。
しかし彼から発されたのは、無情な一言でした。
「元々愛していないのだから、愛などあげられない」
これまで真摯に向き合ってきた主人公への、いわば「仕打ち」ともいえる一言でした。
しかし、そんな言葉でこれまでの気持ちが全て消えてしまうわけではありません。
諦めようにも諦められない心が、行き場を無くしてさまようだけです。
何が悪かったのか、どうすればよかったのか、ただ自問自答を続ける主人公。
それでも、答えが出ることはありませんでした。
心も体も既に傷だらけの主人公
笑えちゃうような 傷残して
ボロボロの身体も使って
今日もちゃんと 愛されに行こう
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
彼からの本当の「愛」など受け取れないままに、上辺だけの関係を続けてきた主人公。
気持ちのこもっていない言葉を頼りにしていても、満たされることはおろか傷が増えていくだけでした。
しかし、そんな傷すらも彼からもらったかけがえのないものの1つ。
何ももらえず相手にされないよりは数倍マシと思えるのです。
主人公にとっての彼は、紛れもなく「いなくてはならない人」。
例えどんな仕打ちを受けようとも、負のループから抜け出す勇気はありません。
それは、主人公がいなくなったとしても、彼の世界が変わらずに回り続けるのを知っているから。
自分の代わりなどいくらでもいるのだと気づいているからなのです。
どんな時も笑顔を心掛けて
開幕の合図だって
何回だってやろうぜ
堂々巡りだって 楽しんだもん勝ち
繰り返している 意味がなんだ
クラクラの頭を使って
今日も真剣に ふざけにいこう
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
彼に嫌われまいと一生懸命な主人公は、何とか「重い女」にならないようにと努力を続けています。
何度繰り返しても、この日々が実を結ぶことはないのでしょう。
他人が見れば、何の意味もない無駄な日々だと嘲笑うだろう主人公の世界。
それでも、この日常に意味を見出すのは自分自身です。
自分が後悔しないのならば、誰もとやかくいう資格などありません。
彼の前では悲しみを表に出すことなく、無理矢理作った笑顔を浮かべ続ける主人公。
そんな彼女の笑顔が、彼に届く日は来るのでしょうか。
たった1つの望みを
お姫様のように
ただ軽快なステップを
踊っていたいと思うよ
まだスタートしたばっか
エスカレートしてエスコート
出典: 染み/作詞:竹縄航太 作曲:竹縄航太
主人公が望んでいたのは、単純な「彼からの想い」でした。
それさえあれば気持ちは簡単に浮き上がり、自然とリズムに乗ってしまうほど。
彼さえいてくれれば、主人公の毎日は明るく楽しいものになるはずなのです。
舞踏会で踊るお姫様の手を引くように、自分のことを迎えに来てくれたなら……。
これまでの悲しみや辛さも、一気に吹き飛んでしまうでしょう。
主人公の願いは決して大それたものなどではなく、恋する女性ならば必ずといっていいほどの望みでした。
それすらも気がつかないほど、多くの女性に手を出す彼……。
かみ合わない想いに、思わず胸が締めつけられてしまいます。