本当は愛しているけれど
自分にも、君にも嘘をつく
恋をしている人ならば誰もが、「寂しい」や「会いたい」という気持ちを抱えて生きています。
それは自然なことで、決して恥ずべき感情ではありません。
しかし、それを認めてしまったら、何だか自分が自分ではなくなってしまいそう……。
恋愛に溺れることの怖さから、1歩を踏み出せずにいるのです。
そうして君に嘘をつき、自分の心に嘘をついて今日をやり過ごしている主人公。
サビを聴くたびに、今日の夜は誰かと過ごしたくなってしまいます。
7話みたいなキスはどんなキス?
「好みじゃない」とか抜かしてさ
心に愛とか見えるから
一夜限りでもいいよ
そんな言い回しはいいの
それじゃあさっき読んだ本の
7話みたいなキスしよう
君の瞳映る一人以外は
見えるわけはないよ
季節さえも眩む愛を
私、君に気があるなんて
言えるわけはないよ
出典: 寄り酔い/作詞:和ぬか 作曲:和ぬか
先ほど主人公が望んでいたはずの、「君を愛してる」という言葉。
曲の後半では、そんなフレーズすらも望まず、ただそばにいてほしいという願いが込められています。
君のことを愛しているのはバレバレなくらい、君がほしくてたまらない毎日。
「好みじゃない」と必死に嘘で塗り固め、バレないように心の奥へと追いやっています。
「読んだ本の7話」を想像して行うキスは、情熱的で愛情深いキスなのでしょう。
それは相手の顔しか見えないほどに近く、いつまでも終わらないほどに長いものです。
冬の寒さすらも感じないほどに、君の体温をすぐ近くで感じていたい……。
そんな儚い願いすらも、主人公は口に出すことができません。
暗くてぬるい部屋とは
夏の日の夜を思い浮かべるサビ
帰ってそのまま、同じ部屋に足を踏み入れる主人公と君は、互いにつかず離れずの距離感を保っています。
どちらから切り出すこともせず、自然とお互いに伸びる手。
冷房をつけることも忘れ、辺りにはぬるい空気が充満しています。
それもすぐに2人の吐息で変化し、部屋はどんどんと暑く火照るほどに。
真っ暗な中電気もつけず、ぼんやりと浮かび上がる君の輪郭を見つめている情景が思い浮かびます。
繰り返される願い
家まで送ってもらいたい
朝まであなたといたいよ
家まで送ってもらいたい
朝まであなたといたいよ
出典: 寄り酔い/作詞:和ぬか 作曲:和ぬか
最後は消え入るように、そして悔しさすら混じるように繰り返される主人公の願い。
本音を言い出せずにいた主人公が、お祭りをきっかけに1歩踏み出そうとしているのがわかります。
このまま声をかけずにいたら、君は手を振りながら背を向けて歩いて行ってしまうでしょう。
しかし、明日はお祭りではなく、お酒の力も借りられない「普通の日」。
今日という特別な日だからこそ、想いを歌にすることができたのです。
振り絞るような主人公の願いを聴くと、自分も1歩踏み出さずにはいられません。
想いを伝えたい誰かを思い描き、自分の心に問いかけてみる……そんな曲の終わりとなっています。
君への想いを素直に打ち明けられない理由とは
この曲を通して主人公が願っていたのはただ1つ、「君ともっと一緒に居たい」という願いだけです。
学生時代のように青春を感じていたころは、ためらいもなく口にできた言葉たち。
しかしそれは、20歳を超えた今素直に言えなくなってしまっています。
だからこそこの歌に込め、自分を奮い立たせてきた主人公。