片思いはひとり相撲です。
こちらが勝手に好きになり、たとえ相手が振り向いてくれなかったとしても相手に非はありません。
しかし、片思いが燃え上がると自分だけが好きなことに矛盾を感じ始めます。
「なぜ愛してくれないの。」「なぜ報われないの。」
自分が好きでいることと、相手が振り向いてくれないことを並列と錯覚しているのです。
そのせいで、つらさがどんどん大きくなっていきます。
そして、どうにもならない相手を好きになってしまった自分に疲れてしまうのです。
こころがもたない、というフレーズに主人公のやりきれなさが感じられます。
なぜやさしくするの
いっそ‘嫌い’といって
私なんか優しくしないで
ずるいよ
期待しちゃうから…
出典: RESET/作詞:CHIHIRO 作曲:CHIRO
主人公の女性は相手の男性に自分の気持ちを伝えたのでしょうか。
片思いの相手の男性は「嫌い」と言わず、やさしく接してくれているようです。
だとすれば、もしかしたらはっきりとこころを伝えていないのかもしれません。
告白の有無はどちらでもかまいません。
中途半端に期待を促すような態度は、片思いをしているものにとっては一番ひどい仕打ちです。
相手の男性の立場からすると勝手に好きになられているわけです。
わざわざ嫌いという態度をとる必要はないと考えているのかもしれません。
しかし、主人公の女性にしてみると引導をわたしてもらえない状況はまさに「蛇の生殺し」状態です。
とてもつらい状況と想像できます。
恋は徐々に欲張りになる
挑戦していることについては、なにかひとつ希望が達成されるとまたひとつ上の希望をもってしまいます。
それは恋だけに限りません。
小さな希望がひとつまたひとつと重なり主人公のこころを欲張りにしていきます。
そして恋の深みに引きずられていくのです。
ひとつ進んであきらめが遠くなる
会えるだけでよかったの
でもねだんだん会いたいと
欲張りな感情が
私の中花咲かせて
出典: RESET/作詞:CHIHIRO 作曲:CHIRO
小さなことでも、片思いに光がさしたように感じるできごとがおこると「諦められない」ループにはまっていくものです。
ゲームセンターでユーフォーキャッチャーゲームがあります。
そのゲームに講じていて、「惜しい、次こそは。」を繰り返すうちに辞め時がわからなくなるのに似ているようです。
いっそまったく「惜しく」なければ諦められるのに。
そうわかりつつ抜けられない苦しさの中でもがき続けています。
動き出すこころ
今までの私には選べなかったの
でもねもう心がもたない
私リセットしたい
出典: RESET/作詞:CHIHIRO 作曲:CHIRO
ここまで弱音を吐きつつも「好き」という思いを主人公は訴え続けていました。
一度目のこのフレーズにはまだ迷いながらリセットしたいけれど、できないという思いが感じられました。
同じフレーズを二回繰り返すことで自分のこころを動かそうと言い聞かせているように感じられます。
ゆっくりと、そして確実に主人公のこころは動き始めるのです。
報われない思い
片思いが報われるとは、思いが成就し相手も自分を好きになってくれるときです。
何事もいずれ報われると期待することで気持ちが持続できます。
報われるという希望がもてなくなったとき、ひとは終わり方を模索し始めるのではないでしょうか。
恋心に振り回されて
きっとどんなタイミングでも
私は君に恋に落ちた
悔しいくらい
出典: RESET/作詞:CHIHIRO 作曲:CHIRO