戦後の日本を活気づけた名曲!

藤山一郎/奈良光枝【青い山脈】歌詞の意味を徹底解釈!旅路の先に何を見た?響く歌声と涙の真意を紐解くの画像

日本の名曲と呼び声高い「青い山脈」。

戦後を生きた世代ならば誰しもが知る曲です。

今では若い世代にも学校で歌われるなど、幅広い世代に知られている曲ですね。

この曲は映画「青い山脈」の主題歌として作られた曲です。

この曲を歌っているのは藤山一郎さん。

彼の優しく「日本」を感じる歌い方に多くの人が胸を打たれました。

この曲は元々奈良光枝さんとのデュエットです。

今日はこの名曲「青い山脈」の歌詞を解説していきたいと思います。

新旧が入れ替わり、移り変わる戦後の日本を歌ったこの曲。

その真意に迫ります。

この曲を歌ったことのある方もない方も必見です!

古さと新しさの対比

春への移り変わり

藤山一郎/奈良光枝【青い山脈】歌詞の意味を徹底解釈!旅路の先に何を見た?響く歌声と涙の真意を紐解くの画像

若く明るい歌声に
雪崩は消える 花は咲く

出典: 青い山脈/作詞:西條八十 作曲:服部良一

この曲は、上でも書いたように新旧の移り変わりがテーマです。

第二次世界大戦後、つまり敗戦後、日本は新しく立て直しがなされました。

その中で価値観が崩壊したり、日本の精神のようなものが揺らいだりします。

まさに昭和とは激動の時代だったと言われる所以です。

この曲を聴いたときに、どこか「若さ」「初々しさ」を感じるのではないでしょうか。

それは、「新しく生まれてくる蕾」を繊細な表現でもって取り上げているためと思われます。

まず、若者たちの元気な歌声が歌詞に出てきますね。

そして、春の訪れが描写されています。

春といえば、着慣れない制服を身に纏った学生たちのことを想像できます。

降り積もった雪は溶けて、桜などの美しい花が開く季節。

満開の桜をイメージできるでしょうか。

降り積もった雪は、戦前の日本の価値観ということができるかもしれませんね。

そして、それが溶けてなくなってしまって、新たな時代が幕を開ける。

それを花の開花に喩えているのです。

青い山脈とは?

青い山脈 雪割桜
空のはて
今日も我らの夢を呼ぶ

出典: 青い山脈/作詞:西條八十 作曲:服部良一

「雪割桜(ゆきわりざくら)」とは桜の一種です。

なんだか雪から出てくるように咲く姿をしていることからこの名前がつきました。

この部分からも、旧代を踏み越えた新しい日本の訪れを感じることができますね。

「割る」という言い方がまた合っています。

作詞をした西條八十さんには天晴というところでしょう。

さて、ここで「青い山脈」とは何かを考えたいと思います。

この曲の主題ともいえますね。

その山脈は遠く向こうの方にあるのです。

青々とした空の、その果てにあります。

そして、僕らの夢の源になってくれている。

これらのヒントから、「青い山脈」とはすなわち「希望」のことではないかと思うのです。

詳しいことはこの後の歌詞とともに説明することにします。

この曲は、ぼんやりしているようでいて、何か鮮明なものがはっきり伝わってくる。

その秘密がまさに「青い山脈」というテーマだと思うのです。

始まりとは常に別れである

古いものは捨てて

古い上着よさようなら
淋しい夢よさようなら

出典: 青い山脈/作詞:西條八十 作曲:服部良一

新しく何かを始めることは、何かをやめることでもあります。

全く何もしていなかった人が、趣味で運動を始めてみる。

これも、何もしていなかったことをやめることになります。

何かの始まりとは、常に何かとの別れ。

そのことが表されているのがこの部分の歌詞です。

戦中自分の身に纏っていた服を捨てる。

これは物質的な別れです。

描いていた哀れな夢を捨てる。

これは精神的な別れです。

この「夢」を捨てるという部分がとても印象的ですね。

夢を捨てるとは、諦めることではないと思うのです。

新たな価値観を得て、その夢を追うことを「やめる」ことだと思うのです。

この歌詞からは、何か新たな夢を追う様子まで感じることができます。

希望を背負った旅立ち

青い山脈 バラ色雲へ
憧れの
旅の乙女に 鳥も啼く

出典: 青い山脈/作詞:西條八十 作曲:服部良一

ここで、山脈の色が変わりました。

これは、空の色が変化したということでしょう。

すなわち、少し時間が経ったということです。

夕暮れ時に、遠くの山脈が夕焼けで赤く染まる

この状況を描写していると考えられます。

そして登場する女性。

実家を巣立ち、1人で旅をしているのでしょうか。

現代は何かと物騒だとよく言われますね。

子供を1人で出歩かせないようにしようという親も増えてきているように感じます。

しかし、ここではなんだかその旅を祝福するような鳥の囀りが聞こえてくるようです。

何もない、けれど夢がある、希望がある。

そんな時代の空気を感じる歌詞ですね。