ベルのアルペジオから始まる『恋人たちのクリスマス』
マライア・キャリーの名曲『恋人たちのクリスマス』
1994年11月1日(日本では10月31日)にリリースされた『恋人たちのクリスマス』。
クリスマスが近づくと様々な場所で耳にするこの曲はクリスマスソングの大定番!
恋人がいる人もいない人も、大人も子どもも、英語が分からなくても何となく口ずさんでしまいます。
これだけの知名度を誇る曲ですので、曲についての情報は不要でしょう。
しかし、どんなことが歌われているのか、知りたい方は多いかもしれません。
欲しいものはとにかく「彼」だけ!
「今年は何が欲しい?」
サンタポジションの彼が彼女に問いかける、というのが一般的な「恋人たちのクリスマス」の形でしょうか。
この曲で彼女は「欲しいもの」について語っています。
では誰に向けて「欲しいもの」を訴えているのでしょうか。
この曲をベースに製作されたアニメ「クリスマスにほしいもの」で少女マライアが欲しがったのは「犬」でした。
この曲で彼女がねだったのは犬……、のはずがありません!
彼に対する独占欲
I don't want a lot for Christmas
There's just one thing I need
I don't care about the presents
Underneath the Christmas tree
I just want you for my own
More than you could ever know
Make my wish come true
All I want for Christmas
Is you
出典: 恋人たちのクリスマス/作詞:Mariah Carey, Walter N. Afanasieff 作曲:Mariah Carey, Walter N. Afanasieff
【和訳】
クリスマスだからって欲しいものはあまりないの
欲しいものはたったひとつだけ
ツリーの下のプレゼントなんて気にしていないのよ
あなたが思っている以上にあなたを私だけのものにしたい
願いが叶いますように
クリスマスに欲しいものはあなただけ
【解説】
彼女が欲しいものはズバリ「あなた」でした!
恋人同士なら、すでに彼は彼女のものになっていると考えるのが普通でしょう。
それでもなお「あなた」が欲しいと歌っています。
子どもの頃は、眠い目をこすりながらツリーの下にプレゼントが置かれるのを今か今かと待っていたはずです。
でも大人になった今、目の前で魔法のようにプレゼントが出現したとしても彼女は興味がありません。
「want」には「〜が欲しい」という意味がありますが、願望を語るときにも用いられます。
このセクションの5行目では「want」を使い、彼に対する独占欲を表現しています。
彼に対する執着心は、彼の想像を有に超えるのですね。
ざっくり言えば「誰にも渡したくない」ということでしょう。
とにかく欲しいのは彼だけなのです。
彼女がこれほどまでに「彼」を欲しがる理由
しかし、ここで疑問が浮かびます。
恋人同士なのに、なぜこれほどまでに願わなければ彼が手に入らないのでしょうか。
彼は非常に多忙な人で、クリスマスを一緒に過ごせないのかもしれません。
「過ごせないかもしれない」ではなく「ごめん、仕事だから」という決定打。
それとも「クリスマスは家族と過ごすんだ」と言われた可能性もあります。
海外では、家族とクリスマスを過ごすのはごく一般的なことですので、強く言えないはずです。
だからこそ「make my wish come true」のようにまるで神頼みのようなフレーズを歌うのでしょう。
「一緒に過ごしたい」と言えなかった?
ここでも、子どもの頃であればきっとウキウキしたであろうクリスマスの光景に「NO」を突きつけます。
いじけているわけではないのです。