彼を繋ぎ止めるためには、強がりな言葉は役に立たないと感じた彼女。
なぜなら、彼の心が「寂しい」という女性らしい弱い言葉で揺れ動いた事実があるからです。
では、彼女の元を離れようとする彼に対してどんな言葉をかけたら、彼は自分だけを見てくれるのか。
単純に考えると、寂しさや弱さをアピールすればいいのでしょう。
余程嫌いな相手でない限り、自分にすがってくれる女性の存在は男性に自信を与えます。
愛されている、求められている。
でも、もし彼に「行かないで」と言葉で伝えたとして、本当に状況は変わったのでしょうか。
彼は彼女の元に、「東京」に居続けてくれるのでしょうか。
たった一回「彼の心の動揺」の経験則だけで判断するのは難しいわけです。
彼はこれまで、強がるドライな自分を受け入れてくれていた。
ウェットな自分には興味が無いかもしれません。ウェットな女は嫌いかもしれません。
自分にすがらない女、拘束しない女、でも自分の不在を「寂しかった」と言ってくれる女。
それが「都合のいい女」のお手本ではないでしょうか。
終着点の女であるために
ねぇ、傷だらけになっても愛しててあげるから
最後に戻ってくるのは私の所にして
愛してる?なんて聞いたりもしないから
ただ貴方の匂いで抱き締めて欲しいの、ダメかな、ダメよね。
出典: 東京/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
彼女が目指す理想の「都合のいい女」像として「面倒くさくない女」が挙げられます。
この部分で歌われる「愛してる?」と問いかけない女でいる、という誓いがまさに「面倒くさくない女」です。
会うたびに愛情を言葉で欲しがる女に、口先だけの「愛してる」を与える男性。
回数を重ねると、それすらも面倒に思うことでしょう。
彼女は、愛されているか否かなんて、言葉なんて二の次。とにかくゴールの女でいたいのです。
しかし、ここで本音が露見します。「貴方の匂いで」抱かれたい。
知らない匂いの貴方でも好きって言ってたくせに!と、拳で机を叩いてしまいました。
知らない匂いがしても好きでいられる、でも抱かれるときは嫌なんですね。
ここでまた「ダメかな?」と弱気を強くアピールします。
計画的犯行
貴方のいう貴方は結局の所誰なの
私のいう貴方は 貴方でしかないよ
わかりやすい嘘でも許してあげるから 最後まで突き通して
柄でも無いのに可愛いコップを買いました
リップで汚してあげたあと
まるで優しさみたいに置いていくからさ
あの子が傷付けば良いけど
出典: 東京/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
彼が彼女の前で見せる顔はひとつ。別の女性の前では別の顔を見せるのでしょう。
本当の彼がどの顔なのかは分かりません。
一方、彼女にとっては自分に嘘をついている眼前の彼こそが「貴方」です。
別の女と付き合っていることを隠し、自分との交際をうまく続けてくれています。
彼女は、それでいいと考えています。
もしも彼が別の女の存在を明かして「別れて欲しい」と言ったら、関係は終わるでしょう。
彼女は、2人の間に張られた糸が千切れないようにしたいのです。
彼が遊び飽きたら、あるいは別の女に捨てられたら、自分を求めてもらえるように準備をしています。
そして彼女は「彼が別の女に捨てられる」状況を自ら作り出しました。
女性物のコップに口紅の跡を残し、別の女の目に触れるように仕向けたのです。
懲りない2人はまわり続ける
ねぇ、傷だらけになっても愛しててあげるから
最後に戻ってくるのは私の所にして
貴方のズルさにつけ込んでごめんね
また弱虫ごっこで抱き締めてあげるわ、ダメかな、ダメよね。
出典: 東京/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
今度は彼が傷だらけになる番です。
コップの口紅に気づいた女は彼を捨て、彼はボロボロになりながらベースキャンプに戻ってきます。
彼の浮気を逆手に取った彼女の作戦は大成功、といったところでしょうか。
別の女の存在を知りながら交際を続けている彼女は、強いのです。
1番では抱きしめて「みせる」と意気込みを語り、2番では抱きしめて「欲しい」と弱みを見せる。
そして最後は抱きしめて「あげる」と言って、帰る場所はここにあるのだと示します。
こうなるように仕向けたのは彼女。そして傷ついたと見せかける彼。
「弱虫ごっこ」はこれが初めてではないようです。
何度も繰り返される嘘と、破壊と、傷の舐めあい。
その度に傷が増えていくのに、懲りない2人は延々とこのループにハマっているのでしょう。
そして彼は再び、彼女の元から離れていきます。
いつでも貴方を待っている
帰ってきたら教えてね
出典: 東京/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
孤独で強い東京の街。
人も電車も車も何もかもが街の中をまわり続けます。
強がりも、寂しいフリも、弱いフリも、母性も、年中無休です。
今後も期待大のほのかりん
21歳という若さでありながら、高い音楽センスを見せつけるほのかりん。
一度挫折を味わった彼女は、他にない強さを備えてこれからも歌い続けていくことでしょう。
これからの彼女の活躍に期待せずにはいられません!
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