自称「シンガーソング専業主婦」、竹内まりや
竹内まりやは島根県出身のシンガーソングライターで、実家は100年以上の歴史がある旅館。
1978年にメジャーデビューを果たし、シングル『戻っておいで・私の時間』とアルバム『BEGINNING』を同時リリースしています。
当時はアイドルという存在自体が希少価値もあったため、知名度を高めるためにもアイドル的な役割を担っていたのだとか。
その分過密なスケジュールとなってしまい、最終的に心身に異常をきたしていきます。
そのすぐ後には現在の夫のである山下達郎との結婚が重なり、家庭生活を優先したいという竹内まりやの意向もあったことで芸能活動を一時休業しています。
その後は自身で作詞や作曲を少しずつ行う様にもなり、芸能活動を再開。
現在まで多くのアーティストに楽曲を提供しつつ、自身でもナンバーを歌ったりセルフカバーするなど名曲を多く生み出しています。
竹内まりやの代表曲『けんかをやめて』
『けんかをやめて』は1987年8月リリースで、竹内まりやの7枚目アルバム『REQUEST』収録曲の一つです。
同アルバムは全10曲収録で、『駅』や『元気を出して』、『色・ホワイトブレンド』などのこれまでの提供5曲をセルフカバー。
そこに竹内まりや自身が書き下ろしたナンバーなどを詰め込んだアルバムで、夫の山下達郎も制作に携わっています。
河合奈保子への提供楽曲
『けんかをやめて』は竹内まりやが作詞と作曲を担当した提供曲の一つで、初めて世に出たのが1982年9月でした。
同ナンバーの提供先は河合奈保子で、竹内まりや自身初めて制作を担当した一曲でもあります。
河合奈保子というと80年代アイドルの一人で、松田聖子や小泉今日子、南野陽子などの錚々たる面子と同期の女性アイドル。
八重歯がチャームポイントの、清楚な印象のアイドルとしてデビューしています。
そんな河合奈保子が歌った『けんかをやめて』は、2人の男性に挟まれる女心をつづった小悪魔的なテイストのナンバー。
河合奈保子自身のイメージも大きく変化したということもあり、ヒットソングの仲間入りを果たしています。
竹内まりやが歌うと傲慢なテイストになる!?
そんな『けんかをやめて』をセルフカバーした竹内まりやでしたが、河合奈保子とは全く違った一曲にできあがりました。
それというのも、河合奈保子のバージョンでは女の子のいたずらで可愛げがある印象。
しかし竹内まりやが歌うと『けんかをやめて』も大人感が一気に強くなり、逆に傲慢な女性のイメージになってしまったのだとか。
これは竹内まりや本人も、河合奈保子とはまた違った女性の視点が楽しめるナンバーなのではと語っています。
『けんかをやめて』の誕生秘話とは
『けんかをやめて』は、2人の男性に挟まれる女性の心理を物語にした大胆な構想のもと作られています。
同ナンバーを作るきっかけになったのは、提供先である河合奈保子を見たことから。
当初活動を休業していた竹内まりやは、TVで『スマイル・フォー・ミー』を歌っている河合奈保子に出会います。
彼女のフレッシュ感溢れる雰囲気を見て、スローナンバーを歌っても似合うんじゃないかと思ったのだとか。
そこに竹内まりや自身が幼少から耳にしていた洋楽のテイストを組み込み、できあがったのが『けんかをやめて』でした。
竹内まりやが同ナンバーに込めたのは「ちょっぴりわがままな女の子」で、それを見事に表現したのも河合奈保子です。
『けんかをやめて』の歌詞を深読みする
『けんかをやめて』はタイトルから見て取れるように、一人の女性を取り合う男性の様子を女性目線で語っています。
この構図を見るだけでも普通じゃない状況というのと、女性の小悪魔的な立ち位置は同性からも非難を浴びそうな気もしますね。
何はともあれ『けんかをやめて』の歌詞を深読みしていきましょう。